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術前抗がん剤について

[管理番号:7479]
性別:女性
年齢:46才
病名:乳癌
症状:

先日、両側乳癌と診断され今後の治療方針についてお伺いします。

左はほぼ同じサイズの腫瘍が2個有り、リンパ転移3ヶ所以上有り、鎖骨辺りまでリンパの腫れ有り(鎖骨の針生検は結果待ち)
T2N1M0
c T2.5cm
ER + PgR+ HER2 0 核グレード2 K i67 10~30%
Luminal B(HER2陰性)
右は左と同じタイプだが、核グレード1 K i67 8%
右の腫瘍の大きさは失念しましたが左より小さいです。

セカンドオピニオンもしましたが、どちらの病院でもまずは抗がん剤(薬の種類はまだ聞いてません)を6カ月やってから左全摘、右温存と言われました。
私としては一刻も早く両側全摘して、再建したい気持ちです。

再建も1~2年は待った方が良いとの事でした。
左は2.5位の腫瘍が2個も有り、乳房下が凹んでおり乳頭も陥没しています。

私の場合、全摘希望でも先に抗がん剤をした方が良いのでしょうか?
再建は一通りの治療が終わって転移や再発の様子をみてからの方が良いのでしょうか?
田澤先生のご意見をお聞かせください。
よろしくお願いします。

 

田澤先生からの回答

こんにちは。田澤です。

「私の場合、全摘希望でも先に抗がん剤をした方が良いのでしょうか?」
→何故?
 何のために?

 その医師やセカンドオピニオンの医師は何故「術前抗がん剤を勧めているのか?」
 抗がん剤の役割は
 1.術前に行うことで、(全摘しなくてはならない状況から)温存可能な状況にする目的(必ず、目的を達成するとは限らない)
 2.(術前や術後どちらに行っても)予後の改善を狙う

 質問者は1にも当てはまらず(全摘希望ですよね?)、2にも当てはまらない(予後の改善目的なら術後でいいのです)
 それでは、何故術前抗がん剤?

 →おそらく「手術を楽にしたい」という目的なのでしょう。
  『今週のコラム 185回目 腋窩再発vol. 1 腋窩郭清が必要な場合には、是非「病院選び」に慎重になりましょう。その選択が第1のturning pointとなるのです。』をご一読ください。
  ここに記載した(架空の)症例のケースです。
  悲しいかな。レベル3までの手術ができる乳腺外科医が激減しているのです(術前化学療法の功罪とも言えます。)

「再建は一通りの治療が終わって転移や再発の様子をみてからの方が良いのでしょうか?」
→一般的には…
 放射線の可能性がある(リンパ節転移がある状況)場合には同時再建はしません。
 抗がん剤(するとすれば)や放射線が終わってから「半年」位空けて「2次再建」が推奨されます。

★私がセカンドオピニオンしたら・
 迷うことなく、両側手術(同時再建なし)
 そして、術後病理結果を見て放射線や抗がん剤の適応を考えます。(左のリンパ節転移の実際の個数と手術標本でのKi67値がポイント)