[管理番号:4287]
性別:女性
年齢:62歳
江戸川病院にセカンドオピニオンを申し込みましたが、予約がまだまだ先の2/(下旬)になってしまい不安で不安で、寝れず、
とても(下旬)日まで待てなくて、先に質問させてください。
12/(中旬)左胸全摘手術をしました。
術前検査ではすべて針生検も含めて、非浸潤がんだろうといわれていたので、術後は無治療だろうと楽観していたら、
0.9cmの浸潤がんがあり、抗がん剤、ハーセプチン4.5か月、ホルモン治療と言われ、目の前の世界が一変するほどのショックを受けました。
こんなに早期に見つかったのに抗がん剤・・・。
一度は受け入れたのですが、効果がない人もいると聞いています。
迷った末、担当医に抗がん剤を断りました。
「命に関わることだから、もう一度家族と相談したら」と言われ、
「命に関わる」という言葉が頭から離れず、一生この恐怖を抱えて生きていかなければならないのかと。
やはり抗がん剤を止めるというのは無謀でしょうか再発率は高くなりますか。
ホルモン療法はします。
2/(上旬)よりファマーラから開始します。
田澤先生はどう思われますか。
担当医術後病理結果
浸潤がん
しこりの大きさ 0.9センチ
リンパ節転移 なし(センチネルリンパには0.2cmあったようです)
がんの顔つき 2
ホルモン受容体 陽性
HER2受容体 陽性
がんの増殖力 ふつう
(数値では教えていただいていません。)
タキソテール+カルボプチン+ハーセプチン×6の治療となります。
あるいはハーセプチン+ホルモン療法
病理診断のセカンドオピニオンを○○クリニックの○○先生にお願いしました。
1.HE標本ではリンパ転移は見られません。
2.浸潤径は最大で#24の0・9×0.7cmです
3.Nucler grade 2 Nucler atypia 2 Mitotic counts 2
4.ER+(10%以上50%以下) PgR―(0) Her2(3+)
5.Ki-67 intermediate(15-30%)
田澤先生からの回答
こんにちは。田澤です。
「術前診断:非浸潤癌」⇒(手術標本で)「浸潤癌、HER2陽性」ということですね。
このパターンで多いのは「コメド型」の非浸潤癌に浸潤癌を伴っているというものです。
「やはり抗がん剤を止めるというのは無謀でしょうか再発率は高くなりますか。」
⇒HER2陽性の場合には抗HER2療法は必須となります。
しかし、「NCCNのガイドライン」をひも解いてみると、次の一文があります。
『結節陰性のT1a およびT1b 腫瘍患者の予後は、HER2 が増幅または過剰発現している場合でも、良好な場合が多い。この母集団は、現有するランダム化試験において検討されていない乳癌患者母集団である。この患者集団にトラスツズマブ治療を使用するか否かは、トラスツズマブの既知毒性、例えば心毒性などとトラスツズマブ投与によって得られると考えられる不確実ではあるが絶対的な利益をはかりにかけて決断しなければならない』
質問者は、まさに「結節陰性のT1b(5mm<浸潤径≦10mm)」に相当します。
それで、このNCCNガイドラインでは「抗HER2療法は必須ではない(してもしなくてもよい)」となるのです。
「やはり抗がん剤を止めるというのは無謀でしょうか再発率は高くなりますか。」
⇒上記で記載した通りです。
抗HER2療法は一般に「再発率を半分にするパワー」をもっていますが、「質問者のような(そもそも)低リスク」では、有効性が証明されていないのです。
「田澤先生はどう思われますか。」
⇒ご本人次第です。
ただ、私であれば質問者が「迷った末、担当医に抗がん剤を断りました」であれば、「それでいいでしょう」と質問者の意志を尊重します。(なぜなら、ガイドラインでも「どちらでも可」となっているのだから…)