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検査について

[管理番号:3211]
性別:女性
年齢:39歳
田澤先生、はじめまして。
つい先日、乳がん検診でひっかかり乳がんの疑いが出てから、こちらのQ&Aを拝見させていただきました。
どの回答を見ても、驚くほどに親身に、丁寧に回答されており、大変参考になるとともに、とても感動いたしました。
さて、先週末に検査の結果が出ましたが、非常に不安なことがあるため、質問させていただきたいと思います。
まず、6/(下旬)に乳がん検診にて、マンモ+超音波+触診を受けたところ、超音波にて、「去年はなかった4mmの影がある」と言われました。
エコ
ー写真を見たところ丸い形をしており、先生も「楕円形だと良性なんだけど、丸い形が気になる」とのことでした。
「まだ小さいので良性のものだと思うし、もし悪いものだとしても極々初期だから、今日細胞をとって検査してもいいし、3カ月様子を見てもいいですよ。」と言われました。
そこでわたしが悩んでいると、「わたしだったら、3カ月様子を見るかな~」と言われましたが、それでも悩んでいると、「そんなに気になるなら今日検査しておきましょうか」と言われ、針を刺されて細胞をとる検査をしました。
その時点では検査について何も知識がなかったため、検査してもらえることに安心していましたが、その後田澤先生のQ&Aに出会い、細胞診であることがわかりました。
1週間後の先日検査結果を聞きに行くと、「カテゴリー3b」との結果で、
「検体適正、鑑別困難(ClassⅢb) 異型導管上皮細胞
孤在性、乳管状、小乳頭状集合で軽度核径増大、N/C比増大の見られる
異型導管上皮細胞を多数認めます。
クロマチン増量は弱く、異型導管上
皮細胞集合に、一部筋上皮細胞も認められます。
Ductal ca.(papilltubular
ca.)やDCISがうたがわれますので、是非、精査をお願いいたします」と、記されていました。
そこで、担当の若い女性医師より、「次に造影MRIによる検査をしましょう」と言われました。
こちらのQ&Aを散々拝見していたため、MRIでは確定診断とならないことを知っていましたので、その旨申し出、ぜひ組織診をして欲しいとお願いしましたが、「できない」と言われたんです!
「まずはMRIで拡がりを確認してからではないと、影の部分が4mmと小さいため、きちんと針が刺さらない可能性がある」と。
それなら外科的生検でも構わないと言ってみましたが、「良性の可能性もあるのに、切ることはできない」そうです。
(乳がんの学会のガイドラインでそのようになっているのだから、正しい検査の手順だと言われました)
もうこの時点で、がんかもしれないことよりも、検査の方法に不安いっぱいです。
とにかく、早く診断を進めて欲しいとお願いしたら、その日のうちにMRIの予約(市内の別の場所にある画像診断センター)を取ってくれ、来週水曜にその結果を聞きに行くことになりました。
来週水曜の診察は、その若い女性医師は診察の曜日ではないため、院長の息子先生が結果を教えてくれるそうです。
そこで、針生検をしてくれるのか…若い女性医師だったから4mmの針生検に自信がなかっただけなのか…とても不安です。
今通院している病院は、乳腺外科専門の比較的大きな病院で、入院、手術、術後の治療までできるところなのですが、近くの別の乳腺クリニックできちんと検査してくれるところを探した方がいいのか、とても迷っています。
(でも、クリニックも行ってみなければどのような検査をしてくれるかは、不明です…)
別のところを探すにしても、まずはMRIの結果を聞いてからがよいのでしょうか?
MRIの結果を聞いたあと、今の病院で針生検してもらえることになったとしても、「4mmだと針がきちんとささるかわからない」と言ってる病院で大丈夫なのでしょうか?
この2日間いろいろと考えましたが、答えが出せません。
どうか、先生よりアドバイスをいただけませんでしょうか?
こちらのサイトを見ていると、田澤先生に診ていただけたら…と思いますが、福岡在住のためなかなか難しいのが現状です。
ただ、もし田澤先生に診ていただくとしたら、初診から何回の通院で手術が可能でしょうか?
長くなってしまい申し訳ありません。
よろしくお願いします。
 

