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今後の対応について

[管理番号:1471]
性別:女性
年齢:52歳
 
 

質問者様の別の質問

質問が新たな内容のため、別の管理番号としました。
質問者様の別の質問は下記をクリックしてください。
管理番号:1399「リンパ節転移と術後抗がん剤

 
 
患者でもない私の質問に、翌日の素早いご回答ありがとうございました。乳がん告知から三か月、死の恐怖を抱え暗闇の中でどう進めばよいのか、もがいていた私に、先生のご回答は一筋の強い光となりました。久々に心の底から喜んで、感動しながら読ませて頂くことができました。ご回答は、すべて私が疑問に感じていたポイントを的確にとらえ(質問項目にあげてはいなかった疑問点にまで)わかりやすく、本当にすごい先生だと改めて尊敬の念を強めました。
さて、お忙しい中再質問は恐縮ですが センチネルリンパ節生検に失敗 されてしまった私は今後どうすればよいのかを教えて頂きたくお願いします。
質問1、センチネルリンパ節生検に失敗したということは、現在わかっている転移1個は間違いで、本当はより多くのリンパ節転移の可能性があるということですか? センチネルリンパ節生検をやり直すなどということができるのでしょうか? それは無理だから、追加で腋窩廓清したほうがいいということになりますか? 来月初めに主治医と今後の治療の相談があるのですが、どのようにこの点について質問したらリンパ節転移の可能性などなどを聞けるでしょうか?
質問2、前回のご回答で ルミナールAの抗がん剤適用は St.Gallen2015 ではリンパ節転移4個以上とのことなので、こんな私の場合は 抗がん剤の使用・使用しないについてもまだ決定しないほうがよいことになりますか?
質問3、Ki67 5%以下 とグレード3の矛盾ですが、どちらの病理検査結果を正しいと信じて考えればよろしいのか教えてください。ちなみに Ki67 LI<5%   核グレード3 核異形 3 核分裂像 20/10 HPF score 3 (18<)となっていました。
 

田澤先生からの回答

こんにちは。田澤です。
センチネルリンパ節の件、心配な気持ちはお察しします。
私自身、「疑問を解くため」とはいえ、質問者に無用な心配の種をもたらしたようで心苦しい気持ちもあります。
ただ、私のポリシーとして(結局)「本当に、人を安心させる事は事実のみ」だと思っています。
「疑念よりも誤りと知った方が」最初はショックでも、(結局)その方が「受け入れられる」ことを、私は(沢山の患者さんに説明する)経験上学んでいます。

回答

「センチネルリンパ節生検に失敗したということは、現在わかっている転移1個は間違いで、本当はより多くのリンパ節転移の可能性があるということですか?」
⇒理屈の上ではそうなりますが…
 ただし、私が注目しているのは前回のメールの「術前検査、センチネル生検ともにリンパ節転移はないと主治医から伝えられました」とある中の『術前検査』です。
 つまり「術前検査ではリンパ節転移の所見がない」ということです。
 私の経験上、そのような場合には「センチネルリンパ節に転移を認めても」その1個のみか、「追加で郭清した」リンパ節の中でせいぜい1個位です。
 ○今回の場合non-SLNの4個の中で「転移のあったリンパ節が本物のセンチネルリンパ節」だったわけですが、『結果として追加郭清として他の3個+(SLNとした)リンパ節、併せて4個』追加郭清されたことになります。
 そこに転移がなかったということは、「これ以上追加で郭清しても、それらの中に新たに転移したリンパ節が見つかる確率は殆ど無い」と結論します。
 
「センチネルリンパ節生検をやり直すなどということができるのでしょうか?」
⇒すでにセンチネルリンパ節生検がされています(転移が有ったリンパ節をとっているのだから、結果としてセンチネルリンパ節生検がおこなわれていることにはなります)
 
「それは無理だから、追加で腋窩廓清したほうがいいということになりますか?」
⇒前述した通りです。
 周囲のリンパ節を4個とって「転移無」である訳だから「不要」と私は思います。
 
「こんな私の場合は 抗がん剤の使用・使用しないについてもまだ決定しないほうがよいことになりますか?」
⇒大丈夫です。
 リンパ節転移は1個と考えていいでしょう。
 
「Ki67 5%以下 とグレード3の矛盾ですが、どちらの病理検査結果を正しいと信じて考えればよろしいのか教えてください」「Ki67 LI<5% 核分裂像 20/10 HPF score」
⇒核グレードの中身が解りました。
 核分裂像が20/10だったのですね。 核グレード3(核異型度3点+核分裂像3点)という判断となります。
 たしかにKi67(5%以下)と核分裂像(10視野中に20個の核分裂)の間には乖離がありますね。
 正確に言えば「Ki67は細胞分裂期にある細胞の割合(%)」であり、「核分裂像は実際に、分裂をしている最中の細胞の数」となるので、微妙に「診ているポイントが異なる」のですが…
 解釈が難しいです。
 病理医へのセカンドオピニオンができれば、一番いいとは思います。
 ○現時点では「Ki67によりルミナールA」となるため、「ホルモン療法単剤でOK」となります。