[管理番号:8585]
性別:女性
年齢:33歳
病名:
症状:
投稿日:2020年5月30日
こんにちは。
毎日、田澤先生のホームページを拝読させて頂いております。
このたびは、二層性を消失した鎖骨上リンパ節の経過観察についてお聞かせください。
5年前、27歳の時に乳癌(ルミナールA、リンパ節転移2個、T1N1M0)になり、右胸全摘+ 腋窩郭清のちCMF、放射線、ホルモン治療(タモキシフェン+リュープリン)を3年間行い、治療中断して体外受精、現在妊娠8か月です。
ホルモン治療中断から1年9か月が経過しています。
先月、術側の右側である鎖骨上リンパ節がくりっと球形に腫れているのに気がつき、主治医にエコー検査をして貰いました。
結果は5mmほどで、良いか悪いかと聞かれたら悪い形に見える気もするが、小さすぎるし、すぐに針を刺すどうこうという話ではない。
経過観察で良い、とのことでした。
ただ、その日はエコーの機械が古いものしかなかったということで、一ヶ月後、もう一度、新しいエコーの機械で診て貰いました。
結果、術側の鎖骨上に2つ(5mm、3mm)リンパ節肥大があり、いずれも二層性の消失が見られるが、このくらい小さいサイズでは画像上はこのように見えることも多い。
また、一年前に再建手術をしているため(その後の痛みや腫れのトラブル等は一切ありませんが)、鎖骨上リンパが腫れることも有り得る。
とのことで、細胞診はしてもらうことができませんでした。
【質問①】
エコー画像上、鎖骨上リンパ節に二層性の消失があっても、大きさが5mm、3mm程度では、癌の転移でないことが多いのでしょうか?また、この場合、針生検などせずに経過観察とするのは普通なのでしょうか?
【質問②】
今後、リンパ節の大きさに変化がなければ、特に何の検査もせずに、引き続き経過観察というのもあり得るのでしょうか?
今、経過観察で済ませていることが予後に影響するのではないかと、とても不安です。
お忙しい中申し訳ございませんが、宜しくお願い致します。
田澤先生からの回答
こんにちは。田澤です。
まず驚いたのはCMFをやっていることです。
CMFは標準治療から外れて15年くらいは経過しているのに、「5年前」にCMFをやっているという文言にまず目が行きました。
可能性は2つ
1.質問者が脱毛を極端に嫌がった
2.(主治医が)80歳以上で、15年以上「知識の更新」を休止している。
おそらく1ですよね?(余談と言えば、余談ですが触れずにスルーはできませんでした)
「【質問①】
エコー画像上、鎖骨上リンパ節に二層性の消失があっても、大きさが5mm、3mm程度では、癌の転移でないことが多いのでしょうか?」
⇒まず重要な視点が欠けています。
5年前の手術の際に「2個転移があって腋窩郭清した」とありますが…
どの程度の郭清だったのか?
ちょうど、昨日アップした『今週のコラム 238回目 視野を作れて一人前』を熟読してください。
そして、その中の『8563「腋窩リンパ節再発」の場合の解釈は?』を更に注目してください。
一口に「腋窩郭清」と言っても、その範囲は(術者によって)様々となります。
もしも、質問者の郭清がレベル2までだった場合には(いきなり鎖骨上リンパ節ではなく)レベル3に再発するのです。
★まずは質問者自身が「自分はどこまで郭清されたのか?」認識することから始めましょう。
「また、この場合、針生検などせずに経過観察とするのは普通なのでしょうか?」
⇒鎖骨上リンパ節は余程大きくない限り(針生検は危険なので)細胞診となります。
「小さいから経過観察」は、世間的にはよくあること(私は全く賛成しません)
ただし、妊娠中であれば経過観察に傾くかもしれません(万が一の際でも治療ができないため)
「【質問②】
今後、リンパ節の大きさに変化がなければ、特に何の検査もせずに、引き続き経過観察というのもあり得るのでしょうか?」
⇒出産が終わった時点で、まだ腫大しているのであれば、その時に細胞診してもらいましょう。