田澤先生からの回答

こんにちは。田澤です。
カテゴリーⅢbの「4mmの病変」
これは「早期発見のチャンス」です。
この大きさの病変を「100%診断できない」ようなら「早期発見を最初から放棄」しているようなものです。
(診断には無用なMRIを撮影し)「MRIでは癌は疑わない所見だから、様子を見ましょう」とさせてはいけません。(この手の医師はMRIを免罪符とするのです)
質問者は正しい。
「別のところを探すにしても、まずはMRIの結果を聞いてからがよいのでしょうか?」
⇒MRIは無意味です。
 「MRIの所見が○○だから…」みたいな口実を与えるだけです。
 「4mm」でしかも「微妙な病変」であれば、「MRIで典型的な造影増強効果がない」ことも十分あり得る話です。
 ○ただし、見方を変えて(万が一、癌であった場合には)「拡がり診断のためのMRI」として機能するので、(万が一癌だった場合には)「そのような意味あいで活用」しましょう。
 
『MRIの結果を聞いたあと、今の病院で針生検してもらえることになったとしても、
「4mmだと針がきちんとささるかわからない」と言ってる病院で大丈夫なのでしょうか?』
⇒私も、それを危惧しています。
 女性医師の「4mmでは針が…」みたいな反応は、その施設全体のレベルを反映している様に思います。
 ♯もしも(その施設の)他の医師が「小さい病変をきちんと診断」していたら、その女性医師の態度は自ずと変わってくる筈です。
 
「先生よりアドバイスをいただけませんでしょうか?こちらのサイトを見ていると、
田澤先生に診ていただけたら…と思いますが、福岡在住のためなかなか難しいのが現状」
⇒事情は解りますが…
 もしも100%を望むなら、ここがターニングポイントとなるかもしれません。
 どんなに利便性が良くても「確実な診断が得られない」ようなら、「全く無意味」なのです。
 ○本日、公開した『今週のコラム35回目 エコーを普段から自分でしないようでは、(エコーガイドの)組織診が上手くなることは「夢のまた夢」なのです。』の「実例1」をみてください。
 「7mm程度」でも、このように「針生検できない」と経過観察とされるケースが巷では多いのです。
 ましてや「4mm」では期待できそうにもありません。
 
「もし田澤先生に診ていただくとしたら、初診から何回の通院で手術が可能でしょうか?」
⇒初日 マンモトーム生検
 
 結果は「郵送でも可能」です。
  もしも「良性」ならば、それで終わり。
  ここで「乳癌」ならば(術前検査+説明同意書+入院案内として)もう1回受診してもらえばいいのです。(トータル2回)
 
 

 

質問者様から 【質問2】

田澤先生、前回はとても丁寧に回答いただきありがとうございました。
「早期発見のチャンス」、「ターニングポイント」と言っていただき、
その通りとなりました。
MRIでは、悪性の可能性も考えられる結果が出たため、その日に針生検
(バネ式)を行いました。
ちなみに、前回の女性医師(4mmではきちんと針が刺さらないかもしれないと言った)から担当医が変わり、検査後には、針が刺さった瞬間のエコー写真を見せてもらい、きちんと検査できたことの説明を受け安心しました。
…で、組織診の結果、左の乳がんという結果になりました。
ショックではありましたが、きちんと検査してもらってきちんとした結果が出て、ちょっとホッとした気もします。
左乳房に5mmの非浸潤がん
ステージ0期
グレード1
ER陽性 95%
PgR陽性 90%
HER2 1+
Ki67-LI 〈5%
との結果で、2週間後に手術も決まりました。
最終的な診断は手術で摘出した腫瘍の検査で決まるとのことですが、
「5mmの腫瘍のうちの2mmをとって検査した結果なので、ほぼ間違いないと思っている」、と担当医からは言われました。
また、術前に「念のため」CTを撮った方がいいと言われましたが、強く勧めるわけではないならば撮りたくない旨伝えたら、理解していただけました。
そして術後は、全身療法は必要ない、ということを言われましたが、放射線治療はした方が良いでしょう、とのことでした。
そこで、田澤先生にお聞きしたいのは
○センチネルリンパ節生検について、「非浸潤がんなので、理論上は転移は考えられないので省略できます」と言われ、現時点では「省略」する方向で決まっています。
ただ、田澤先生によるQ&Aの回答を拝見していると、生検での非浸潤がん診断の場合はやるべきだと回答されていて、迷っています。
5mmの腫瘍は、それだけで広がっている風ではないようです。
担当医は、非浸潤がんの診断はほぼ間違いないだろうとお考えなので、
省略してもよいと言ってくれてるのだと思いますが、本当に省略しても大丈夫でしょうか?
○放射線治療は、やはり必須ですか?
田澤先生が、例外として、腫瘍が小さくおとなしいタイプの非浸潤であった場合に放射線治療をしないこともある、と回答されているのを目にしましたが、わたしの場合はそれに当てはまりますか?
よろしくお願いします。
なにはともあれ、早期発見してもらい、無事ターニングポイントを見逃さずに進むことができ、田澤先生に大変感謝しています。
 

