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授乳中の乳房の腫瘤

[管理番号:7003]
性別:女性
年齢:33歳
病名:
症状:乳房の腫瘤、無痛

田澤先生、お忙しい中恐縮ですがご一読よろしくお願いいたします。

現在、生後2か月になったばかりの子供に授乳中ですが、約3週間前から左乳房の下部外側に母指大ほどの腫瘤を自覚しました。
母乳が詰まって
溜まってしまったと思い、助産師による乳房マッサージを受けましたが腫瘤の大きさに変化はなく、抱き方を変えて授乳したり搾乳したりしても変化はありませんでした。

 10月に出産したのですが、妊娠中に耳下腺癌の摘出術を受けていたこともあり、もしも悪いものだったらと不安になり昨日外科受診してきました。

<これまでの経過>
 7月(下旬)日 耳下腺腫瘍摘出術をうける
 10月(上旬)日 帝王切開術で出産
 10月(上旬)日 腋窩に腫瘤を認め、外科受診し両乳房と腋窩のエコー実施
 → 乳房に腫瘤なし、腋窩の腫瘤はリンパ節または副乳
 10月(下旬)日 耳下腺癌の肺転移などの検索のため胸部CT撮影 → 問題なし
 11月(中旬)日頃 左乳房下部外側に母指大の腫瘤自覚 痛みなし
 11月(下旬)日 助産師による乳房マッサージ受ける → 腫瘤変化なし
 12月(上旬)日 外科受診し両乳房と腋窩エコーの実施 → 左乳房に2センチ大の腫瘤あり、線維腺腫疑いと診断

昨日の診察内容やこれまでの経過よりいくつか質問があります。

・線維腺腫だった場合、約2か月で2センチ大ほどに成長するのでしょうか。
(10月(上旬)日のエコーには描写されていない)線維腺腫は短期間でこれほどの大きさに成長しないとすれば、葉状腫瘍も疑った方がよいのでしょうか。

・12月(上旬)日のエコーには楕円形で内容物は白色の腫瘤が描写されていましたが、腫瘤の輪郭をはっきり描写するのに困難を要していました。
医師は乳瘤だとこのような写りにはならない、悪いものではないことは確かなのでおそらく線維腺腫でしょう、と言いました。
田澤先生の記事にあったミルクのう胞のミルクの部分は白く描写されていたように記憶しています。
乳瘤、線維腺腫、葉状腫瘍ではどのようにエコーで描写されるのでしょうか。

・12月(下旬)日にPET CTを撮影することになっています。
乳瘤、繊維腺腫、葉状腫瘍では写るのでしょうか。

・近いうちに生検を受けてはっきりさせようと思っていますが、その判断で良いでしょうか。

 腫瘤が急に割と大きめに出現したこと、授乳中であること、エコーで内容物が白く描写されていたことから乳瘤なのでは…と考えたのですが、医師の「乳瘤はこのように写らない」という言葉や癌を罹患したため葉状腫瘍だったら…という不安もあり質問させていただきました。

乱文失礼いたしました。

宜しくお願い致します。

 

田澤先生からの回答

こんにちは。田澤です。

「・線維腺腫だった場合、約2か月で2センチ大ほどに成長するのでしょうか。」
→それらの医師の診察結果と質問者が「授乳中であること」を併せて考えると…

 「授乳期腺腫」かもしれません。(それなら「辻褄」が合います)  『今週のコラム 102回目 妊娠授乳期の「(突然できたかのような)大きい、しかし扁平な腫瘤」を見たら… それは、「授乳期腺腫」かもしれません。』をご参照のこと。

 
 

 

質問者様から 【質問2 】

突然できた大きな塊
性別:女性
年齢:33歳
病名:
症状:突然できた大きな塊、軽い痛みと皮膚の発赤

田澤先生、ご多忙中恐縮ですがご一読よろしくお願いいたします。

現在生後4か月児に授乳中です。
2日前の入浴中に右胸外側上部に直径約
5センチの硬結を自覚しました。
発見時は痛みや発赤はなかったものの
昨日までなかった塊だったため、母乳の詰まりと考え自らマッサージしました。
しかし解消することはありませんでした。

翌日の状態は塊の大きさは変化なく、前日に自らマッサージで刺激をしすぎたせいなのか皮膚に軽い発赤を認め痛みもややありました。
乳房マッサージを受けるべく産科を受診しました。
助産師が乳房に触れると
「これは結構大きいですね。
触ると悪化することもあるのでまずは医師にエコーで診てもらいます。
切開することもあるので…」と言い、産科の医師によるエコー検査を受けました。
産科医師は「これは母乳の詰まりじゃない。
液体は溜まっていなく充実性だ。
腫瘍だと思うから外科に診てもらいなさい。」と言い、そのまま外科に行くよう言われました。

