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術後の治療について

[管理番号:7096]
性別:女性
年齢:52歳
病名:浸潤乳管癌 硬癌
症状:

はじめまして。
宜しくお願いします。

12月中旬に、右乳癌温存手術をしました。

先日、病理の結果が出ました。

浸潤乳管癌 硬癌
しこりの大きさ 1.6×1.3
センチネルリンパ節 なし
腋窩リンパ節 転移なし 0/2
エストロゲン 陽性 70%
プロゲステロン 陰性
HAR2 陰性
Ly因子 +
v因子 -
核グレード 2
Ki67 31%

手術前、グレード1、Ki11%でしたので放射線とホルモン治療だと考えておりましたが、Kiが31%と出てしまい、抗がん剤も考えたらどうかと言われています。
主治医は31%なのでとても悩ましいところだと言われています。
抗がん剤はTCを1クールと言われていますが、迷うようならオンコタイプを提案されています。

ki31%はやはり抗がん剤対象になるのでしょうか?
ホルモン療法だけでは、再発しやすいのでしょうか?
オンコタイプを頼んだ場合、結果が出るまで放射線治療を先にして、その後抗がん剤をしても大丈夫なのでしょうか?
グレード、Kiも上がり脈管侵襲もあり再発が速くなってしまうのではと思うととても不安です。

ホルモン療法は、ノルバディックスとタモキシフェンです。

お忙しいとは思いますが、宜しくお願い致します。

 

田澤先生からの回答

こんにちは。田澤です。

「ki31%はやはり抗がん剤対象になるのでしょうか?」
「ホルモン療法だけでは、再発しやすいのでしょうか?」

→グレーゾーンです。
 OncotypeDXしないのであれば、「(抗がん剤をせずに)ホルモン療法単独とするのか?」「(不安だから)抗がん剤もするのか?」どちらか(患者さん自身が)判断することとなります。

「オンコタイプを頼んだ場合、結果が出るまで放射線治療を先にして、その後抗がん剤をしても大丈夫なのでしょうか?」
→大丈夫です。

 丁度、先ほどアップロードした『今週のコラム 167回目 「絵に描いた餅」ではなく、実際に多数の臨床試験で一貫した結果が証明されていることです。』を参照してください。

「ホルモン療法は、ノルバディックスとタモキシフェンです。」
→これは勘違いですね。
 「ノルバデックス」と「タモキシフェン」は同じものです。

 おそらく「タモキシフェン(商品名ノルバデックス)」と「LH-RHagonist(商品名ゾラデックスもしくはリュープリン)」の併用のことをおっしゃりたいと思います。(ただし52歳という年齢からは併用の利点はありません)

 

 
 

 

質問者様から 【質問2 抗がん剤投与後に出た蕁麻疹について】

性別:女性
年齢:52歳
病名:浸潤乳管癌 硬癌
症状:

田澤先生、お世話になります。

以前ki67がグレーゾーンだった為質問をしたものです。

管理番号7096

12月中旬右胸部分切除をし、以下が病理結果です。

組織型  浸潤乳管癌
大きさ  1.6センチ×1.3センチ
ステージ 1
リンパ節 転移なし
エストロゲン陽性 70%
プロゲステロン 陰性
HER2 陰性
Ly因子 +
v因子  -
断片陰性
ki67 31%
核グレード2 

この結果から田澤先生のアドバイスを受け、オンコタイプをお願いしました。

再発スコア 37、9年遠隔再発率 25%、化学療法上乗せ効果
>15%でした。
この結果から4月よりTC療法を始めました。

3回目の投与後10日目に両腕に蕁麻疹かゆみが出たため受診。
翌日全身に蕁麻疹が出てきたため、再度受診。
両日とも担当医不在のため他の乳腺外科医、再受診時は皮膚科医も一緒に診て下さいました。

アンテべート軟膏、レスタミンコーワ軟膏、オロパタジン塩酸塩OD錠を処方。

蕁麻疹が出てから3日目でようやく身体のほうは消えてきましたが、両腕はだいぶ薄くはなりましたが出ています。

明日皮膚科に受診があり、その際に乳腺外科にも受診できるようにお願いするつもりです。

質問1 この蕁麻疹は抗がん剤のアレルギー反応なのでしょうか。

    遅延して薬剤のアレルギーは出ますか?
質問2 6月1週目に最後の投与がありますが、このまま受けるのはと
    ても不安があります。
投与を延期してもらうべきでしょうか?
質問3 もし投与が中止となった場合、その後の治療はどのようになり
    ますか?新たに違う抗がん剤になるのでしょうか?
    それともホルモン療法になるのでしょうか?もしホルモン療法
    になってしまった場合再発率は上がるのでしょうか?
質問4 ホルモン受容体のうちプレゲステロンが陰性ですが、ホルモン
    療法は効くのでしょうか?
質問5 今通っている病院では医師がエコー検査をしてくれません。

