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術後治療方針(ルミナールbでの抗癌剤使用にかんして)

[管理番号:4986]
性別:女性
年齢:41歳
はじめまして、乳癌と診断されてからこちらで勉強させていただいておりました。
先生のような経験豊富な医師に直接質問出来る場を設けていただきましたこと、心から感謝致します。
術後治療方針に関してご教示いただけますでしょうか。
3/中旬 針生検結果(DCIS)
4/中旬 手術(右全摘出)
5/ 末 術後病理結果 浸潤性乳管癌一般型 乳頭腺管癌 (浸潤径1.5cm)ルミナールb
—–術後病理結果—–
Extensive non invaslve ductal carcinoma,with invasive foci Comedo patiern主
体のDCIS病巣が60×20×40mmの範囲に拡がってその中に浸潤癌の像が
15×10×10mm程見られる。
グレード1
Tubulay differentiation 2
核異型 2
核分裂像 1
ER 90%
PgR (-)
HER2 (-)
Ki67 30%
(ly0) (v0) f(+) s(-)
センチネル(0/3) 所属(0/2)
——-術後治療——-
ノルバディクス5年
LH-RH注射2~3年
主治医からの説明では多少再発リスクはあるが抗癌剤の適応ではないとの事で、LH-RH注射は年齢で迷ったけれど対側の予防の意味でやっておいたほうが良いとのお話でした。
化学療法無しで良いものか悩んでおります。
①田澤先生ならばどのような治療方針でしょうか。
抗癌剤使用に関してはオンコタイプDXしないならば化学療法はどうすべきと思われますか。
②私の病理に近い場合、抗癌剤やる方とやらない方の割合はどの様な比率になっているのでしょうか。
その他、PgR(-)が気になり調べていると以下の2つの記事を目にしました。
○術後に内分泌療法のみを受けた乳癌における遠隔再発の予測因子はPgR陰性、高度脈管侵襲、Ki-67値30%以上
【乳癌学会2012】
http://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/all/gakkai/sp/jbcs2012/201207/525726.html
○ER陽性かつHER2陰性乳癌患者における予後予測因子としてのPgRの至適カットオフ値は20%
【癌治療学会2013】
http://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/all/gakkai/sp/jsco2013/201310/533188.html
↑いったいどのくらいリスクがあがるのか内容が難しくて良く分かりませんでしたが文末に
~早期乳癌患者の遠隔再発・癌死の予測因子として、脈管侵襲が高度(Ly3)、PgR陰性
(1%未満)、Ki-67値が高い(30%以上)が抽出されたことから、ER陽性/HER2陰性
乳癌でこれらの条件にあてはまる患者では、化学療法の追加を検討する必要がある」~
と結論づけられており、私もこれに2つの該当がありますので気になりますので、ぜひ先生のご意見をお伺いしたいのです。
③再発予測因子としてPgR(-)はどの程度のリスク因子なのでしょうか。
又、先生の感覚では「早期」におけるER陽性でPgR陰性乳癌のホルモン療法単独の再発率が高いという印象はありますでしょうか。
④ER陽性/HER2陰性乳癌でPgR陰性の場合、Ki67値が低値であってもルミナールbとして抗癌剤の適応となり、オンコタイプDXでハイリスクと出やすかったりするのでしょうか。
⑤10年無再発生存率を教えて頂けますでしょうか。
(無治療、ホルモン療法、ホルモン療法+化学療法)
術後から2ヶ月以上経過してしまい焦りから、質問も多く大変読みずらい文章になってしまいお忙しいのに誠に申し訳ございません。
何卒宜しくお願い致します。
 

田澤先生からの回答

こんにちは。田澤です。
術前診断(非浸潤癌)⇒術後病理(浸潤癌)とはいえ、pT1c(15mm), pN0, luminal
完璧な早期癌です。
核分裂1とKi67=30%からするとルミナールAの可能性が高そうです。
とはいえ、グレーゾーンなのでOncotypeDXを勧めますが、(もしも、しないとしても)化学療法を勧めることはありません。
「①田澤先生ならばどのような治療方針でしょうか。」
⇒上記通りです。
「抗癌剤使用に関してはオンコタイプDXしないならば化学療法はどうすべきと思われますか。」
⇒強くは勧めません。
 ホルモン療法だけでもいいと思います。
「②私の病理に近い場合、抗癌剤やる方とやらない方の割合はどの様な比率になっているのでしょうか。」
⇒少なくとも当院では…
 抗癌剤やらない方が圧倒的に高いです。
 ○私の印象では…
  もしもOncotypeDXやると「ハイリスクとなるのは2割以下」となります。
  ♯中間リスクでは化学療法はやりません。
「私もこれに2つの該当がありますので気になりますので、ぜひ先生のご意見をお伺いしたいのです。」
⇒まず「Ki67=30%は決して高い値ではない」ということ。
 これは、実際に当院でOncotypeDXをやっていると解ります。
 また、PgRは評価が難しいので(少なくとも、私は)殆ど意識していません。
「③再発予測因子としてPgR(-)はどの程度のリスク因子なのでしょうか。」
⇒上記通りです。
「早期」におけるER陽性でPgR陰性乳癌のホルモン療法単独の再発率が高いという印象はありますでしょうか。」
⇒そもそも…
 皆さんが心配するほどには「早期乳癌はめったに再発しない」ので、「どういう人が再発しやすいか?」というような印象そのものがありません。
 少なくとも、「PgR陰性だと、再発率が高い」など感じた事はありません。
「④ER陽性/HER2陰性乳癌でPgR陰性の場合、Ki67値が低値であってもルミナールbとして抗癌剤の適応となり、オンコタイプDXでハイリスクと出やすかったりするのでしょうか。」
⇒それはありません。
「⑤10年無再発生存率を教えて頂けますでしょうか。」
⇒ルミナールAとBが混ざった数字ですが…
 無治療  81%
 ホルモン療法単独 87%
 ホルモン療法+化学療法 91%
 ○実際には化学療法による上乗せは
  ルミナールAなら 2%以下
  ルミナールBなら 8%以上
   という感じだろうと思います。