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術前と術後の病理結果の不一致について

[管理番号:6685]
性別:女性
年齢:57歳

田澤先生

こんにちは。

よろしくお願いします。

術前と術後の病理結果が不一致だったことに戸惑っています。

検診で癌の疑いを受け、乳腺外科を受診。

超音波検査、MRI、穿刺吸引細胞診により
乳がんと診断されました。

腫瘤 1.5×0.6×2.0cm
浸潤性乳管癌、硬癌。

間質に慢性炎症細胞浸潤あり。

核グレード 1
ER –
prg –
HER2 3+
ki 67 30%

前向きに治療して行きましょうと、術後の治療予定について下記の説明がありました。

化学療法として
AC 3ケ月
wPTX + HER 3ケ月
HER 9ケ月
リンパ節転移がなければACは省略
放射線治療は、全摘でリンパ節転移がなければ不要

温存を勧められましたが、放射線治療を回避さしたかったことから全摘を選択しました。

術後 病理結果
病変の広がりは1.5×0.6cm
組織学的に非浸潤性乳腺がんを認める。

拡張した乳管内に乳頭上増殖を示す腫瘤が認められる。
核異形が目立ち、核分裂も多く認められる。

免疫染色にてp63陽性の筋上皮細胞が確認でき、明らかな間質浸潤は指摘できない。

脈管侵襲なし。
切除断端陰性。

センチネルリンパ節生検 0/2

核グレード 3
ER –
PgR –
HER2 3+
ki 67 50%

pTis, pN0 ステージ0

術前に浸潤癌、術後に非浸潤癌と診断されることなどあるのでしょうか?
担当医から生検で浸潤癌があったにもかかわらず、術後の検体から確認できなかったことについて、5mmスライスしているので、その間に僅かな浸潤があるかもしれない。
崩れているように見える部分もあるが、明確な浸潤と言えるものではない。

また、浸潤があったとしても極僅かなため化学療法の対象とはならない。

以上により、無治療、3ケ月毎の経過観察のみとなりました。

過剰な治療を求めているのではありませんが、
無治療で本当に大丈夫でしょうか?
術前の説明と違ってしまったため、戸惑っています。

非浸潤癌で全摘なのに、3ケ月毎の経過観察になっているのは、担当医が少し不安な部分があるのでは?と、変に疑ったりしてしまいます。

田澤先生のご経験から、この様なことはあり得るのかご意見を伺えれば幸いです。

よろしくお願い申し上げます。

 

田澤先生からの回答

こんにちは。田澤です。

「また、浸潤があったとしても極僅かなため化学療法の対象とはならない。」
→正しい!
 その通りです。

「以上により、無治療、3ケ月毎の経過観察のみとなりました。」
→無治療は当然ですが、「3か月はやりすぎ」です。
 全摘なのだから(非浸潤癌、もしかすると微小浸潤程度なら)「1年に1回」と私はしています。

「無治療で本当に大丈夫でしょうか?」
→勿論です。
 根治なのだから、当然です。(抗HER2療法を含む化学療法の適応は全くありません)

「非浸潤癌で全摘なのに、3ケ月毎の経過観察になっているのは、担当医が少し不安な部分があるのでは?と、変に疑ったりしてしまいます。」
→考えすぎです。

「田澤先生のご経験から、この様なことはあり得るのか」
→現実にあります。(すごく珍しいわけではありません)

 (針生検などの)「組織診では浸潤の有無の判断が難しいこともある」のです。