[管理番号:998]
性別:女性
年齢:62歳
質問者様の別の質問質問が新たな内容のため、別の管理番号としました。 |
田澤先生。はじめまして。
今日、62歳の母の乳がん結果が出て、乳がんと判明しました。
来週初めに、大学病院で再度詳しい検査をする予定になってますが、
今ある情報で、分かる範囲で治療他これからすべきことについて
お教え頂けませんでしょうか。
以下、病理診断報告書の内容です。
——————————————————————-
〈診断〉
Medullary carcinoma,left breast,needle biopsy.
↑(この部分はネットで名前だけですが、髄様がんと知りました。)
〈所見〉
提出された標本では腫大した核を有する腫瘍細胞が、周囲に著名なリンパ球浸潤を
伴い、小型胞巣を形成し増殖しています。核異型スコア2点、核分裂像スコア1点で
合計3点であり、核グレードはGrade1です。
〈追加報告〉
各種免疫染色を施行しました。血管侵襲像はありません。
ER:1%程度の腫瘍細胞が染色されます。
PgR:1%程度の腫瘍細胞が染色されます。
HER2 IHCスコア:3+
Ki-67 labeling indexは53%です。
——————————————————————–
主治医の説明では、乳がんの中でも1%くらいのタイプで、昔だと治療が難しく
飛び散りやすい?広がりやすい?がんですが、今、このタイプに効果がある
薬があり、ちゃんとしっかり1年ほど治療に耐えれば、再発もなく完治することが
期待できるので、まずは再検査をして頑張りましょう。との話でした。
ただ、抗がん剤は避けれないと思います。術前にするか術後にするかは、
検査結果次第になります。と言われました。
私と母二人とも、できれば抗がん剤ではない治療を望んでおりますが、
先生の見解としては、いかがでしょうか?
予後は良好なタイプだと説明を受けておりますが、
リンパ節転移していたら予後はかなり不良なものに変わるのでしょうか。
母子二人で生活してきましたが、娘の私も脳性麻痺の障害持ちで、
頼る人がなかなかいないのが現状で、わからないことだらけのままでは
いけないと思い、思い切って質問しました。
どうぞよろしくお願いします。
田澤先生からの回答
こんにちは。田澤です。
髄様癌ですね。「特殊型に分類」され、1%程度と極めて頻度が低いタイプです。
「特殊型は、一般に予後が良いものが多い」が、その中でも「組織型によって」推奨される治療は異なっています。
「髄様癌」は「ホルモン受容体陰性でグレード3(質問者のお母さんの場合はグレード1ですが)が多い」にも関わらず「通常型の浸潤性乳管癌よりも予後が良好」であることが知られています。
しかし「治療方針は(通常型と)全く同一に行う事」が推奨されています。
回答
「今、このタイプに効果がある薬があり、ちゃんとしっかり1年ほど治療に耐えれば、再発もなく完治することが 期待できる」
⇒これはハーセプチンの事を言っています。
質問者(のお母さん)の場合はHER2タイプなので「ターゲット療法として」極めて「治療効果が高い」『抗HER2療法(ハーセプチン+通常の化学療法)の適応』なのです。
「できれば抗がん剤ではない治療を望んでおりますが、先生の見解としては、いかがでしょうか?」
⇒HER2タイプである以上、「抗HER2療法(ハーセプチン+抗がん剤)」を行うべきと思います。
決して「ハーセプチン単剤」は選択すべきではありません。
抗HER2療法は「最も優れたターゲット療法」なのです。
「予後は良好なタイプだと説明を受けておりますが、リンパ節転移していたら予後はかなり不良なものに変わるのでしょうか」
⇒そんな事はありません。(リンパ節転移の個数にもよりますが…)
○組織型と「サブタイプ」は全く別なのです。
組織型が「予後良好な髄様癌」であっても「治療方針としては、サブタイプであるHER2タイプとして、抗HER2療法をすること」が重要なのです。