[管理番号:8553]
性別:女性
年齢:89歳
病名:乳癌
症状:
投稿日:2020年5月21日
こんにちは。
お世話になります。
89歳の母が3月末に胸部CT検査、病理組織検査により乳癌の告知を受けました。
経緯は母はが褥瘡で入院中に、胸にピンポン球大の突起があるのを看護師が発見したことによりま
す。
CT検査報告書には半年前のCT検査との比較
が「既知の乳癌」という表現で記入されておりましたが、半年前には本人にも家族にも腫瘍の存在
すら知らされておらず、3月に初めて乳癌の告知を受けた次第です。
「CT所見の内容」
左乳腺A/B領域に21mm大の結節性病変、乳癌。
半年前のCTと比較して増大傾向。
前方では皮膚、
後方では肋骨筋に近接、浸潤の有無に関しては要造影MRI検査。
また左乳腺の軟部濃度が対側と比
較して目立つ。
明らかなリンパ節転移、肝転移や副腎転移を認めない。
右中葉に小結節を認め、半年前CTと比較して明らかな変化はないが、肺転移の否定のため慎重な経過観察が必要。
左側胸水、左第8-10陳旧性肋骨骨折、複数の脊椎圧迫骨折。
両側肺野の背側は無気肺の疑い。
両側肺野には索状のopacityを認め、陳旧性炎症性変化や板状無気肺と考えられる。
気管支壁の肥厚を認め、慢性気管支炎を疑い。
軽度心拡大、冠動脈の石灰化を認める。
右腎嚢胞を認める。
「病理組織学的診断の内容」
左乳腺A、悪性
診断:Invasiveduotal carcionma, solid-tub type
ER(+)(PS5+IS3=TS8),PgR(+)(PS1+IS4=TS5, 5%, J-score2), HER2(-)
Ki-67 index:約20% at hot spot.
母は認知症で言葉も話せず寝たきりです。
言語能力がどの程度なのか分かりませんが、MRIはうつ伏せになるのを拒絶し行えませんでした。
血液採取にも抵抗し、腕を抑える人が必要になります。
食事は流動食を全介助で残さず完食しているとのことですが、何故かかなりの栄養失調状態にあるようです。
余命を少しでも伸ばしつつQOLもできるだけ高く保ちたいと思っておりますが、私ではどのように
対応すべきか判断が難しく、質問をさせていただきます。
ご多忙のところ大変恐縮ではございますがご教示のほどよろしくお願い申し上げます。
1、一般にMRIも行えない状況下で、手術を行うことが臨床的に可能であるのか。
2、上記のような身体状況下において、身体への負担を考えても手術が推奨されるのか。
3、右中葉にある小結節が肺転移の可能性はどの程度と考えられるのか。
4、すでに転移が起こっていた場合、手術による体力消耗等により転移巣に悪影響を及ぼしうるのか。
5、仮に手術を行わず、ホルモン療法等で治療を行った場合、どの程度の生存率が期待できるのか。
6、手術以外の治療法において、身体的負担が問題になることはあるのか。
7、手術をせず皮膚浸潤が起こった場合、身体的苦痛からQOLは大きく下がってしまうのか。
8、担当医から腫瘍の半分程度は水との説明を受けたが、どのような状況だと解釈したらよいか。
田澤先生からの回答
こんにちは。田澤です。
「1、一般にMRIも行えない状況下で、手術を行うことが臨床的に可能であるのか。」
⇒ご本人の協力を得られないケースでは他に治療手段がある以上(この場合はホルモン療法)、手術の選択にはならないでしょう
「2、上記のような身体状況下において、身体への負担を考えても手術が推奨されるのか。」
⇒手術による身体の負担は大したことありませんが、上記理由で手術は推奨されません。
「3、右中葉にある小結節が肺転移の可能性はどの程度と考えられるのか。」
⇒極めて低いと思います。
「4、すでに転移が起こっていた場合、手術による体力消耗等により転移巣に悪影響を及ぼしうるのか。」
⇒手術には体力消耗などありません
「5、仮に手術を行わず、ホルモン療法等で治療を行った場合、どの程度の生存率が期待できるのか。」
⇒年齢と基礎疾患からすると…
「天寿を全うできる」可能性は高いと思います。(つまり乳癌が原因では亡くならない)
「6、手術以外の治療法において、身体的負担が問題になることはあるのか。」
⇒抗がん剤はあり得ないので、「ホルモン療法」一択となります。
ホルモン療法なら、特に問題とならないでしょう。
「7、手術をせず皮膚浸潤が起こった場合、身体的苦痛からQOLは大きく下がってしまうのか。」
⇒ホルモン療法が効かなくなって、そのような事態となる可能性はあります。
その場合には「出血」や「腐臭」など問題となってきます。
「8、担当医から腫瘍の半分程度は水との説明を受けたが、どのような状況だと解釈したらよいか。」
⇒嚢胞内腫瘍なのでは?(乳管の壁にできた腫瘍が乳管を閉塞し周囲に内用液が貯留した状態)