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全摘後の局所再発

[管理番号:823]
性別:女性
年齢:43歳

質問者様の以前の質問

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管理番号:417「しこり発見後の初診」

 
 

質問者様の別の質問

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管理番号:1026「ノルバデックスの休薬

 
 
田澤先生に回答を頂き、Q&Aで勉強させて頂いて、
今後の治療を決断することがてきました。
いつもありがとうございます。
今回、悩みましたが、再手術で全摘を選択しようと思います。
しかし、また疑問と不安があり、質問させてください。
術後の病理結果では、最大浸潤径は7mm+4㎜の2個。
サブタイプに変更はありませんでした。
断端陽性ですが、2ヶ所あり(バラバラの方向)、断端5mm以内に非浸潤癌が見つかり、
いずれも乳管内進展だと考えられるとの事でした。
質問1.
私の場合、全摘手術をしても断端陽性が出ることがあるでしょうか?
乳腺をすべて取りきっていれば、断端陽性が出ても心配ないのでしょうか?
質問2.
全摘しても、大胸筋や全鋸筋に局所再発が起こることがあるとQ&Aで拝見しましたが、私のような7㎜の浸潤癌の場合でも起こりうるのでしょうか?
質問3.
7㎜+4㎜で乳管内進展が多くみられる場合、皮膚や胸膜に浸潤している可能性は大きいのでしょうか? 
質問4.
全摘後の放射線照射の適応はリンパ節転移4個以上の場合で、その場合「胸壁」と「鎖骨上窩」に照射する・・・だと思うのですが、私はリンパ節転移がありませんでした。
断端陽性や皮膚・胸膜に浸潤が出たとしても、放射線はしなくてもいいのでしょうか?
質問5.
脈管侵襲 リンパ管・血管 両方陰性 でしたが、局所再発のリスクとは無関係でしょうか?
質問6.
全摘した方が局所再発率は低いとされていますが、乳がんは放射線が効きやすいという事・・。
乳腺を全部取り除いてしまっても残ってしまう癌細胞があるのであれば、放射線治療もした方がいいのではないでしょうか?
質問7.
以前 「質問者は早期であり(再発率は9%)」と回答を頂きましたが、最大浸潤径が7㎜でホルモン治療をしたうえでの10年再発率でしょうか?
よろしくお願いします。
 

田澤先生からの回答

 こんにちは。田澤です。

回答

「私の場合、全摘手術をしても断端陽性が出ることがあるでしょうか? 乳腺をすべて取りきっていれば、断端陽性が出ても心配ないのでしょうか?」
⇒全摘すれば、心配ありません。
○断端とは本来「乳腺を切った際の切り口の評価」なのです。
 乳腺を全摘出した場合には、「そもそも断端は存在しない」のです。
 
「全摘しても、大胸筋や全鋸筋に局所再発が起こることがあるとQ&Aで拝見しましたが、私のような7㎜の浸潤癌の場合でも起こりうるのでしょうか?」
⇒全摘後の「胸壁再発」は殆ど起こりません。
 
 データはありませんが、「1%以下」でしょう。
 しかもそのような少数例は「腫瘍径が相当大きい」特殊な例だけです。
 「質問者のような」7mmの浸潤癌では「全く考える必要」はありません。
 
「7㎜+4㎜で乳管内進展が多くみられる場合、皮膚や胸膜に浸潤している可能性は大きいのでしょうか?」
⇒可能性はありません。
 そもそも「7mmの標本で皮膚や筋膜浸潤は無かった」筈です。
 あらたに切除した「乳管内進展」はあくまでも「乳管内」なので、そのような浸潤はありえません。
 心配無用です。
 
「断端陽性や皮膚・胸膜に浸潤が出たとしても、放射線はしなくてもいいのでしょうか?」
⇒そもそも「乳房切除」したら断端陽性はありません。
 皮膚や胸膜に浸潤も「ありえません」ので放射線は不要です。
 
「脈管侵襲 リンパ管・血管 両方陰性 でしたが、局所再発のリスクとは無関係でしょうか?」
⇒「リンパ管侵襲高度=ly 3+」は「乳房切除後でも放射線照射した方がいい」とは思います。
 ただ、再三お話しているようなに「全摘後の局所再発(胸壁再発)はかなり特殊(稀)なこと」だということを明記しておきます。
 
「乳腺を全部取り除いてしまっても残ってしまう癌細胞があるのであれば、放射線治療もした方がいいのではないでしょうか?」
⇒「残ってしまう癌細胞」とは、どういう意味でしょうか?
 乳房切除すれば「残る癌細胞は無い筈」ですが…
 放射線は不要です。
 もしかして質問者も「全身をめぐる癌細胞」説を信じていらっしゃいますか?
 
「最大浸潤径が7㎜でホルモン治療をしたうえでの10年再発率でしょうか?」
⇒その通りです。
 更に「グレード1」と「リンパ節転移無し」のデータも反映しています。