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リンパ節局所再発の治療方針

[管理番号:7169]
性別:女性
年齢:46歳
病名:左乳がん
症状:

田澤先生

いつもお世話になっております、ID:〇〇の〇〇と申します。

この度は私自身のことではなく、友人に治療の経緯と現在の治療方針について相談を受けたところいくつかの疑念を抱きまして、田澤先生にご質問させていただきました。

ご回答いただけますと幸甚に存じます。

46歳 女性
2017 6月 左乳癌 cT3 N0 M0
2017 9月 左乳房切除術 センチネルリンパ節生検 浸潤性乳管癌
ypT2 N(0/1)M0 NG3 TN 4.0×5.0x3.3cm 断端陰性

2018 10月 CT:左胸骨傍・左腋窩 領域リンパ節再発のみ 遠隔転
移なし
骨RI:骨転移なし
脳MRI:異常なし

詳細は以下になります。

ーーーーー

今回左乳がんの胸骨傍リンパ節と腋下リンパ節に再発してしまい治療方針に迷いがありご相談お願い致します。

2017/6/(下旬)の初診時左乳がんで腫瘍は5cmあり大胸筋浸潤が疑われるとのことで術前療法(FEC)を2コースしましたが好中球減少のためECへ変更し3コース行いました。
FEC時で5cmから3cm縮小したがEC時はまた
5cmへ増大しました。
そのためタキソールに変更し1コースのみ行いましたが痛みも激しくなったため緊急手術となりました。
その後センチネルリンパ節生検、切除断面ともに陰性だったため12コースのタキソールを術後に行いその後は経過観察になりました。

昨年の3月の検診時、触診で左胸が腫れているとエコーしましたが異常なしと言われていましたので経過観察していたのですが、9月に胸骨傍リンパ節辺りにチクっとする違和感がありエコーして頂いたところ再発が見つかりました。
その後のCTで胸骨傍リンパ節2ヶ所、腋下リンパ節1ヶ所が見つかり胸骨傍リンパ節の腫瘍は2cmになっていました。

再発後は乳腺外科から腫瘍内科に移り主治医からは癌との共存になると
言われ感受性みるためにも抗がん剤を勧められました。
TS1を2クール行いましたが2cmだった腫瘍が最大3cmまで大きくなってしまいました。

抗がん剤に不安があり放射線治療など希望してみたのですがやはり抗がん剤でやってみようとハラヴェンを勧められました。

私としては領域リンパ節で留めたい、何とか腫瘍をなくしたい気持ちが強いです。

胸骨傍リンパ節は放射線治療になると思いますが腋下リンパ節は手術ができるのであればした方が良いのでしょうか?
ぜひ田澤先生のご意見を伺いしたいです。

 

田澤先生からの回答

こんにちは。田澤です。

「胸骨傍リンパ節は放射線治療になると思います」
→その通りです。

「腋下リンパ節は手術ができるのであればした方が良いのでしょうか?」
→勿論、そう思います。

 ただ、そのタイミングですが…
 現時点で「胸骨傍リンパ節」が急務なのであれば、「胸骨傍リンパ節への照射」→「腋窩郭清」の順番の方がいいでしょう。(優先順位を決めるのが重要です)

 
 

 

質問者様から 【質問2 リンパ節局所再発の治療方針】

性別:女性
年齢:46歳
病名:
症状:

お世話になっております。
お忙しい中、迅速にご回答くださいまして、
ありがとうございました。
心より感謝申し上げます。

友人の放射線治療開始が3月上旬に迫っており、間をあけずの投稿となりますことご容赦ください。

腋窩郭清手術に対する疑問、放射線治療の照射範囲(手術との兼ね合い)、また現在の状態を1度診察していただきたいということで、手術申し込みメールを本人より送信しました。
どうぞよろしくお願い致します。

以下、質問です。

ーーーーーー
胸骨傍リンパと胸壁、鎖骨上、頸部、腋窩リンパと放射線治療を受ける予定ですが、手術するのであれば腋窩リンパも照射しても良いのでしょうか?

また胸骨傍リンパの腫瘍は表面部分は2.5cm、深部に3cmの大きさになってしまうのですが、放射線治療で根治ができなかった場合、その後の治療はどのようにすべきと考えられますか?

