[管理番号:6595]
性別:女性
年齢:40歳
初めてご連絡いたします。
○○と申します。
2017年11月に左胸に乳がんが見つかり、
現在他院にて治療中です。
抗がん剤の治療の継続について悩んでおり、
主治医以外の先生のご意見を伺いたいと思いご連絡いたしました。
お忙しいところ恐れ入りますが、
田澤先生のご意見をお伺いできればと存じます。
宜しくお願いいたします、
これまでの経緯は下記となります。
*術前検査結果
浸潤がん
ER:陽性、PgR:陽性、HER2:陽性
核グレード:1、Ki-67:25%
複数腫瘍あり、腫瘍サイズ:最大5センチ以上
リンパ節転移あり
*治療計画
術前化学療法後 → 手術 → ハーセプチン+ホルモン療法
※術前化学療法
AC×4(3週毎) →
ハーセプチン+パクリタキセル×12(毎週)
*感染症発症 → 手術先行へ計画変更
AC1回目を実施した後、CVポートが感染症を引き起こし、
MRSAを発症いたしました。
(肺への炎症あり)
そのため、術前化学療法は中止し、MRSAの治療後、
左乳房全摘手術を受けました。
*術後検査結果
浸潤性乳管がん
ER:陽性、PgR:陽性、HER2:陽性
核グレード:2、Ki-67:30%
腫瘍サイズ:1.8センチ、リンパ節転移:2個
*術後化学療法実施
術後の化学療法として、ハーセプチン+
パクリタキセルをまずは実施し、無事に終了したのですが、
その後、残りのAC(3回)を実施するか否かで
主治医と意見が分かれ、現在は私の希望を通す形で
ACの1回目(通算2回目)を実施し終わったところです。
(80%に減量して実施)
主治医は、
・残りのACを実施することによる効果の期待値があまりないこと
(ハーセプチン+パクリタキセルで十分に治療効果が期待できる)
・感染症再発のリスク
・パクリタキセルを実施中に風邪による治療の延期が何度も
発生したことから、私の身体への負担
を考え、ACを頑張って実施する必要はないというご意見でしたが、
私は、
・術前にACを実施した際に、目に見えて腫瘍が縮小しており、
ACによる効果があったこと(主治医とエコーで確認)、
・何よりも当初の治療計画(標準治療)の施術をしない事による
心理的不安、治療に最善をつくしたいという思い
から、ACの継続を希望いたしました。
田澤先生への質問は下記となります。
①先生は残りのAC(3回)の実施の可否について
どのようにお考えになりますか?
②AC1回目(通算2回目)を実施した後、万全を期していたつもりですが、
また風邪を引いてしまい、2回目(通算3回目)の実施が延期になって
しまいました。
抗がん剤治療中の風邪の引きやすさは、抗がん剤治療の中止の判断の
一つになりますでしょうか?
今後のACの継続について非常に悩んでおります。
ご意見を伺えればと思います。
宜しくお願い致します。
田澤先生からの回答
こんにちは。田澤です。
「①先生は残りのAC(3回)の実施の可否について どのようにお考えになりますか?」
→患者さん自身の強い希望があれば、辞める理由はありません。
抗がん剤が惹起する「間質性肺炎」の場合には「それ以上の抗がん剤治療は禁忌(少なくとも補助療法としては)」と思いますが、質問者の場合には「CVポート感染」なので、これに当てはまりません。
ただ重要なことは、その「時期」です。
その感染が関係して体調が整わない(風邪をひいている)時期に無理して行う理由も、またありません。
考え方としては1年間のハーセプチン治療の、どこかでACを行えばいいのです。
(まずはHER単剤を行いながら、体調が整ったらACを行う)
HER+wPTX→HER単剤→(体調回復したら)→AC→HER単剤(残り)
「抗がん剤治療中の風邪の引きやすさは、抗がん剤治療の中止の判断の 一つになりますでしょうか?」
→他に選択肢(HER単剤など)があれば、(順番的に)抗がん剤を強行する理由はありません。