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肝臓転移 抗がん剤の治療継続判断について

[管理番号:6916]
性別:女性
年齢:50歳
病名:浸潤性乳癌
症状:左乳房上部にしこり

昨年の4月乳房よりかなり体の中央にしこりを感じ(マンモグラフィーの挟めない位置)最初に検査した病院は乳腺外科ではありませんでしたが、5mmの大きさで、そんなに硬くなかったので、線維線種と診断されました。

今年の2月にかなり大きくなってきて、不安に感じて再検査、しこり部分がかなり硬く、大きくいびつな形になっていたので、乳腺外科へ紹介状を書いてもらい現在治療中の病院へ。

今年の3月に乳癌と診断され、CTの結果、肝臓にも転移疑いとの状態で
4月から薬物治療に入りました。

針生研結果:
浸潤性乳癌 径21mm
ホルモン 陽性
ハーツー 陽性
Ki-67 70%
ステージⅣ
ルミナルハーツータイプ

肝臓転移 14mm(場所 肝臓上部 肋骨の一番下の骨の裏あたり)

4月からFEC4回

7月造影CT検査:
肝臓、原発ともに薄くなってきているとの説明あり
(この時どのくらい小さくなっているのかは確認しませんでした。)

続けて
8月からドセタキセル+ハーセプチン 4回

10月造影CT検査:
肝臓は転移ではないかもしれない(肝臓7月と変化なし13mm)
原発はかなり小さくなってきている
(画像を見せていただいたら、確かに最初の映像の1/4ぐらいになっていました)
このまま抗がん剤が効いたら見えなくなってしまい、来年の2月検査の造影CTでなくなっていたら、手術は不可能かもしれない。
との事でした。

(このタイプでこんなに抗がん剤が効く人は珍しいと言われましたが、そうなのでしょうか。)

腫瘍マーカー(CEA,CA15-3)は3月から11月まで正常範囲内

本来なら、本日 ドセハー5回目+パージェタ1回目の予定でしたが4回目の副作用がひどかったので、治療を来週へ延ばしていただきました。

主治医には抗がん剤やめますか?と 聞かれたのですが効いているなら、あと2回ぐらい頑張ります。
と返事をしてしまいました。

しかし、肝臓に転移していないなら、これ以上抗がん剤を投与する必要があるのか疑問に思えてきて、こちらへ質問してみることにしました。

肝臓転移疑いが次の検査まで拭いきれないとしたら、あと2回抗がん剤の治療は受けた方が結果はわかりやすいのかな?とも 素人考えで思ったり、でも、転移じゃなかったら、わざわざ副作用を我慢して治療する必要があるのか迷い始めました。

来週の治療を最後の抗がん剤にして(これもやる必要があるのかは疑問ですが)次からは分子標的薬(ハーセプチン+パージェタ)だけの治療にしていただこうか迷っています。

田澤先生の助言をいただけると幸いです。

主治医の意見としては、肝臓は転移か転移じゃないかはまだはっきり判断できない。
との事です。

経過をみないとわからない。
ということです。
(それはごもっともなのですが…)

こちらのQ&Aで肝臓転移のある方(3809)が画像上見えなくなったというのを拝見し、自分も頑張ろう!と何度も繰り返し読んでいましたが、拍子抜けしてしまい、どうしたらよいのかわからなくなってきてしまいました。

こんな曖昧な情報しかなくて、申し訳ありませんが、来週以降の治療に迷いが出てきてしまい、
ぜひ経験豊富な所見からご意見をいただけないでしょうか。
よろしくお願い致します。

 

田澤先生からの回答

こんにちは。田澤です。

メール内容読みました。
「遠隔転移の診断」に関しては、(身体の奥なので)組織診無しでの画像診断となるので、「当初、転移だと思っていた所見が、実は違っていた」ということは、あり得ることです。
特に肝の場合には(血管腫や肝嚢胞などもあるので)造影MRIで鑑別することも多いのです。(それでも組織診のように顕微鏡で直に見るのとは雲泥の差が生じます)

