[管理番号:8736]
性別:女性
年齢:39歳
病名:乳がん
症状:腰と肩甲骨痛み
投稿日:2020年7月14日
いつも拝見させて頂いております。
宜しくお願い致します。
一昨年の夏に、右胸乳がんステージ3aの告知、ki→29、ホルモンが効くタイプ、術前化学療法の後、全摘しました。
術後の結果で、先に言われていた、経口の抗がん剤も、放射線治療もしなくて良いと言われたので、行っていません。
現在は、タモキシフェン治療です。
年明けから腰に違和感があり、術後1年検診時に主治医に話すと、
抗がん剤が良く効いてたから、骨転移は無いと思う、ヘルニアとか他の原因かもと言われ、MRIは撮っていません。
それからも、腰の痛みは続き、今は左の肩甲骨のいたみとしびれ、
背骨、首の下もたまにしびれます。
あと、右足がよく躓いて転けそうになります。
この症状は、へルニア?坐骨神経痛?それとも、骨転移ですか?
因みに、術後1年検診時の採血結果は、貧血で引っ掛かったくらいで、あとは正常値でした。
長くなりましたが、宜しくお願い致します。
田澤先生からの回答
こんにちは。田澤です。
結論から言えば、それは「化学療法閉経」から回復しつつある「ホルモンの不安定な症状=更年期症状」だと思います。(確率的には「間違いなく」一番高い)
閉経前の方にLH-RHagonistなどやり「ホルモン動態が不安定」となると出てくる症状★です。
メール内容にはありませんが、術前化学療法(半年ですよね?)で、化学療法閉経となりましたよね?
現在も(タモキシフェン単剤から推測するに)化学療法閉経の状態が持続しているでしょうが、年齢(39歳)からすると「かなりの確率で月経再開」すると思います。
今は、「卵巣が化学療法閉経から不活する過程=上記★の状態」に近いのです。
「経口の抗がん剤も、放射線治療もしなくて良いと言われた」
⇒完全緩解(もしくは、それに近い)だったのでしょう。
それは、おめでとうございます。
主治医の『抗がん剤が良く効いてたから』というコメントからもそれは確認されます。
ただ、(今更ですが)苦言を呈さずにはいられない(お節介でごめんなさい)
1.そもそも(抗がん剤の効きが悪かったとしても)術後のcapecitabineは「適応外」診療であり、絶対に行ってはいけない。
まぁ、結果として(抗がん剤が良く効いたので)capecitabine投与されずに済んでいるので問題なかったのですが…
『今週のコラム 136回目 決して適応外診療を勧めることはありません。今回のガイドラインの記載には正直、迷惑であり驚いています』参照の事。
2.放射線治療は(抗がん剤の効果とは無関係に)あくまでも『抗がん剤の前の状態を素に判断しなくてはならない』
(今更デスガ)抗がん剤が効いたから「放射線は不要」というのは誤りです。
『今週のコラム 183回目 乳癌診療の基本Ⅱ vol. 7 手術も放射線も省略は無し』をご参照のこと
「ヘルニアとか他の原因かもと言われ」
⇒センスがどうかな?
『化学療法閉経して、現在ホルモン動態がどうなっているのか?』を(まずは)
「最優先で」想像して、(そして)それを患者さんへ伝えて欲しいところです。
「右足がよく躓いて転けそうになります。」
⇒これは、タキサンの名残でしょう。
「この症状は、へルニア?坐骨神経痛?それとも、骨転移ですか?」
⇒冒頭の「結論」をご参照ください。