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肉芽腫乳腺炎について

[管理番号:8569]
性別:女性
年齢:36歳
病名:肉芽腫性乳腺炎
症状:胸のしこり、赤み、乳房痛、膿
投稿日:2020年5月31日

はじめまして、先日針生検を受け、左胸の肉芽腫乳腺炎と診断されました。
分からないことが多く痛みは強いばかりで痛み止めを飲みながら過ごすことに不安を感じています。
2日前から処方されたプレドニン錠5mg(1日1錠)とクラリスロマイシン錠200mg(1日2錠)を飲みはじめています。

薬の効果かはわかりませんが、昨日シャワーを浴びているときに針生検の穴から膿が出てきました。
出てくることは治癒に向けて近づいているということなのでしょうか?膿がたまっていて出ない場合は切開しないといけない場合もあるのでしょうか。

まだ針生検の傷口が開いてる状態で時々膿がでるため母乳パッドを使ってしのいでいますが、ふさぐのも良くないかと思い傷口をどうしたら良いか教えていただきたく質問させていただきました。

これまでの先生の質問回答ページを拝見させていただきましたが、肉芽腫乳腺炎とはしばらく長い目で付き合わないといけないと感じました。
日常生活では育児中で動くことも多いですが何か気をつけることや食事の内容を変えるべきなのかなど、とにかく日々出来ることをしていきたいのでご教示いただけるとありがたいです。

長くなり申し訳ございません。

よろしくお願いいたします。

 

田澤先生からの回答

こんにちは。田澤です。

「プレドニン錠5mg(1日1錠)とクラリスロマイシン錠200mg(1日2錠)を飲みはじめています。」
⇒プレドニン少なすぎ!
 この量で治療していても、治療効果を実感することは無いでしょう。『今週のコラム 236回目 経過観察という名の「免罪符」を振りかざすだけで、患者さんの不安を解消する努力をしない乳腺外科医、必要ですか?』を参照のこと

 私は肉芽腫性乳腺炎の専門家でも何でもありませんが、実際に肉芽腫性乳腺炎で当院を受診される方は多い(前医での治療に納得しないため)その経験でコメントしています。
 昨日も(前医での治療に納得できずに)受診した患者さんがいましたが、30mgで開始しています。(この量は多いので、無論短期間です)

 少量でダラダラしていても病状、症状の改善に乏しく多い量で(段階的に)漸減するのがポイントとなります。

 〇無論 抗生剤は全く無意味
 

「昨日シャワーを浴びているときに針生検の穴から膿が出てきました。」
⇒膿ではありません。
 何故なら(調べても)無菌だからです。
 
 実態は、「肉芽が溶けたもの」です。

「膿がたまっていて出ない場合は切開しないといけない場合もあるのでしょうか。」
⇒膿ではないので…
 切開して外へ出す必要は無いのです。(上記コラム参照)

「傷口をどうしたら良いか教えていただきたく」
⇒ガーゼを当てるだけです。

「肉芽腫乳腺炎とはしばらく長い目で付き合わないといけない」
⇒少々勘違いしていますね。

 確かに、治療期間(ステロイド内服の期間)は長い(1年半程度)ですが、
  実際に不便を感じるのは「長くて2か月」です。(きちんとした「量」で治療を行えば)

 上記コラムの「実際の症例提示 北関東在住」にも示しましたが、この症例では「day27 からday55」あたりでは(写真は撮影しませんでしたが)すでに「浸出液もないし、痛みもない」状態になっています。
 ただ、(写真にあるように)day83で「もう治った。治療終了」としてしまうと、
(かなりの高頻度で)「再燃」してしまうので、ここから10mgで3か月、5mgで半年、2.5mg(1日毎1T)で半年と漸減するのです。

「日常生活では育児中で動くことも多いですが何か気をつけることや食事の内容を変えるべきなのか」
⇒何もありません。

「日々出来ることをしていきたいのでご教示いただけるとありがたい」
⇒正しい量で治療してもらいましょう。(抗生剤も止めましょう)

 
 

 

質問者様から 【質問2 】

肉芽腫性乳腺炎 切開排膿
性別:女性
年齢:36歳
病名:肉芽腫性乳腺炎
症状:胸のしこり、痛み、赤みと腫れ
投稿日:2020年6月12日

先日はお忙しい中質問に細かく答えて下さりありがとうございました。
少ない症例のようで調べてみても原因不明、治療方法も不明という情報ばかりで参っていたので回答をいただけて大変ありがたかったです。

その後も痛みはおさまらず1日2回はロキソニンを飲まないとその場にうずくまる程痛みが出てしまいます。

もう2週間程痛み止めを飲み続けていることも気掛かりです。

肉芽の溶けたものと浸出液は時々出ているので度々ガーゼ交換しています。

現在左胸の一部が赤く腫れているのですが、今日診察でエコーで診ていただき「膿がたまっているので切開排膿してドレーンを入れるべき」とのことでした。

今の病院にはドレーンが無いため紹介状をもらい、明日別の病院へ切開排膿に行くことになりました。

診察時に、プレドニンの量が少ないと前回田澤先生からご指摘いただいたことを、主治医に相談してみたのですが、「肉芽腫性乳腺炎は、ステロイドが効く場合もあれば使わずに治る場合もあるようなので、まずは切開して膿を出してから薬を飲むなどした方が軽快するでしょう」とのことでした。

突然転院になり、処置の後どのように治療が進むのか全く分かりませんが、赤く腫れて膿のようなものがたまっている場合は切開排膿した方が良いのでしょうか。
痛みが続くのは困りますが、切らない方が良いのでは…と考えてしまいます。

排膿後の投薬につきましても、やはり多めのステロイドを使いながら量を減らしていく方法で治療されることが良いと思われますでしょうか。

同じような質問になり申し訳ありません。

よろしくお願い致します。

 

田澤先生から 【回答2】

こんにちは。田澤です。

「赤く腫れて膿のようなものがたまっている場合は切開排膿した方が良いのでしょうか。」
⇒全く無意味。
 私が切開することはありません。

「排膿後の投薬につきましても、やはり多めのステロイドを使いながら量を減らしていく方法で治療されることが良いと思われますでしょうか。」
⇒勿論。前回の回答と全く変更ありません。

★今週のコラムだけでも「肉芽腫性乳腺炎」は数回取り上げています。
 よく読んでみましょう。

 肉芽腫性乳腺炎は感染症ではないのに、(感染症のように)「切開して、抗生剤飲ませて」のような治療をされるケースが多く、大変不憫に思っています。