「来週の治療を最後の抗がん剤にして(これもやる必要があるのかは疑問ですが)次からは分子標的薬(ハーセプチン+パージェタ)だけの治療にしていただこうか迷っています。」
⇒失礼ですが…

 物事の「本質」を外れています。
 ★肝転移でない可能性が出てきた以上、(次にやるべきは)分子標的薬でも抗がん剤ではなく「乳がんの手術」です。

  今の状況で「Pertuzumabやtrasutuzumabだけにする」とか、「抗がん剤(docetaxel)もしようか?」で悩むのはナンセンス。
  何故、主治医が「手術しましょう」と言わないのか「甚だ、非常識」

 ★術後に(再発予防として) pertuzumab + trastuzumabの残りを投与すればよいのです。

 
 

 

質問者様から 【質問2 肝臓転移 今後の治療について】

性別:女性
年齢:50歳
病名:乳癌
症状:

田澤先生、先日はまとまらない質問への回答どうもありがとうございました。

いつも参考にさせていただいでおります。

その後、造影MRIを撮り、やはり肝臓への転移はあるようです。

(非典型的な形ながらもMRIで黒く写っていたようです)
原発の腫瘍はかなり小さくなり、自分で触ってもほとんどわからなくなってしまいました。

4月から7月末までFEC4回 8月から11月までで、ドセタキセル+ハーセプチン5回を終了し、副作用が酷くなってきたので次回からはハーセプチン+パージェタのみの治療を控えています。

肝臓は3月から7月までで14mmから8.5mmまで縮小していたようです。

しかし、10月の検査では変化がなかったようです。
(そこでMRIを撮りました)
ここで質問なのですが
① 肝臓にはFECが効いてドセタキセルが効かなかったということなのでしょうかう。

② 肝臓にトモセラピー治療などは有効なのでしょうか。

全身治療が必要なことは重々承知していますが、良くならないところばかりが気になってしまい、このような質問になり、申し訳ありません。

自分の中では肝臓が転移じゃなかったら・・・とぬかよろこびしていたので少なからずショックで今後のことなどを暗く考え気味になっています。

田澤先生の豊富な経験から同じようなケースがなかったかお聞きしたく再度質問させていただきました。

よろしくお願い致します。

 

田澤先生から 【回答2】

こんにちは。田澤です。

私の回答に変更はありません。
「その後、造影MRIを撮り、やはり肝臓への転移はあるようです」とありますが…
本当に、肝転移なのかは解りませんが(生検しない限り、決めつけるのは危険です)、仮に肝転移だと仮定したとして現在できる最善の治療は「手術」であることに疑いの余地はありません。

理由は3つ
1.(仮に肝転移だと仮定したとしても)抗がん剤を半年以上行いコントロールされており、原発巣を手術する意味が十分にある。
2.(   〃           )手術後に 抗HER2療法で「かなりの長期コントロール」が期待される。
3.結局、肝転移ではなかったという可能性もある。(画像を見ていないので判断つきませんが)

★ 私と、その主治医の認識の大きな違いは「手術に対する認識」なのでしょう。
 手術は「乳がん治療の中で最も楽で、最も確実(直接的)な治療」なのです。

 遠隔転移がある場合(質問者の場合には実際は?ですが)遠隔転移臓器が十分にコントロールされていれば、(この場合には)根治性の意義は無いとしても「(原発巣に対する)有効な局所療法」として十分な意義があるのです。
 それを怠った場合には、将来的に(病勢が悪化した際に)原発巣が潰瘍を形成して「出血や異臭」の原因となり著しくQOLを損なうのです。

「肝臓にトモセラピー治療などは有効なのでしょうか。」
→(転移であると仮定したとして)
 トモセラピーをするべきタイミングは
 1.抗がん剤が効きにくくなり(肝転移が)大きくなってきた場合に行う
 2.(手術や抗がん剤が一区切りついて)無治療になる前に、有効性が期待できる治療として行う