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ルミナルB HER2 3+

[管理番号:4782]
性別:女性
年齢:49歳
 
おはようございます。
お忙しいところ申し訳ありませんがよろしくお願いいたします。
 
乳癌の告知をうけました。
まだ、告知の衝撃から立ち直れずにいます。
けど、前を向いて治療もしていかないといけません。
病理結果は、ルミナルB HER2 3+です。
ホルモンは、90%以上陽性といわれました。
硬癌、グレード1、腫瘍計6ミリからも7ミリ。
オペは6月(上旬)日です。
 
やはり、私の主治医も、HER2が高い事を気にしていました。
転移、再発の危険度は高いと。
温存という話しですが、全摘しなくても大丈夫でしょうか?
また、オペ後の治療もケモを始めるかどうかは分からないと言われました。
転移していなければやらなくてもよいのですか?
 
抗がん剤をやってもやらなくても、生存率にはさほど変わりがないとも話されました。
できれば根治を目指して、前向きにいきたいと思っております。
今現在の生存率や再発率はどのくらいでしょうか?
 
よろしくお願いいたします。
 

田澤先生からの回答

こんにちは。田澤です。
 
物事はシンプルに考えましょう。
「予後はステージ」と、「治療法はサブタイプ」と関連するのです。
質問者はcT1b(7mm), cN0だとすると、「再発低リスク」それ以外の何物でもありません。
 
「私の主治医も、HER2が高い事を気にしていました。転移、再発の危険度は高いと」
⇒こんな「戯言」は今すぐ忘れましょう。
 同じ医師として「とても」悲しく感じています。
 
「温存という話しですが、全摘しなくても大丈夫でしょうか?」
⇒術式(温存か全摘か?)は「拡がり診断」のみで決めましょう(サブタイプは無関係)
 きっとMRIで拡がり診断をしているのでしょうから、「拡がりが限局」していれば温存が適応となります。
 
「また、オペ後の治療もケモを始めるかどうかは分からないと言われました。」
⇒手術後の病理で決まるのです。
 抗HER2療法は「浸潤径≦5mm」では適応外となるし、「5mm<浸潤径≦10mm」では考慮します。(必須ではありません)  ○浸潤径>10mmならば推奨されます。   ♯浸潤径とは(顕微鏡による)「病理診断での大きさ」です。  
「転移していなければやらなくてもよいのですか?」

⇒違います。(上記を参考に)
 
「抗がん剤をやってもやらなくても、生存率にはさほど変わりがないとも話されました。」
⇒抗HER2療法は「再発率を半分」にします。
 ただ、もともと「早期出あり、再発率が低い」場合には「さほど変わりがない」ことになります。
 例)
  (進行している)患者さん (抗HER2療法前が)再発率30%⇒(抗HER2療法をすると)再発率15%
  (早期の)患者さん    (抗HER2療法前が)再発率5%⇒(抗HER2療法をすると)再発率2.5%
   ★前者が「再発率を15%下げる」のに対し、後者は「再発率を2.5%しか下げない」ことが理解できますね?
     質問者は「当然」後者よりなのです。
 
「今現在の生存率や再発率はどのくらいでしょうか?」
⇒病理結果がでてから考えましょう。
 
 

 

質問者様から 【質問2】

田澤先生、お疲れ様です。
前回はありがとうございました。
 
無事に手術も終わり、病理結果も出ましたのでご報告させていただきます。
乳房切除術施行(部分切除と迷いましたが、私の希望で全摘しました)
 組織型:乳頭腺管癌>硬癌、乳管内進展(+)
 大きさ:浸潤巣(5×5mm)、全体(5×12mm)
脈管侵襲:ly(1)、v(0) 核異型度:NG2
 切断断端:陰性(とり切れています)
 リンパ節転移:陰性 SN(0/2)
ER:Score3b PgR:Score3a HER2:Score3
Ki-67 25.9% pT1a pN0 M0 Stage1A
主治医より、手術のみで5年生存率97%、10年生存率90%との事で、再発率については話がありませんでした(気になります)
術後補助療法は、浸潤巣も小さいので、抗がん剤の適応にはならないが
(上乗せが少ないと)HER2陽性であることからハーセプチン単独療法+ホルモン剤の服用をすすめられました。
 
先日よりホルモン剤服用を始めました。
① 田澤先生はこのブログで脈管侵襲ly(1)は気にしなくてもよいとコメントされていますが、そのとおりでよろしいですか?放射線治療する必要ありますか?
 
③ グレード2、Ki-67 25.9%だと再発率に関わってきますか?
 