田澤先生から 【回答2】

こんにちは。田澤です。
「5mmの非浸潤癌の発見」
とても、良かったです。
私が少々、気になるのは①非浸潤癌なのに(適応外の)「HER2 やKi67を検査している」ところや、②「この程度の非浸潤癌(担当医自ら、センチネルリンパ節生検の省略を提案しているくらい)なのにCTを提案している」ところですが、まぁ「早期発見に比べれば」目を瞑りましょう。
「最終的な診断は手術で摘出した腫瘍の検査で決まるとのことですが、「5mmの腫瘍のうちの2mmをとって検査した結果なので、ほぼ間違いないと思っている」、と担当医からは言われました。」
⇒この感覚は正しいと私も思います。
 
「また、術前に「念のため」CTを撮った方がいいと言われましたが、強く勧めるわけではないならば撮りたくない旨伝えたら、理解していただけました。」
⇒そもそもCTを提案することが、「非浸潤癌でほぼ間違いない」とか「センチネルリンパ節生検を省略できます」というコメントと『明らかに矛盾する』行為だということに担当医が気づいていないのだとしたら、改めるべきものです。
 「念の為」とは何ですか?
 「念の為」で「無駄な医療被曝」と貴重な「医療財源」を浪費することが正当化されますか??
 
「5mmの腫瘍は、それだけで広がっている風ではないようです。担当医は、非浸潤がんの診断はほぼ間違いないだろうとお考えなので、省略してもよいと言ってくれてるのだと思いますが、本当に省略しても大丈夫でしょうか?」
⇒これはいいと思います。
 ポイントは「グレード1」という点です。
 非浸潤癌でも「グレードの高いタイプでは、浸潤癌になり易い(=すでに浸潤部分が有る可能性がある)」となりますが、低悪性度(グレード1)であれば「浸潤部分が無い」可能性が高いのです。
 ♯今回は更に「5mmと小さい」ので尚更です。
 
「○放射線治療は、やはり必須ですか?田澤先生が、例外として、腫瘍が小さくおとなしいタイプの非浸潤であった場合に放射線治療をしないこともある、と回答されているのを目にしましたが、わたしの場合はそれに当てはまりますか?」
⇒これは病理の結果を待ちましょう。
 実際に「5mmの低悪性度」で「切除断端が十分」であれば十分可能だと思います。
 
 

 

質問者様から 【質問3】

田澤先生、いつも大変お世話になっています。
7月末に無事に左乳房温存手術を終え、先日病理の結果が出ました。
術前検査の通り、全てが非浸潤がんであったとのことで、ひと安心しているところです。
…が、大変ショックな結果もありました。
術前エコーの診断では5mmのしこりとの診断でしたが、摘出した腫瘍では約3cmほど広がっており、1カ所断端陽性とのことでした。
そこで、再度MRI画像を見直して見ても、広がりは確認できないようでした。
(そういうこともあるものですか?)
断端陽性の箇所は、スライスした腫瘍の写真を見せてもらいましたが、
断端にがんが接している風に見えました。
そこで、担当医からは、断端陽性の場合、放射線治療で対応することもあるが、年齢的なこと(まだ30代であること)、非浸潤がんなのできちんととりきることで完治が望めること、を考える、追加切除を勧める、と言われ来週には再手術を行うこととなりました。
再手術も、温存手術で大丈夫とのことですが、(当然の説明だと思いますが)とってみたらがんは残ってなかったということもあり得るし、再度断端陽性となることもあり得るとの説明を受け、少し不安に感じています。
今まで一度も、全摘という選択肢は出ていないので、担当医としては、
それでも温存で大丈夫だと判断しているということですよね?
先月手術を終え、傷の痛みもやっと落ち着いたところに再手術…
頭では、追加で切除した方がいいことはわかっているのですが、本当にこれで終わるのか?という不安が拭えません。
こればかりは、担当医を信じるしかないとわかってはいるのですが…
そこで田澤先生にお尋ねしたいのは、
先生でもやはり追加切除を勧めますか?
それとも、放射線治療のみで大丈夫だと診断されますか?
先月末に手術をしたばかりですが、1ヶ月もたたないうちにまた再手術をして、体の負担は大丈夫なのでしょうか?
ちなみに、手術後には放射線治療をする予定です。
お忙しい中恐れ入りますが、助言をいただけますと幸いです。
よろしくお願いします。
 

