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腫瘍の性質と腫瘍の進行度(ステージ)

[管理番号:1031]
性別:女性
年齢:62歳
 
 

質問者様の別の質問

質問が新たな内容のため、別の管理番号としました。
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管理番号:998「髄様がんの治療

 
 
 
 

質問者様の別の質問

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管理番号:1108「PETやMRIの所見

 
 
田澤先生、お世話になります。回答ありがとうございました。
やはり、抗がん剤は必要な結果だということなのですね。
病理結果を見ても、本を見てもわからなことだらけでしたので、
少しでもどういう状態なのかを把握し、母が少しでも安心して
闘病できる体制を作りたいと思っております。
今日は、さらに聞きたいことがあり、メールさせて頂きました。
お忙しいとは思いますが、お教え頂けますか?
①精密検査は月曜日にするのですが、この病理結果の段階では、母のがんは、初期(早期)だと言えるのでしょうか?
②主治医より、もしかすると術前に抗がん剤をするかもしれません。という話がありました。抗がん剤を先にするメリットは、どういうものでしょうか?
 また先生の回答にあった、抗HER2療法を術前と術後にするという流れになるということでしょうか?期間も長くなりそうですか? 
③既往歴ですが、子宮筋腫のため子宮を摘出、
 甲状腺(橋本病?太るタイプの方です)、高血圧等を持っており、心臓も病気とまでは診断されていませんが、少し弱いところがあると言われておりますので、術前から退院まで、体力が持つかどうか、抗がん剤に負けてしまって、万が一の事態を予想してしまって怖いです。
④抗がん剤治療は通院で対応とのことで、行けるときはついていくのですが、私も仕事をやめるわけにはいかないので、行けない時に交通機関で、一人で行き帰りできるかどうか心配です。1回目だけでも入院させて、様子を見るということは申し出ればできるものでしょうか?
ひとりで抱え込んでしまうのはよくないとわかっているのですが、
家で他にこういう相談ができる人がいないため、不安ばかりが募って
自分の持病まで悪くなりそうな状態を、なんとか打破したいと踏ん張って
前を向くようにしております。先生、よろしくお願いします。
 

田澤先生からの回答

 こんにちは。田澤です。
 まず
 乳癌を理解するために、重要なことをお伝えします。
 「腫瘍の性質」と「腫瘍の進行」は分けて考えなくてはならない。と言う事です。
○初期化どうか(ステージ)は「腫瘍の進行」のことであり、「腫瘍の性質」とは異なるのです。
「腫瘍の性質」
これは、(質問者の場合)
・組織型:髄様癌
・サブタイプ:HER2タイプ
・(核)グレード:1
 「腫瘍の進行」
 これはステージであり、「腫瘍径」と「リンパ節転移の個数」によりきまります。
 (質問者の場合)これらの情報が皆無です。

回答

「この病理結果の段階では、 母のがんは、初期(早期)だと言えるのでしょうか?」
⇒冒頭のコメントでおわかりでしょうか?
 質問者の情報が「腫瘍の性質」しか無く、「腫瘍の進行度=ステージ」についての情報である「腫瘍の大きさ」も「リンパ節の情報」も全く無いのです。
 故に、この回答は「全く不明」となります。
 ♯但し、担当医の「ちゃんとしっかり1年ほど治療に耐えれば、再発もなく完治することが 期待できる」というコメントからは「進行はしていない」とは推測できます。
 是非、次の受診時には「腫瘍径」と「リンパ節の状況」を教えてもらってください。
 
「抗がん剤を先にするメリットは、どういうものでしょうか?」
⇒(現時点で腫瘍が大きくて温存手術が無理な際に)「小さくして温存手術ができる」というのが唯一のメリットです。
 質問者(のお母さん)は、どうなのでしょうか?「小さくして温存したい」という意思が無い限り「むやみに術前化学療法を選択する」必要はありません。
 担当医が以下の①②のような「もっともらしい」理由をつけて「術前化学療法を勧める」かもしれません。
 ①HER2タイプだから、『術前にしろ術後にしろ、どうせ抗がん剤が必要だから、』
 ②『薬剤の感受性がわかるから』
 ★しかし、やるべき治療は決まっているのだし「抗がん剤が効かなかった際のことを考えれば」♯QandA 990「AC療法が効きませんでした」を参照してみてください。
 術後の抗がん剤がいいと思います。
 抗がん剤は「術前に行っても、術後に行っても同等である」ことが解っているのです。わざわざ「リスクを冒してまで」術前に行う理由として不適切です。(小さくして温存目的以外)
 
「抗HER2療法を術前と術後にするという 流れになるということでしょうか?期間も長くなりそうですか?」
⇒術前に行っても、術後に行っても「トータルの期間に変わりはありません。
(術前に行う場合) ハーセプチン+(通常の抗がん剤)⇒手術⇒ハーセプチン(単剤)
(術後に行う場合) 手術⇒ハーセプチン+(通常の抗がん剤)⇒ハーセプチン単剤
 
「術前から退院まで、体力が持つかどうか、 抗がん剤に負けてしまって、万が一の事態を予想してしまって怖いです。」
⇒大丈夫です。
 ハーセプチン自体には副作用は殆ど無いので、問題は「組み合わせる(通常の)抗がん剤」となりますが、「副作用の弱いタイプ=(例えば)weekly PTX」とすればいいのです。
 
「1回目だけでも入院させて 様子を見るということは申し出ればできるものでしょうか?」
⇒対応してもらえると思います。
 そもそも(初回だけは)入院して行っている病院もあります。