④ 今までの先生のコメントを拝見しておりますと、HER2陽性でも5m
m以下では抗がん剤(抗ハーツー療法)を考慮するとありますが、主治医はハーセプチンはした方がよいと。
私としては再発率が減るならどんな治療もするつもりでおります。
田澤先生ならはどのような治療をされますか?HER2:Score3という結果がとても気になります。
治療をしなければまた再発するのでは?と考えてしまいます。
もし、ホルモン治療のみでいく場合 10年後の再発率、生存率を教えていただけますか?
 
⑤ 根治は目指せますでしょうか?できればあと20年元気でいたいと思っております。
よろしくお願いいたします。
 

田澤先生から 【回答2】

こんにちは。田澤です。
 
浸潤径5mm
良かったですね。
間違いなく、超低リスク。化学療法(抗HER2療法も含む)は適応外となります。
○ただ、悲しい事に担当医は「(化学療法併用無しでの)ハーセプチン単剤」を推奨しているようですが…
 絶対に「ハーセプチン単剤はおこなってはならない」治療(誤った治療と言えます)です。(全くエビデンスがない)
 つまり、このケースでは「ホルモン療法単剤とすべき」なのです。
 
「① 田澤先生はこのブログで脈管侵襲ly(1)は気にしなくてもよいとコメントされていますが、そのとおりでよろしいですか?」
⇒全く無関係
 
「放射線治療する必要ありますか?」
⇒ありません。
 全摘後の放射線の適応は「リンパ節転移4個以上」です。
 
「③ グレード2、Ki-67 25.9%だと再発率に関わってきますか?」
⇒無関係です。
 
「④ 今までの先生のコメントを拝見しておりますと、HER2陽性でも5mm以下では抗がん剤(抗ハーツー療法)を考慮するとあります」
⇒全くの勘違いです。
 浸潤径≦5mm    抗HER2療法の適応外
 5mm<浸潤径≦10mm 抗HER2療法を考慮する
 10mm<浸潤径   抗HER2療法の絶対的適応
 
「主治医はハーセプチンはした方がよい」
⇒誤りです。
 (化学療法併用無しの)ハーセプチン単独療法は絶対にしてはならないのです。
 
「田澤先生ならはどのような治療をされますか?」
⇒抗HER2療法の適応外です。
 当然、抗HER2療法は行いません。(ホルモン療法単独です)
 
「10年後の再発率、生存率を教えていただけますか?」
⇒5mmでは統計的データなど存在しません。
 ほぼ根治と考えるべきです。
 
「⑤ 根治は目指せますでしょうか?」
⇒上記通りです。
 
 

 

質問者様から 【質問3 ルミナルB HER2 3+】

性別:女性
年齢:50歳
 
先生、お疲れ様です。
お忙しいところ大変申し訳ありません。
 
手術から一年がたち、術後検診をしました。
乳腺のUSで、技師さんが、『乳管開いているね』と、ぽつりと言われました。
『詳しい事は先生から聞いてくださいね』と、付け加えられましたが、もう突然の事で動揺してしまいました。
 
来週に、診察がありそこで主治医から結果を聞きます。
その前に先生に、お聞きしたいです。
1 乳管が開くという事は、乳癌ができる前の段階という事でしょうか?
(私は閉経しております)
ステージ1から、反対側にできる事は、あるのでしょうか?
よろしくお願いいたします。
 

田澤先生から 【回答3】

こんにちは。田澤です。
 
「1 乳管が開くという事は、乳癌ができる前の段階という事でしょうか?」
⇒全く無関係です。
 其の技師も「余計なこと」を言ったものです。(忘れてしまいましょう。
 
「ステージ1から、反対側にできる事は、あるのでしょうか?」
⇒全くの勘違いです。
 ステージがいくつであろうと…
 乳癌が「対側に転移することは1000%ありません」
 対側に癌ができた場合には、それは「100%、(転移ではなく)新規発生」となります。

 
 


 

質問者様から 【結果4 ルミナルB HER23+】

性別:女性
年齢:50歳
病名:乳癌
田澤先生の診察:[診察なし]
田澤先生の手術:[手術なし]

無事に一年後検診も終わり、乳管が開いているのはあまり気にしなくてよいとの、主治医の意見ありました。事前に田沢先生から意見を頂いていたので当日は動揺せずにすみました。ありがとうございました。

その後主治医が交代しまして、また、HER2陽性は再発率が高いと言われるかと思いましたら、この大きさで見つかるのは素晴らしい事だし、もし、再発の心配をしているようなら、年間8万人の乳癌患者さんたちに失礼だよ。もちろん、油断大敵だけど、リスクはかなり低いからね。
と、言われました。田沢先生と同じ事を言われた!と嬉しくなりました。

また、何か疑問に感じる事がありましたら、質問させていただきます。
田沢先生のますますのご発展を心より祈念いたします。

<Q&A結果>

 
 

