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術後5年検診で右鎖骨上リンパ節に腫れ

[管理番号:2592]
性別:女性
年齢:58歳
どうぞよろしくお願いします。
2011年2月、右側乳がん部分切除手術をしました。
腫瘍 1.5×1.3
グレード3
ER 100% PGR - HER2 FISHにて陰性
脈間侵襲 l(-) v(1)
センチネル生検、リンパ節転移なし
術後:放射線(断端陽性でしたが放射線で対応可能とのことで30回)
抗がん剤TC 4クール(3か月) その後アロマシン服用
手術時すでに閉経
この2月の5年後検診の結果、右鎖骨上リンパ腫れ、0.8センチ以下が複数とのこと。
超音波下での細胞診で、現在その結果待ちです。
CT検査、マンモグラフィー、骨シンチの結果、全て異常なしです。
腫瘍マーカーの数値も変化なしです。
術後療法では、主治医がホルモン剤だけで行きましょうとおっしゃたのですが、グレード3が気になり、
少しでも再発率を下げたいと希望して抗がん剤治療を受けました。
元々の再発率も高くないでれど、グレード3なので5年以降も、
同様に注意して検査していきましょうと
話していたばかりでしたので、現在非常に動揺しています。
やはり遠隔転移の可能性が高いと覚悟してなければいけないでしょうか。
 

田澤先生からの回答

こんにちは。田澤です。
術後の「鎖骨上リンパ節腫大」ですか。
やはり「術側だけ(左は無いのですよね?)」というのが気になります。
 
「この2月の5年後検診の結果、右鎖骨上リンパ腫れ、0.8センチ以下が複数とのこと。」
⇒確かに気になる所見です。
 (万が一)リンパ節再発だとすれば、「センチネルリンパ節生検をすりぬけた腋窩リンパ節転移」がもともと存在していて、それがゆっくりと増大(腋窩や鎖骨下は術後照射の範囲内となり、それで抑えられた可能性があります)
 
「超音波下での細胞診で、現在その結果待ちです。」
⇒鎖骨上リンパ節への細胞診は(それなりの)慣れと技術が必要なので、「きちんと細胞が採れているのか」注意が必要です。
 
「CT検査、マンモグラフィー、骨シンチの結果、全て異常なしです。腫瘍マーカーの数値も変化なしです。」
⇒それであれば、(もしも再発だとしても)「純粋な局所再発(リンパ節)」の可能性が高そうです。
 
「やはり遠隔転移の可能性が高いと覚悟してなければいけないでしょうか。」
⇒CTや骨シンチで異常無なのだから、「リンパ節再発」だと思います。
 ただし、「縦隔リンパ節」や「傍胸骨リンパ節」は要注意なので、是非「PET」撮影する事をお勧めします。
 
 
○「細胞診が陽性」であり、「PETでリンパ節のみ」であれば、まだ十分に根治性は期待できます。
 この場合、治療の主体となるのは「放射線照射」となります。
 その場合こそ、「トモセラピー」が理想的です。
 
 

 

