[管理番号:6433]
性別:女性
年齢:48歳
田澤先生、こんにちは。
よろしくお願い致します。
現在の私の状況は
乳房温存手術
ステージ2A
ホルモン陽性
(センチネルリンパ節生検の結果 5ミリのマクロ転移あり郭清なし)
オンコタイプDXの結果待ちです。
手術が3月末
→病理検査結果まで1ヵ月
→Ki67がグレーゾーンだった事と、リンパ節転移があった事で抗がん剤TCを勧められ(ホルモン陽性のリンパ節転移で抗がん剤が不要な事は理解しました!)
→1週間考える時間をもらい
→オンコタイプDXをする事にし
→更に結果まで1ヵ月。
リンパ節の郭清をしていないのに(放射線照射があるので、郭清はしないと言う病院の方針です)、無治療期間が2ヵ月以上もあるのがとても心配です。
オンコタイプDXの結果待ちですが、リンパ節転移はホルモン治療+放射線(オンコタイプDXの結果高リスクであれば抗がん剤)をすれば郭清しなくても影響はないのでしょうか?
またステージを決める際などに書かれている『脇の下のリンパ節に転移がある』の『リンパ節』と、『センチネル生検の結果、リンパ節にマクロ転移があった』の『リンパ節』と同じなのでしょうか?
こちらのQ&Aを見ていると、リンパ節転移が(11/30)の方がいて相談されている方がいらっしゃったり、私の場合はセンチネル生検の結果(1/3)だったりと分母の数に差があります。
先日のコラムにリンパ節転移4つ以上のお話がありましたが(とても分かりやすかったです!)上記のどちらの場合も当てはまるのでしょうか?
勉強不足の所も多々あると思いますが、よろしくお願いします。
田澤先生からの回答
こんにちは。田澤です。
まず物事はシンプルに考えなくてはいけません。
リンパ節転移と遠隔転移は全く別です。
つまり今回は
1.リンパ節転移に対する対処
2.遠隔転移のリスクに対する対処
上記1と2を「一緒にせずに、分けて考えるこ」とです。
質問者の場合
1に対して
これは今回のガイドライン(2018)でも温存手術(放射線照射を前提)であれば「肉眼転移2個以内」であれば「郭清省略を弱く推奨」となります。
つまり、(肉眼的転移1個である)質問者に該当し(微小転移の際のように「郭清省略を強く推奨」ではないが、)郭清省略することに妥当性があるのです。
2に対して
Ki67がグレーゾーンであるので(1とは全く無関係に)質問者がOncotypeDXで対応を決めることは正しいのです。
「リンパ節転移はホルモン治療+放射線をすれば郭清しなくても影響はないのでしょうか?」
⇒その通りです。(上記1を参照のこと)
「『リンパ節』と、『センチネル生検の結果、リンパ節にマクロ転移があった』の『リンパ節』と同じなのでしょうか?」
⇒勿論!
センチネルリンパ節は腋窩リンパ節のうちの一つです。
「分母の数に差」
⇒腋窩郭清すれば、リンパ節の個数の個人差が出ます(10個の人もいれば、20個の人もいます)
ただ質問者は、転移が「2個以内なのか?」調べるために「敢えて3個だけ」取っているのです。
☆もしも、この場面で3/3であれば追加郭清が行われ(そうすると)郭清の個数(分母)は10個前後はあったことでしょう。
質問者様から 【質問2 】
リュープリンについて
性別:女性
年齢:48歳
田澤先生、こんにちは。
よろしくお願いします。
前回、質問させて頂いた時にオンコタイプの結果まちだったのですが、結果が出て治療が始まっています。
結果は『再発スコア 20』で中間リスクだったのですが、再発率はホルモン単独で12%、
+抗がん剤でも12%と言うことで、抗がん剤はやらないことになりました。
そして、閉経前だったため『24週持続型リュープリン』の注射をし、同じ日から『アナストロゾール1mg』の薬を飲み始めました。
来週から放射線治療も始まります。
注射をし、薬を飲み始めて16日経った昨日、
出血がありました。
そして、今日本格的に生理になってしまった感じです。
昨日、病院に電話で相談したら『明日、血液検査をしましょう。
薬の服用は血液検査の結果がでるまで中止して下さい』と言われ今日から、薬の服用は止める予定です。
長くなってしまいましたが、上記が昨日までの流れです。
せっかく来週から放射線が始まり、根治を目指して頑張ろうと思っていた所だったのに…と言う思いです。
○私にはリュープリンが利かなかったのでしょうか?
この場合、これからの治療はどうなるのでしょうか?
血液検査の結果、閉経が認められなかった場合、服用する薬を変えるだけで大丈夫なのでしょうか?
放射線治療は予定通り始めても大丈夫でしょうか?
また、先日妹の乳癌が見つかりました。
41歳でステージ0の非浸潤ガンです。
家族、親族には分かっている限りでガンになった人はいません。
妹が『姉妹で50歳未満で乳癌を患ったので遺伝子検査を勧められた』と言っていました。
○やはり遺伝子検査は受けた方が良いでしょうか?
まだまだ勉強不足な点も多いとおもいますが、よろしくお願い致します。
田澤先生から 【回答2】
こんにちは。田澤です。
ポイントは2つ
1.アナストロゾール(アロマターゼ阻害剤)+リュープリンは適応外診療
2.リュープリンを行えば、初回は「フレア現象」と言って「酷い子宮内膜脱落(生理)が誘発される」のは当たり前
☆1については『今週のコラム 136回目 決して適応外診療を勧めることはありません。今回のガイドラインの記載には正直、迷惑であり驚いています』を、是非ご一読ください。
乳がん学会が「弱く推奨」していますが、明らかに「適応外診療」です。(私は賛成しません)
「今日本格的に生理になってしまった」
→上記通りです。
全く「当たり前」のことで、何も心配ありません。(リュープリン初回は生理がひどくなり、2回目からは止まるのです。)
『明日、血液検査をしましょう。」
→??
全く無意味。(何が目的なのでしょう?)
E2(エストラジオール)を測定するつもり?? 生理が来ているのだから「高値」なのが当たり前。(何をしたいのか?)
「私にはリュープリンが利かなかったのでしょうか?」
→上記通りです。(初回は、生理が強く誘発されるのは、常識)
その医師には、そんな知識もないのか??(信じがたいですが…)
「この場合、これからの治療はどうなるのでしょうか?」
→普通です。
ただし、(私なら)適応外診療は勧めません。
「血液検査の結果、閉経が認められなかった場合」
→そもそも…
初回のリュープリンで「閉経値となる」という認識を乳腺外科医が持っているとしたら…(ちょっと、信じがたいですが)
「放射線治療は予定通り始めても大丈夫でしょうか?」
→勿論!
全く正常な経過です。
ご安心を。
「やはり遺伝子検査は受けた方が良いでしょうか?」
→不要。
非浸潤癌では(もしも変異があったとしても)OlympiAに入れないので全く無意味です。『今週のコラム 135回目 対象者をBRCA変異のある転移再発乳癌に絞った臨床試験がOlympiADなのです。』をご参照のこと