 

質問者様から 【質問5 】

皮膚再発とは?
性別:女性
年齢:52歳
病名:乳癌
症状:

先生お疲れ様です。

いつも乳がんプラザ拝見し、先生の言葉を自分の心に刻んでおります。

術後2年が過ぎました。
二ヶ月前の定期検査も何事もなく安堵しました。
(肺CT、骨シンチ、マーカー)

最近、術後の胸とその背中にできもの?ニキビのようなものが出現し、
皮膚科受診したところ、帯状疱疹と診断され安堵したところです。

ところが、また、首や、首の近くに今度は赤くない発疹が出現しました。
3ミリ楕円の盛り上がりあり。
沢山できました。
やや、術後の部分にも近いところにもあります。
心配になり質問です。

私のようなステージ1などでも、皮膚再発などはありえるのでしょうか?
皮膚再発は、どのような症状になるのでしょうか?
発疹ができるたびに、心配するのはメンタル的にも良くないと思っています。

どのような状態だと、医師に相談するのが望ましいですか?
お忙しいところ、大変申し訳ありませんが質問お願いえたします。

 

田澤先生から 【回答5】

こんにちは。田澤です。

「皮膚再発は、どのような症状になるのでしょうか?」
⇒これが意外と難しい。
 私の経験から「是非とも」参考にしてもらいたいのは、『腫瘍が(もと)あった部位の周辺』だということです。
 皮膚転移が拡がる中で「頚」や「背中」へ広がることはあっても、それはあくまでも「腫瘍のあった部位の周辺から、徐々に広がる」のであり、「最初から腫瘍の部位と離れた部位に出ることは非常に稀」と考えてください。

「首や、首の近くに今度は赤くない発疹が出現」「やや、術後の部分にも近いところにもあります。」
⇒診察していないので、断言は(勿論)できませんが…

 メインが「首や首の近く」であり、術後の部分は「やや近い」程度なので、皮膚転移ではなさそうに思います。

 
 

 

質問者様から 【質問6 】

肋骨の痛み
性別:女性
年齢:52歳
病名:乳癌
症状:

お疲れ様です。
先日はありがとうございました。

帯状疱疹も完治し、皮膚もきれいになりました。

術後2年。
不安になる時は、先生の言葉を読み返して自分を勇気づけております。

そんな中、最近肋骨がシクシクと痛むようになりました。

今年の6月に、CTと骨シンチを行い異常はなかったのですが、その一ヶ月後くらいからシクシクするようになり、、その位なら私も気にはしないんですが、今もたまにシクシクします。
同じ部位です。
押すと痛かったり痛くなかったりです。
続くので不安になりました。

これは、検査をした方がいいのか?はたまた、様子をみて次回の定期受診の時に話すべきか、悩みます。

先生方もお忙しいので、予約外で行くのも気がひけます。

先生ならどのように患者さんに話されますか?
こんな質問で申し訳ありませんが、よろしくお願いいたします。

 

田澤先生から 【回答6】

こんにちは。田澤です。

「最近肋骨がシクシクと痛む」
⇒モンドールでは?
今週のコラム 93回目 創部の下が痛い場合には「骨(肋骨)転移?」と、心配されるようです』をご参照のこと。

 もしも創部の下でなければ(手術の対側など)、肋骨のレントゲンだけ撮ってもらいましょう。

 
 

 

質問者様から 【質問7 】

骨転移について
性別:女性
年齢:52歳
病名:乳癌
症状:腰の痛み
投稿日:2020年5月9日

先生お疲れ様です。
術後3年を迎えようとしています。
色々と思い悩む事もありましたが、そんな時はこのプラザを拝見し参考させていただいていました。
それでも気になる事がありましたので、お忙しいところ大変申し訳ありませんが、ご質問お願いいたします。

一ヶ月前より、背骨の痛み、押すと痛いなどの症状あり。
骨盤も痛いため整形受診しました。
レントゲンは異常なしでした。

プラザを拝見しますと、整形の医師によるレントゲンが確実とありました。

1 安心してよいでしょうか?
2 どのような場合には、MRIなど必要でしょうか?
よろしくお願いいたします。

 

田澤先生から 【回答7】

こんにちは。田澤です。

「1 安心してよいでしょうか?」
⇒そう思います。

「2 どのような場合には、MRIなど必要でしょうか?」
⇒整形外科医がMRIが必要と判断しない限り、不要と思います。

 ただし、どうしても気になるなら(MRIは被爆がないので)撮影すると安心です。

 
 

 

