[管理番号:6012]
性別:女性
年齢:56歳
お忙しいところ、初歩的な質問で大変申し訳ございません。
よく「胃がんや肺がんがリンパ節に転移して」という言葉を聞きますが、乳がんのリンパ節転移と他臓器のリンパ節転移は同じ意味なのでしょうか。
自身の乳がんの術後検査で、
リンパ節にSNB(1/1) LevelⅠ(1/5) LevelⅡ(1/3)がありましたが、リンパ管侵襲はly0でした。
乳がんの場合、リンパ節からリンパ管へ進んでから全身に転移する可能性が高まるのでしょうか。
リンパ節とは、場所ではなく全身どこでも同じなのでしょうか。
普段の診察ではこのような質問を聞く余裕がありません。
先生の患者さんに対する親身な回答に、改めて知ることが多々あります。
今回もどうぞ宜しくお願い致します。
田澤先生からの回答
こんにちは。田澤です。
リンパ節転移(リンパ行性転移)と遠隔転移(血行性転移)を「ごちゃ混ぜ」にしていますね?
まずは『今週のコラム117回目 更に、術中に『出血しながら手術している』医師の場合には「血液も視野の妨げ」となるので、ますます、「SNの誤認のリスクが増す」のです。』を熟読することをお勧めします。
★リンパ節転移は、あくまでも「リンパ管」⇒「リンパ節内」⇒「リンパ管(を通って)」⇒(次の)「リンパ節内」⇒「リンパ管(を通って)」⇒(次の次の)「リンパ節内」のように「リンパ管を通ったリンパ節への一方向の癌の拡がり」なのです。
それに対して遠隔転移(血行性転移)は、「血管」から「全ての臓器にランダムに入りうる」ものです。
以上を御理解された上で…
「乳がんのリンパ節転移と他臓器のリンパ節転移は同じ意味なのでしょうか。」
⇒その通りです。
「乳がんの場合、リンパ節からリンパ管へ進んでから全身に転移する可能性が高まるのでしょうか。」
⇒誤りです。
「リンパ管から全身」というのが全くナンセンス。
「リンパ管からは(次の)リンパ節」へ(更に次の次の…)ということです。
「リンパ節とは、場所ではなく全身どこでも同じなのでしょうか。」
⇒全くナンセンスです。
今週のコラム117に記載したように…
「リンパ節は(全身ではなく)あくまでも局所」なのです。