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ルミナールB 化学療法について

[管理番号:5910]
性別:女性
年齢:40才
初めまして。
いつも大変参考にさせていただいております。
よろしくお願いいたします。
妻について質問させていただきます。
妻は自己触診で右乳房にしこりをみつけ、昨年の健康診断時に組織診を行い、9月に乳癌と診断を受けました。
健康診断とは別の乳腺専門の病院を紹介受診し、1.4×1.1cm、リンパ節転移なし、多臓器への転移なしとの診断でステージⅠと言われ、11月に右乳房温存術(円状部分切除)を行いました。
先日、1月(上旬)日に病理結果を聞きました。
結果ですが
硬癌
腫瘍の大きさ:1.3×1.0cm
リンパ節転移の個数:1個中0個
核グレード:2
Ki67:20~30%
ER:陽性(60~70%)
PgR:陽性(70~80%)
HER2:陰性
乳房温存術時の切除断片:陰性
脈管への侵襲:リンパ管なし、血管なし
主治医からは、ER・PgRが陽性だが、すごく高いわけではない、また核グレード2、
Ki67が15%以上とのことで、ルミナールBと判定、右温存乳房への放射線治療30回に加えTC4クールとタモキシフェン5年の治療を最初提案されました。
妻は、体力に自信がないことと、小学校低学年と幼稚園の子どもがいるため、生活に支障をきたすであろう化学療法をしたくない希望があります。
その旨を主治医に伝えたところ、タモキシフェン5年とLH-RHagonist 2年の治療法を次に提案されました(妻は子宮内膜症で乳癌が分かる前はディナゲストを服用していました)。
妻は、最初に提示された化学療法を断ると再発時に後悔するのではないかという思いと、化学療法による上乗せ効果が、出現するあろう副作用に見合う価値があるのかで大変迷っております(主治医は、診察時、化学療法の上乗せ効果がどれ位かは、分からないとおっしゃっていました)。
そこでお伺いしたいのですが、
1.化学療法の上乗せ効果は、再発率や生存率において、ホルモン療法と比べてどれ位になるのでしょうか?
2.タモキシフェンのみの投与は、子宮内膜症に悪影響はないのでしょうか?
3.Ki67が20~30%ではOncotypeDXを行った方が良いでしょうか?(先生のコラムやQ&Aを拝見しましと、グレーゾーンと思われました)
お忙しいところ恐縮ですが、よろしくお願いいたします。
 

田澤先生からの回答

こんにちは。田澤です。
まず重要なのは(担当医の不可解な言動など、「どうでもよく」)明らかな早期乳癌であること。
情報が複雑となり、(それに乗じて)物事を複雑に表現することにより、「優れている(俺って、こんなこともしってるよん!」と勘違いしている人達がいろいろ言っていますが…
物事は極めてシンプルにできています。
今週のコラム113回目を読んで解るように、1期なのだから、5年生存率は「96.63%」あるのです。(これは、「悪性度が高い」だの戯言を言っている担当医にも無視できない数値なのです)
今週のコラム113回目 つまり勝負は2回あります。1回目は早期発見、これによりA群である確率を上げ、そして第2の勝負は術後治療によりB群となる確率を上げる事なのです。
「主治医からは、ER・PgRが陽性だが、すごく高いわけではない、また核グレード2、Ki67が15%以上とのことで、ルミナールBと判定」
⇒全く根拠がない。
 今時Ki67の境界を15%と考えている医師がいるとは到底信じられない(疑うならOncotypeDXを実際にやってみれば解ります)
「1.化学療法の上乗せ効果は、再発率や生存率において、ホルモン療法と比べてどれ位になるのでしょうか? 」
⇒初期のQandAでは、これらにも回答していましたが…
 現在は「ルミナールタイプ」では、それらの値(NewAdjuvant.comなど)は無意味と考え、(ルミナールタイプには)回答していません。
 理由は簡単、「ルミナールA」では上乗せがなく、「ルミナールB」では上乗せが高いのです。
 ♯(NewAdjuvant.comは)それらを混ぜてしまっているから無意味なのです。
   その値を知りたいのなら「OncotypeDX」するしかありません。
「2.タモキシフェンのみの投与は、子宮内膜症に悪影響はないのでしょうか?」
⇒かなり「悪影響」が予想されます。
 
「3.Ki67が20~30%ではOncotypeDXを行った方が良いでしょうか?(先生のコラムやQ&Aを拝見しましと、グレーゾーンと思われました)」
⇒その通りです。