質問者様から 【質問2】

田澤先生
先日は上記の質問に早速にご回答くださいまして本当にありがとうございました。
術後5年検診で「術側鎖骨上リンパ節に複数の腫れ」が見つかり(触っても全く分からない程度)、細胞診の結果待ちという状況で先生に質問させていただいたものです。
細胞診、生検を経て、結果は5年前の乳がんの転移(性格も全く同じ)とのことでした。
センチネルリンパ節生検陰性、ステージ1の早期ガン、ホルモンER陽性、念には念という気持ちで頑張って抗がん剤TCも致しましたので、まだこれは現実なのかという気持ちです。
主治医は「この状態は骨転移と同等の意味で、もうガンが体中を回っているので今は遠隔転移はないがそのうち出てきます。
今すぐに命がどうこうではないですが…5年・10年と…考えてください。」とのことです。
積極的な治療はもうしない(意味がない)ような感じでした。
ER 90%なので5年間のアロマシンから既にアリミデックスに変更になっておりますが、抗がん剤の提案は今はありません。
田澤先生の「もし局所再発(リンパ節)であっても、まだ根治の可能性はある」というご回答よりもずっと消極的な感じでした。
夫とも、可能性があるなら出来ることは全部やろうと決め、江戸川病院のトモセラピーで
鎖骨上リンパ節の放射線治療を受けることにしました。
本日紹介状を持参、受診してCT,MRIの予約をして来ました。
これから乳がん治療の第2ラウンドが始まるのだと少しでも前向きに考えを変えていこうと思います。
この回答欄でトモセラピーを教えてくださって本当に感謝しております。
ありがとうございました。
そしてまた質問させてください。
鎖骨上リンパ節にガンがあるということは、もう首にも肝臓にもガンが行っているということと同じで、と主治医は仰ったのですが、やはりそうなのでしょうか?
そうすると全身治療は引き続きホルモン剤だけで大丈夫なのでしょうか?
私はER90%ですが、PGR-です。
主治医から、遠隔転移が見つかった時にはすぐに抗がん剤に変更と説明がありましたが、今回のタイミングでの抗がん剤治療は必要ないのでしょうか?
初発ではたとえホルモン感受性があってもリンパ節に転移があった際には抗がん剤治療だったように思いましたが、再発では違うのでしょうか?
家族のためにも少しでも長く元気でいたいと願っています。
まだ体力のあるうちに、可能性のある治療はやりたいと思っています。
とりとめのない内容で申し訳ございません。
今日乳腺外科の前で大勢の患者さんが待っているのを見ました。
超多忙の先生がこのような質問ページを持って下さることに改めて感謝の気持ちでいっぱいです。
どうぞよろしくお願いいたします。
 

田澤先生から 【回答2】

こんにちは。田澤です。
鎖骨上リンパ節再発でしたか。
お気持ち、お察しします。
ただ担当医の「頭の中を覗いてみたい」と切に感じました。
○手術の同側の鎖骨上リンパ節転移(再発)で他に転移がない(前回、回答した様に是非、縦隔リンパ節は確認すべき)のだから、所謂「血行性の遠隔転移再発ではなく」純粋に「局所再発」です。
 それを「区別できない」ようでは…
このQandAでも、質問者達からしばしば送られてくる「局所再発」
これを「遠隔転移再発と区別できない」医師がそこかしこに、存在する事実に、いつも残念な気持ちでいっぱいとなります。
 
「主治医は「この状態は骨転移と同等の意味で、もうガンが体中を回っているので今は遠隔転移はないがそのうち出てきます。」
⇒担当医の「頭の中を覗いて」みたいですね。
 骨転移は血行性転移であり、「同側の鎖骨上リンパ節転移(再発)」とは『似ても似つかないもの』です。
 
「局所治療(この場合は、術後照射野とかぶっていない筈だから当然)放射線治療」が頭にないようでは、困ったものです。
 
「田澤先生の「もし局所再発(リンパ節)であっても、まだ根治の可能性はある」というご回答よりもずっと消極的な感じでした。」
⇒それは、「鎖骨上」はあくまでも「局所であり、(血行性である)全身転移とは明確に異なる」からです。
 もしかすると、「術後に鎖骨上まで照射」していれば、「再発しなかった」可能性も当然あるのです。
 
「夫とも、可能性があるなら出来ることは全部やろうと決め、江戸川病院のトモセラピーで鎖骨上リンパ節の放射線治療を受けることにしました。」
⇒非常にいいことです。
 これこそ、「トモセラピーの独壇場」です。
 
「鎖骨上リンパ節にガンがあるということは、もう首にも肝臓にもガンが行っているということと同じで、と主治医は仰ったのですが、やはりそうなのでしょうか?」
⇒全く違います。
 あくまでも「局所」です。
 
「そうすると全身治療は引き続きホルモン剤だけで大丈夫なのでしょうか?私はER90%ですが、PGR-です。」「今回のタイミングでの抗がん剤治療は必要ないのでしょうか? 初発ではたとえホルモン感受性があってもリンパ節に転移があった際には抗がん剤治療だったように思いましたが、再発では違うのでしょうか?」
⇒「局所再発なのだから、局所治療(放射線照射)が重要」であることは間違いありません。
 ただ、「放射線終了後」に「化学療法を追加」する考え方はあります。
 ○私の予想ですが、「トモセラピー後、リンパ節は消失」すると思います。
 その後の「メンテナンス」として「点滴抗がん剤を(期間を決めて)行う」方法や(こう言う時にこそ)経口抗がん剤を1年以上行う」方向など自由度が大きい状況です。
  まずは、「放射線治療」が優先します。