外科へ行くと当日は診察することはできず、5日後に予約をいれることになりました。
5日後は検査技師によるエコー検査を受け、その内容をもとに医師の診察を受ける、という流れです。

私は外科外来看護師に「医師によるエコー検査は行っていないのか」
「心配なので生検はできないのか」と尋ねました。
看護師の答えは「先生は技師さんのエコーを一番信用しているのでまず自らエコーすることはない。」「授乳中なので針を刺すと母乳が漏れてしまうかもしれない。
生検するなら断乳してからではないといけない」というものでした。

自らの体に起こった事柄の急展開と受診した病院の対応を踏まえ、居住地は○○でありますが田澤先生による診察を希望し、昨日生検希望メールを送ったところでした。

自分の症状(急にできた大きな塊・痛み・皮膚の発赤)から色々調べると
「肉芽腫性乳腺炎」と「紡錘細胞癌」が気になります。

肉芽腫性乳腺炎は授乳とは関係なく起こるという記述を目にすることが
多いですが、私のように授乳期にでもなる疾患なのでしょうか。

また、紡錘細胞癌の可能性があったら…と考えると、田澤先生のもとで検査をする頃には腫瘍は急速な悪化を辿っているのではないかと不安です。
この疾患は腫瘍が急速増大し、遠隔転移も早いと理解しています。

(誤った理解かもしれませんが2件ほどこのような経過の報告を読みました)

時間がかかっても田澤先生による信頼できる診察を受けたいと思っているのですが、上記の不安が大きくまずはこちらで質問させていただきました。

右胸の塊は軽い痛みはあるものの現在も授乳は普段通り続けています。

余談ですが、現在受診している病院で○年前まで手術室看護師として○年間勤務しておりました。
なので外科に乳腺専門医がいないことやどのように手術をしているかを見てきました。
良い外科の先生もいらっしゃるのですが、乳房の手術だけでなく生検に関してもこの病院で受けるのは正直不安です。

 

田澤先生から 【回答2】

こんにちは。田澤です。

生検希望メールへの返信は(このQandAが始まる前に)すでに送っています。
(ご確認を)

現病院では(生検はしないとしても)「5日後]には診察があるのですよね?
乳腺外科医でないとしても(普通の外科医なら)「癌を疑う所見なのか、どうか}は解る筈です。(肉芽腫性乳腺炎は知らないでしょうが、もしも癌を疑うなら「断乳するまで」などというのんきなことにはならない筈)

それによる進捗(〇〇と言われたなど)があったら、メールでその旨お伝えください。(万が一癌を疑うなどとなったら、日程を調整します)

「秘書室メール」はこちらをクリックしてください。

 
 


 

質問者様から 【結果3 授乳中の乳房の腫瘤】

性別:女性
年齢:33歳
病名:授乳期腺腫
田澤先生の診察:[診察あり]
田澤先生の手術:[手術なし]

 完全母乳で育児中、生後2か月の時に左乳房下部外側に2センチ大の腫瘤が、生後4か月の時に右乳房上部に5センチ大の腫瘤が、自覚としては「突然」出現しました。
 地元の病院では授乳中の生検はしてもらえなかったことや乳腺の専門医がいなかったため、遠方ではありましたが田澤先生の診察を受けるべく連絡をさせていただきました。
 お忙しい中すぐに返信頂き、予約もとって頂きました。

 右乳房の腫瘤ができて約3週間後の受診でしたが、その時には5センチもあった右乳房の腫瘤は消失しており(田澤先生のエコーでも指摘されるような病変は認められませんでした)、先にできた左乳房の腫瘤のマンモトームを実施して頂きました。

 2週間後に出た病理の結果は「授乳期腺腫」でした。これで、突然2~5センチ大の腫瘤が出現したことや消失したことに納得できました。

 マンモトームの後は、表現が正しいかわかりませんが、結構おおげさなくらいしっかりとテープで圧迫固定されます。私の場合は授乳中でしたので、翌日の圧迫解除まで搾乳しないでいると詰まってしまう恐れがありました。テープの隙間からでている乳頭にタオルを当て、生検部位から離れている乳房を圧迫し、搾乳しました。
 マンモトーム後は10日間くらいイチゴミルクのような血乳がでましたが、その後落ち着きました。また、生検後はまるでしこりが増大したように触れますが、約1か月半経つと明らかに縮小しています。生検後の血液分泌やしこりは、あるあるQにある通りです!

 今から7年前になりますが、第1子の時の授乳中は乳房のトラブルは全くなく、断乳やその後の乳房ケアも自ら行ったため乳房のトラブルは私には関係のない話だと思っていました…。しかし、こんな短期間に腫瘍が2つもでき、田澤先生にお世話になりました。悪性疾患だけでなく良性疾患もしっかりと診断・治療してくださる田澤先生の存在を本当に心強く、有難く思います。
 Q&Aから診察まで、本当にありがとうございました。

<Q&A結果>