 

田澤先生から 【回答2】

こんにちは。田澤です。

「胸骨傍リンパと胸壁、鎖骨上、頸部、腋窩リンパと放射線治療を受ける予定ですが、手術するのであれば腋窩リンパも照射しても良いのでしょうか?」
→手術をするのであれば、腋窩はかけるべきではありません。

「また胸骨傍リンパの腫瘍は表面部分は2.5cm、深部に3cmの大きさになってしまうのですが、放射線治療で根治ができなかった場合、その後の治療はどのようにすべきと考えられますか?」
→全身療法となります。

 
 

 

質問者様から 【質問3 】

リンパ節局所再発の治療方針
性別:女性
年齢:46歳
病名:乳がん
症状:

田澤先生
いつもたいへんお世話になっております。

○○○○(ID:39○○○0)と申します。

引き続き友人(○○○○○ID:42○○○7)の治療方針についてご相談させていただけますと幸いです。

先日のPET検査で、胸骨傍リンパ節だけではなく縦隔(肋骨の裏側)にも転移があることが分かりました。
浜先生の説明では標準治療から外れ、自由診療になるものの、放射線治療は可能とのことでした。

現在の状態で、治療の優先順位に迷いが生じております。

A
1.トモセラピー(自由診療)で縦隔転移・胸骨傍リンパ節の治療
2.腋窩郭清手術

Aの順番ですと、放射線治療をしている間に腋窩リンパ節の節外浸潤が進行してしまった場合、血管との距離が近いとのことで、その部分の摘出ができなくなるかもしれないと、先日の田澤先生の診察で説明を受けたとのことです。

B
1.腋窩郭清手術
2.トモセラピー(自由診療)で縦隔転移・胸骨傍リンパ節の治療

Bの順番では、手術までの待ち時間がネックで、これからの予約では、
さらに1.5ヶ月後になってしまうのか、あるいは郭清のみということで緊急でご対応していただくことは可能なのでしょうか。
(友人曰く現在、手術日を予約していないとのことです。)手術から放射線治療に入る期間が短期間で済むのであれば、Bの方が良いようにも思えますが、友人本人は、縦隔転移が判明した現在、手術してもしなくても予後はあまり変わりなく、一般論のとおり、郭清手術をすることのメリットはない(ダメージはある)と考えているようです。
私の理解では、節外浸潤してしまうと血管への浸潤からさらなる播種、周辺の皮膚や骨へ転移し、QOLが損なわれることになるのではと考えるのですが、その理解で正しいでしょうか。
(おそらく友人は、『QOLが下がる』ということの具体的なイメージが浮かんでいないのかと思われます。)

また上記、A or Bに、全身療法を組み合わせる場合、どのような順番、タイミングが考えられますでしょうか。
全身療法を優先させる場合、効果の程度で、後々手詰まりになってしまうのではないかと危惧しています。

タキサン系に抵抗性があるTNなのでレジメンの選択肢があまり多くはありません。

※このQA内容について、投稿前に友人に目を通してもらい、齟齬がないことを確認しております。

お忙しいところ恐れ入りますが、どうぞよろしくお願いいたします。

 

田澤先生から 【回答3】

こんにちは。田澤です。

「本人は、縦隔転移が判明した現在、手術してもしなくても予後はあまり変わりなく、一般論のとおり、郭清手術をすることのメリットはない(ダメージはある)と考えている」
→ご本人がこのように考えている以上、(そもそも再発治療にはスタンダードは存在しないことも併せ)「腋窩郭清を強く勧める」ことはありません。

〇「腋窩」より「胸骨傍リンパ節」への治療が最優先であることは間違いないので以下の選択肢となるのではないでしょうか?

選択肢1 トモセラピー後に手術を予定する(トモセラピー後の状況により手術ではなく、腋窩もトモセラピーへ変更する可能性あり)
1.トモセラピー(自由診療)で縦隔転移・胸骨傍リンパ節
2.(トモセラピー後に)手術の予定を立てておく→照射が終了した時点で(手術可能なら)手術 もしくは(手術困難ないしは、ご本人が手術をためらうなら)再度「腋窩へのトモセラピー」

選択肢2 手術を予定しない
トモセラピー(自由診療)で縦隔転移・胸骨傍リンパ節に加え、(最初から)腋窩も照射野に加える。