    田澤先生にその後の経過を診ていただくことは出来ますか?
    その際、手術のデーターなどを持参した方がよいですか?
    また、どのタイミングで行くべきなのかおしえていただきたい
    です。
最後の抗がん剤投与後からどのくらい期間をあけて受診    するのか?遠方からなので時間帯等考慮していただけますか?

とにかく今は蕁麻疹がなぜ出たのか、次回抗がん剤を投与した時にアナフラキシーが出たらと考えたら不安でたまりません。

どうぞ宜しくお願いいたします。

 

田澤先生から 【回答2】

こんにちは。田澤です。

TC療法は、そもそも「アレルギー反応」が出やすい薬剤です。
そこで当院では予めステロイドを2週間投与+(痒みなど薬疹の兆候が出たら内服するように)抗アレルギー剤を処方しています。

アレルギー反応は
1.即時型(アナフィラキシー)
2.軽い喉頭浮腫(喉が詰まる感じ)
3.薬疹(すぐには出ない)

「質問1 この蕁麻疹は抗がん剤のアレルギー反応なのでしょうか。」
→その通り、主として「ドセタキセル」によるものです。(タキサンはアレルギー反応出やすい薬剤として知られています)

「遅延して薬剤のアレルギーは出ますか?」
→薬疹が出る時期としては決して「遅く」ありません。
 ♯予めステロイドを内服していた場合(質問者のケースでは内服しているのは不明ですが)、ステロイドが終了してから出始めるケースもあります。(ステロイドで抑えられていた)

「6月1週目に最後の投与がありますが、このまま受けるのはとても不安」「投与を延期してもらうべきでしょうか?」
→酷い薬疹が出た場合には…(軽い薬疹なら、対策しながら継続しますが)

 (もともと術後「補助」療法として行っているわけですから)無理せずに、ここで「終了」としてもいいでしょう。
 再発予防という観点から、「中止が不安」というのであれば、代替として「weeklyPTXへ変更(この場合残り3回)」もしくは「EC(AC) この場合は残り1回」という方法も(私なら)提案します。

「質問3 もし投与が中止となった場合、その後の治療はどのようになりますか?新たに違う抗がん剤になるのでしょうか?」
→上記通り

「それともホルモン療法になるのでしょうか?もしホルモン療法になってしまった場合再発率は上がるのでしょうか?」
→それは不明です。

「質問4 ホルモン受容体のうちプレゲステロンが陰性ですが、ホルモン療法は効くのでしょうか?」
→勿論、効きます。(プロゲステロンは気にしなくて大丈夫)

「質問5 今通っている病院では医師がエコー検査をしてくれません。」
→残念ながら…

 そのような病院は多いです。

「田澤先生にその後の経過を診ていただくことは出来ますか?」
→勿論です。(市川あるあるです)

「その際、手術のデーターなどを持参した方がよいですか?」
→これは「質問者がどのようなスタンスで行きたいのか?」によります。

★実際のパターンとして
1.現病院には内緒で「局所の診察(エコー)」だけを定期的(半年が一般的)にされている方
2.現病院にお話しして「正式に転院」される方(この場合にはホルモン療法の処方など全て当院で行うことになります)

 1の場合には(病院からの紹介状はないため)資料などは殆どありません。(患者さんの覚書程度)
 2の場合には病院から「紹介状、手術のデータ」全てを持参してもらいます。

「また、どのタイミングで行くべきなのかおしえていただきたいです。」
→(現病院で)今行っている治療がひと段落ついてからとなります。

「最後の抗がん剤投与後からどのくらい期間をあけて受診するのか?」
→抗がん剤が終了してホルモン療法が開始されたら、(3か月処方なので)その薬剤が無くなる前が目安でしょう。

「遠方からなので時間帯等考慮していただけますか?」
→要望に全て添えるとは限りません。(勿論、希望は承ります)