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術前化学療法か手術先行かで迷っています。

[管理番号:4575]
性別:女性
年齢:42歳
お忙しい中、恐れ入ります。
今後の治療法について決断を迫られ悩んでいます。
よろしくお願いいたします。
3月(上旬)日、初診(触診、マンモ、エコー)で乳がんの可能性が高いとの診断。
(中旬)日にMRI、エコー、針生検。
(下旬)日にPET-CTを受け、全ての検査結果(確定診断)が出たのが3月(下旬)日。
◎超音波
【乳房】
両側乳腺は豹紋様のエコーパターンを呈しています。
左A領域を主体としてAC領域及びB領域の広範囲にhypoechoic massを認めます。
大きさはA~C 領域(40×33×12mm)、AB領域(17×11×7mm)程度ですが、連続して観察されるため計測はおおよそです。
形状は不整形、境界不明瞭(特にAC領域は不明瞭)、内部不均一。
内部に石灰化を複数認めます。
内部に血流信号あり。
前方境界線は断裂あり。
筋層とは接して観察されます。
また、A領域には6×3×3mm、2×2×2mm、3×2×2mmのhypoechoic massを認めます。
上記massと一連のものと考えます。
(C-5)
他、左B領域にも約10×9×6mm程度のhypoechoic areaを認めますが、上記massと一連のものかあるいは乳腺変化かははっきりしません。
その他、両側乳腺に明らかなmassは指摘できません。
【リンパ節】
左腋窩に10×4×5mm大の楕円形のリンパ節を認めます。
リンパ門は不明
瞭です。
Color Dopplerにて実質に点状の血流信号を認めます。
meta
の可能性を疑います。
その他、両側乳腺に10mm以内のリンパ門明瞭なリンパ節を認めます。
両側傍胸骨、鎖骨下に明らかなリンパ節は指摘できません。
◎病理組織診断報告書
【病理診断】
Breast,lt,biopsy:Adequate,malignant:Invasive
ductal carcinoma.
【所見】
検体は左乳腺腫瘍生検材料3本
いずれにも、腺管形成性の異型腺管の浸潤増殖を見る。
いわゆる
comedo patternやduct内の増殖像も確認できる。
Invasive
ductal carcinoma である。
背景には高度な線維化を見る。
〈免疫染色〉
ER:J-score=3b
PR:J-score=3b
HER2:1+
MIB-1 index:30%
◎FDG -PET/CT
【所見】
左乳房A領域に大きさ21mm大、FDG軽度集積(SUVmax:3.3)を示す腫瘤を認める。
乳癌の原発巣が疑われる。
両側乳腺が全体的に淡いFDG軽
度集積を認め、生理的集積と思われる。
腋窩、傍胸骨リンパ節に転移を疑う異常集積は認められない。
その他の臓器に、特記すべき異常集積は認められない。
【診断】
左乳癌疑い。
T2N0
明らかな遠隔転移は認められない。
他にMRIを受けてますが、検査結果としては画像を見ながら「広範囲に及んでいる」との報告でした。
今後の治療は系列のがんセンターになるとの事で、昨日(〇日)、担当の先生にお会いしました。
また、再度、超音波検査(技士さんによる)を受けました。
すでに、(上旬)日にTRS検査、リンパ節の針生検、外来看護相談、(中旬)日に化学療法(ドセタキセル)、心臓超音波という予定が組まれていました。
早く手術をしたいという気持ちを伝えたところ、それも可能だが手術は早くて5月(下旬)日になると聞き、術前化学療法が良いのか、手術先行が良いのかで迷いが生じています。
温存は希望していませんが、何しろ思っていた以上に腫瘍の広がりが大きいのと、手術までの期間がとても不安で、なかなか答えが出ません。
担当の先生からは、術前化学療法中に進行や遠隔転移する可能性は1%、5月(下旬)日まで手術を待つ間に進行や遠隔転移する可能性は「そりゃあ、もう少なくとも2年は癌はあったのだから、どうなるかは何とも言えない。」との回答でした。
次回(上旬)日の診察までに考えて決めて下さいと言われています。
私のケースで5月(下旬)日まで待って手術先行で問題ないでしょうか?進行、遠隔転移のリスクはあるのでしょうか?他に5月(下旬)日までに化学療法を2クールするという選択肢はなしでしょうか?田澤先生のご意見をお聞かせ下さい。
また、5月(下旬)日より早い日程で田澤先生の診察、手術を受けることは無理でしょうか?
nbsp;

田澤先生からの回答

こんにちは。田澤です。
そもそも「手術待ちがあるから」と言う理由で「術前化学療法を勧める」ことに大変な違和感があります。
だいたい当院でも、その位の手術待ちとはなりますが、「そんな理由で術前抗がん剤を勧めることは決してありません」
質問者の場合には「拡がりが広範囲(癌の進行とは無関係)」なのだから、本来の「小さくして温存」という目的からは逸脱しており「術前抗がん剤を勧める事自体」全く賛成できない。
「担当の先生からは、術前化学療法中に進行や遠隔転移する可能性は1%、5月(下旬)日まで手術を待つ間に進行や遠隔転移する可能性は「そりゃあ、もう少なくとも2年は癌はあったのだから、どうなるかは何とも言えない。」
⇒1カ月半ならば、乳癌の待ち時間んとしては「むしろ普通」です。
 術前化学療法を勧める理由にはなりません。
「私のケースで5月(下旬)日まで待って手術先行で問題ないでしょうか?進行、遠隔転移のリスクはあるのでしょうか?」
⇒問題ありません。
 例えば当院の場合、(待ち時間が長く)どうしても不安な患者さんには、「その間に抗癌剤を行う」こともあります。(EC1回とかweeklyPTXとか)
「他に5月(下旬)日までに化学療法を2クールするという選択肢はなしでしょうか?田澤先生のご意見をお聞かせ下さい。」
⇒まさにその通りです。選択肢があります(実際に当院ではたまに行っています)
「また、5月(下旬)日より早い日程で田澤先生の診察、手術を受けることは無理でしょうか?」
⇒殆ど同じ位ですね。