[管理番号:2893]
性別:女性
年齢:38歳
田澤先生よろしくお願いします。
3年程前の妊娠5ヶ月の時に右脇にしこりを発見しました。
乳腺外科に行き問題ないと言われしばらくすると消えていました。
出産後にまた右脇にしこりを見つけて、里帰り先の違う乳腺外科で副乳だろうと言われました。
その後は消えていましたが、半年前の去年の11月にまた右脇にしこりを見つけて、
ちょうど乳がん検診の時期だったので
乳腺外科に行きエコーとマンモをして年齢による乳腺症はあるものの異常はないと言われました。
脇のしこりも見てもらいましたが、副乳かどうかは不明だか異常なものではないと言われました。
不安だったので2件の乳腺外科に行きましたが、どちらの病院でも異常はないと言われました。
去年の11月に右脇にしこりを見つけてから現在までしこりは消えることなく、時々痛みがあります。
左脇にしこりらしきものはありませんが左脇も痛むことがあります。
生理周期に関わらず痛みます。
我慢できない痛みではなく、時々痛い感じです。
田澤先生質問させてください。
①乳房にしこりがなくエコーやマンモで異常がない場合、脇にしこりがあって乳がんってことありますか?
②もし乳がんであれば右脇にしこりを発見した時から
2年以上経過しているので何かしらの症状が出たり、乳がん検診で異常を指摘されますか?(1年に1度検診受けてます)
③半年以上も消えない副乳?ですがまた新たに病院に行って調べるべきでしょうか?
よろしくお願いします。
田澤先生からの回答
こんにちは。田澤です。
「脇のしこり」については、この乳がんプラザでしばしばコメントしてきましたが
「過剰に心配する傾向」にあると感じています。
まず重要な点は、ご本人が「何を心配しているのか?」です。
腋窩のしこりで「問題にすべきは2つ」しかありません。(それ以外の得体の知れない悪性疾患を想像する必要はありません)
①転移性リンパ節
②副乳癌
①は「乳腺に明らかな硬いシコリ(癌)が無い限り、心配は不要」ですし、②は頻度的に「かなり低い」ものです。
○残念ながら「副乳の区別がつかない」乳腺外科医がいるようですが、(それでも)「上記①や②を見逃す」ことは絶対にない(超音波をすればどんなへぼ医者でもわかります)
「去年の11月に右脇にしこりを見つけてから現在までしこりは消えることなく、時々痛み」
「左脇にしこりらしきものはありませんが左脇も痛む」「生理周期に関わらず痛みます。」
⇒この内容からすると、ほぼ間違いなく「副乳」でしょう。
痛みを伴うことからも「女性ホルモンによる刺激症状」だと思いますし、「年齢的には」(乳房痛のように)『腋窩の副乳痛も周期性を失う』のです。
「①乳房にしこりがなくエコーやマンモで異常がない場合、脇にしこりがあって乳がんってことありますか?」
⇒この場合の「乳癌」とは「腋窩副乳にできた乳癌=副乳癌」のことですか?
しかし「2件の乳腺外科で見逃される」など、全く常識外です。
ありえません。
「②もし乳がんであれば右脇にしこりを発見した時から2年以上経過しているので何かしらの症状が出たり、乳がん検診で異常を指摘されますか?(1年に1度検診受けてます)」
⇒その通りです。
あり得ない話です。
「③半年以上も消えない副乳?ですがまた新たに病院に行って調べるべきでしょうか?」
⇒2件も乳腺外科で診てもらって、「更に必要か?」ということですか?
全く不要です。
○質問者は乳腺外科医の「診断」に不安(信用しきれない)を感じているようですが、
(針生検が上手くできない乳腺外科医は山ほどいますが)「腋窩の診断で見逃しをする乳腺外科医など、全くありえない」のです。
質問者様から 【質問2】
田澤先生よろしくお願いします。
脇のしこりの件で相談させてもらった者です。
以前に副乳だと言われましたが、痛みが気になります。
生理周期に関わらず痛みます。
我慢できない痛みではないですがずっと違和感があります。
①生理周期に関わらず痛いものですか?
②胸にはさほど痛みはないのに、副乳だけが痛みます。
これは普通なことですか?
③半年前に主治医に痛みがあって当然。
といわれましたが、違和感があって当然ですか?
④痛みがあっても1年に1回の検診で良いですか?
田澤先生から 【回答2】
こんにちは。田澤です。
「①生理周期に関わらず痛いものですか?」
⇒前回回答しましたが…
年齢的には「卵巣が周期性を失って」(乳房痛同様に)「副乳痛も周期を失う」のです。
「②胸にはさほど痛みはないのに、副乳だけが痛みます。 これは普通なことですか?」
⇒そう言う人も珍しくありません。
実際に診療していると、「脇の痛みを主訴として受診」は多いのです。
「③半年前に主治医に痛みがあって当然。といわれましたが、違和感があって当然ですか?」
⇒当然というか…
実際に我々のように毎日診察していると「そのような主訴で受診される方」は非常に多いのです。
「当然」というのは語弊がありますね。「めずらしくはない」と言い換えましょう。
「④痛みがあっても1年に1回の検診で良いですか?」
⇒それで十分です。
○前回も強調しましたが…
最も重要な視点は「重要な疾患(悪性疾患)の可能性があるのか?」というものです。(我々医師はその視点で考えます)
前回もコメントしましたが、「腋窩に存在する可能性のある悪性疾患は転移性リンパ節か副乳癌しかなく、それを2名の乳腺外科医が見逃す可能性はゼロ」なのです。
(それで十分です)