質問者様から 【質問8 】

肺転移?
性別:女性
年齢:52歳
病名:乳癌
症状:肺結節
投稿日:2020年6月26日

田澤先生お疲れ様です。

お忙しいところ大変申し訳ありません。

長文になりますが、よろしくお願いいたします。

術後3年を経過しました。

先日質問させていただいた、腰の痛みはまだ続いておりますが、
先生の言葉で励まされ、定期検診まで乗りきれました。
ありがとうございました。

そして定期の検査→骨シンチ、CT検査、腹部エコー施行。

結果説明にて、肺に新規結節が出現したと主治医より話があり、
右下葉に、1ミリ程度のものが2個。
(多発でしょうか?)他は異常なしでした。

主治医は、「炎症性かもしれないし、小さすぎて放科の先生も分からないと言ってた。
ただ短期で経過を追うようにと指示があるから次回CTね。
最近のCTは精度がいいからなんでも拾うし、痰が肺に入り込んでしまって炎症になりうるもあるから。でもきちんと調べないと。」などの話しを聞く事ができました。

この様な症例はあるか聞いたところ
「いますよ。多くはないが。そして経過観察になる方や、生検になる方もいる。」
とりあえず今の段階では何も分からないと言われました。

ステージ1 で浸潤5ミリであったから再発は滅多にしないと思っていたと伝えると、俺もそう思うよ。と言ってくださいました。

実はCTが三ヶ月後の予定だったんですが、私があまりにも心配していたので、二ヶ月後となりました。

CTの読影です。

「今回、右肺下葉S8/9胸膜下に新たな微細陰影あり。非特異的であり、炎症性も考慮。短期で経過を観察して下さい」

質問です。

1 小さすぎて分からない事ありますか?

2 肺転移は最初から大きいですか?1ミリくらいからですか?

3 短期での経過観察とは、もしかしたら消滅する可能性でしょうか?それとも増大?

4 非特異的とは、良性ではないという事でしょうか?

5 プラザを拝見しますと、炎症性肉芽のものがたまにCTに写る事がある。
とありましたが、2個も写りますか。

6 単発でないのは、悪性かもしれませんか?

7 二ヶ月後の検査で分かると主治医は話しました。プラザでは、
良性なら六ヶ月後に検査が妥当とありました。
私の場合は短期なので、むしろ悪性を疑っているのでしょうか?

8 ステージ1 で、浸潤5ミリで再発もありえますか?ゼロとは言
いませんが、pT1aで、再発は稀なのでしょうか?

動揺していまして、沢山の質問となりました。

よろしくお願いいたします。

 

田澤先生から 【回答8】

こんにちは。田澤です。

私の(独断的な)印象からすると…
放射線読影医は(乳癌の患者さんと言う先入観があるため)「過大に評価」しているように思います。
肺底部(胸膜下)は、いかにも炎症性肉芽が起こりやすい部位です。

「1 小さすぎて分からない事ありますか?」
⇒勿論、その大きさでは評価など不可能です。

「2 肺転移は最初から大きいですか?1ミリくらいからですか?」
⇒常識的に考えましょう。

 癌細胞は「転移でも転移でなくても」数μmから徐々に大きくなっていきます。

「3 短期での経過観察とは、もしかしたら消滅する可能性でしょうか?それとも増大?」
⇒考えすぎ。
 「1年後にしない方がいいですよ」という程度の意味です。

「4 非特異的とは、良性ではないという事でしょうか?」
⇒(これは、これだね!というような)典型的な所見ではないという意味です。(考えすぎ_!)

「5 プラザを拝見しますと、炎症性肉芽のものがたまにCTに写る事がある。
とありましたが、2個も写りますか。」

⇒勿論!
 通常は複数です。

「6 単発でないのは、悪性かもしれませんか?」
⇒無関係!(上記)

「私の場合は短期なので、むしろ悪性を疑っているのでしょうか?」
⇒全く考えすぎ!

「8 ステージ1 で、浸潤5ミリで再発もありえますか?ゼロとは言いませんが、pT1aで、再発は稀なのでしょうか?」
⇒稀であることは統計的に明らかです。
 ご安心を。

 
 


 

質問者様から 【結果9】

肺は炎症でした
性別:女性
年齢:53
病名:なし
田澤先生の診察:[診察なし]
田澤先生の手術:[手術なし]

田澤先生 お疲れ様です。

あれから二ヶ月たち、再CT検査しました。
結果は
「前回出現の右肺下葉の陰影は消退」
でした。
主治医も、炎症かな?と話してました。
安堵しました。

前回の田澤先生の回答を拝読した際、涙が止まらず心が救われる気持ちで一杯でした。そして検査まで乗り切る事ができました。どんな良薬よりも先生の「大丈夫だよ」が1番効き目がある様に感じました。

先生、お忙しい中、ありがとうございました。

<Q&A結果>