田澤先生から 【回答3】

こんにちは。田澤です。
「先生でもやはり追加切除を勧めますか? それとも、放射線治療のみで大丈夫だと診断されますか?」
⇒これは実際の「断端陽性の程度」によります。
 画像を見ていない私に、そこまで踏み込んだコメントはできません。
 ただ、「追加切除がより安全」であることは間違いありません。
「先月末に手術をしたばかりですが、1ヶ月もたたないうちにまた再手術をして、体の負担は大丈夫なのでしょうか?」
⇒それは全く問題ありません。
「ちなみに、手術後には放射線治療をする予定です」
⇒温存であれば、当然です。
 
 

 

質問者様から 【質問4】

田澤先生、こんにちは。
検査~再手術までの時には、質問に回答いただきありがとうございました。
先日、再手術が終わり病理結果が出ましたが、また少し心配なことがあり、田澤先生にご意見をいただけたら…と思っています。
よろしくお願いします。
非浸潤性乳管がんの温存手術で、断端陽性による温存追加切除を受けましたが、また、断端陰性とは言い切れない、断端近接という病理結果が出ました。
前回・今回の断端部の同定が困難ですが、例えばNo.8の様に生体反応がなく熱変性のみの部位(今回の真の断端面と思われる)でDCIS陽性像が見られる点では、完全に断端陰性とは言えない面があります。
と書いてあります。
●まず、これはどういう意味なのでしょうか?
そして主治医は、検体の位置の捉え方の問題で、これについては心配ない、陽性ではない。
と言っていました。
田澤先生も以前に回答されていたように、手術をした医師の感覚…ということで、主治医を信じたらよいのでしょうか?
また病理結果の写真資料を自分で見てみると、5mm間隔の端から2つ目の標本に、小さな点で1つだけ、陽性の部分が見られます。
露出ではない
けど、端に近いところにがんがあった、と主治医は言っていました。
なので、放射線治療で、追加照射をしましょう、と。
でも、再手術をする時には、「非浸潤がんだから、完全に取ってしまえば完治が望めるから再手術をしましょう。」と言われたのに(前回は明らかに断端露出でしたが)、今回の状態で追加照射での対応で問題はないのでしょうか?
核異形度 low nuclear grade相当
Nuclear grade 1
[Mitotic index = 0-1/10hpf]
ということで、非常に大人しいタイプだと聞いています。
●だから、放射線追加照射でも大丈夫だと考えていいでしょうか?
主治医のことは信頼しているのですが、
再手術前日の手術範囲マーキングの時には、エコーで診ながら「エコーでは見えないから、がんは残ってないかもしれないね」と言いながら、
今回の結果を見ると、結構しっかり残っていたり、(顕微鏡レベルだからエコーではわからないとは言われましたが)
来月から留学されるので、再手術できないから放射線追加照射でいい、
とされたんじゃないか?とか、勝手に想像して心配してしまってます。
安心して放射線治療に進みたい!と思っています。
このまま放射線治療に進んで大丈夫でしょうか?!
 

田澤先生から 【回答4】

こんにちは。田澤です。
「●まず、これはどういう意味なのでしょうか?」
⇒「焼却面」とは電気メスで切った場所(つまり切除縁)と想像しているということです。
 ただし、実際の手術では「1回のメス」で切っているとは限らない(1回切りこんで、再度切りなおすようなこともある)ので、やはり「執刀医の感覚が重要」です。
「そして主治医は、検体の位置の捉え方の問題で、これについては心配ない、陽性ではない。」「田澤先生も以前に回答されていたように、手術をした医師の感覚…ということで、主治医を信じたらよいのでしょうか?」
⇒そう思います。
「今回の状態で追加照射での対応で問題はないのでしょうか?」「●だから、放射線追加照射でも大丈夫だと考えていいでしょうか?」「このまま放射線治療に進んで大丈夫でしょうか?!」
⇒執刀医を信じましょう。