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術前療法の可否について

[管理番号:7167]
性別:女性
年齢:43歳
病名:乳癌
症状:

田澤先生、はじめましてご回答よろしくお願いします。

自身でしこりを感じ、年末に地域の乳がん検診を受診後、総合病院での再検査(生検等)にて、年明けに乳がんの告知を受け、下記が病理の結果となります。

・大きさ/15×22mm
・核グレード/3
・核異型スコア/3
・核分裂像スコア/2
・癌波及度/f
・リンパ節転移/なし
・ER/3b
・PgR/3b
・HER2/陰性
・Ki67/30%
・大小不整形な胞巣で線維性間質に浸潤、一部DCIS成分も伴う。
・その他転移なし(CTにて診断)

再建、温存希望でしたが、乳輪乳頭付近、皮膚に近いところに腫瘍があり、

・ファーストオピニオン(現主治医)は全摘一択。
同時再建(一次二期)後、ホルモン療法。
術前療法は行わない。
抗がん剤の有無は術後に判断。
(即手術可)

・セカンドオピニオン(地域では手術数トップクラスのがん専門病院)にて、温存可能だが、形が悪くなるので、全摘で同時再建(一次二期)のほうが良い。
その後ホルモン療法。
術前療法は意味がない。
(ただし、手術待機期間2ヶ月~3ヶ月)

・サードオピニオン(乳腺専門クリニック)にて、現状での温存では切除部分が多すぎるので、抗がん剤での術前療法後でがんを小さくしてから温存、同時再建(一次一期)も可能とのことでした。
(手術待機期間1ヶ月以上)

いずれのドクターの場合も乳頭、乳輪は切除とのことです。

現在の病院は地域の乳がん検診での要再検査となり流れ的に受診したもので、全摘一択の宣告を受けたこと、及びその病院の手術数の少なさに不安を覚え、サードオピニオンまでを受診することは決めておりました。

地域のがん拠点病院でもあり、対応等は問題ありません。
(手術数の少なさは近郊に大病院が多くエリア的な問題だと思いますが外科医4名に対し年間40例弱です。
ただ、医師の異動も多いようですので、一概に経験不足とは言えないとも思いますが)

当初は知識もなく術前療法にてがんを小さくしてから、温存できればよいなどと淡い考えを抱いておりましたが、2人のドクターから、術前療法を行わないの意見をいただき、
自身での情報収集においても、サブタイプはルミナールB Her2陰性と考えており、術
前療法は難しく全摘もやむなしと思っていましたが、術前療法も可能性有りのドクターの意見をいただき迷いが生じております。

タイミングで、主治医の再診察はまだ受けておりません。

また、このひと月と少しの間に急激に痛みが出だし、大きくなっているように感じるのですが、がん細胞増殖のスピードが速いということでしょうか。

術前療法の不可について、現在の病院の不安材料について等、ぜひ、先生のご意見をいただきたく思いご質問させていただきました。

お忙しい中、お手数をおかけいたしますがよろしくお願いいたします。

 

田澤先生からの回答

こんにちは。田澤です。

「術前療法の不可について、現在の病院の不安材料」
→サードオピニオンには全く賛成しません。

 術前療法をして「見かけ上」小さくなったとしても、「病変の範囲は変わらない=例えれば癌が星座のように残る」となり、「温存後の再発高リスク」となるのです。
これについては、次回の今週のコラムで解説しましょう。
 私はQandAをやっているので(全国から)、このような(本来適応外なのに)「出鱈目な術前化学療法→強引な温存術」による局所再発の患者さんを数多く診ています。

 私の意見(4th opinionですか?)では(術前療法はせずに)全摘(無論、乳頭乳輪を含む)です。(同時再建を希望するか?どうか?は患者さんのご希望です)