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若年性 粘液癌について

[管理番号:2646]
性別:女性
年齢:35歳
はじめまして。
どうぞよろしくお願いいたします。
<病理結果>
・腫瘍径  2.5cm×2.4cm×1.8cm
・癌の種類 粘液癌の中に硬癌含む
・ER 陽性90%
・PgR 陽性70%
・HER2 2+ FISH 2.10
・Ki-67 10%
※オンコタイプDXを実施しホルモン治療のみを選択
再発スコア「22」
ER 8.5
PgR 6.7
HER2 9.0
<経緯>
2015年1月末、妊娠3ヵ月時に右乳房内に浸潤癌(粘液癌)が発覚。
妊娠6か月(2015年4月)時に右乳房全摘出の手術施行。
センチネルリンパ節生検(1個)→陰性
腋窩リンパ節郭清は行わず。
オンコタイプDXを実施した結果、ホルモン治療のみを選択同年、8月末に出産。
出産後すぐにホルモン治療(チュープリンとタモキシフェン服用)を開始。
9月妊娠中のため検査未実施であったCT(肝・肺)、骨シンチを実施→遠隔転移なしとの診断。
2016年2月 超音波検査により右腋窩リンパ節に2cmの腫瘍の診断(針生検の結果、2015年4月に摘出したタイプと同様の癌が発覚)。
※妊娠でリンパ節が腫れていたため見つからず、出産前からすでにあった腫瘍なのか、再発や転移によるものなのかは不明とのこと。
現在、遠隔転移がないか再度CT(肝・肺)、骨シンチを検査中(検査結果は3/(下旬))。
今後の治療方針として主治医からは抗がん剤の効果の判断基準となるため、
腫瘍は残したまま、抗がん剤(内服ならばSFU、点滴ならばPTXかDTX)+ハーセプチンを行うのが適当ではと言われている。
質問①
リンパ節に腫瘍を残したまま、化学療法にて治療を行うのは適切でしょうか。
リンパ節に腫瘍を残すことで転移の可能性が高まることはないのでしょうか?
切除してから抗がん剤よりも上記のような方針が適当なのでしょうか。
主治医からは抗がん剤にて進行は停滞すると言われていますが不安です…。
質問②
情報が不足しているとは思いますが、私の癌の種類の場合、先生ならばどのような抗がん剤を使用しますか。
質問③
セカンドオピニオンも考えていますが、情報提供書の用意やセカンド先の診察予約等で時間を要します。
その間にも癌が進行する、転移するのではと不安です…。
まずは、現主治医先にて治療を開始しながら治療方針が妥当かを相談していくのがいいでしょうか。
質問④
乳房全摘出(4月)から10か月の短期間において2cm大の腫瘍が再発するのはよくあるケースでしょうか?
短期間にてこのような症状が出現するということは今後も再発しやすいのでしょうか?
4歳に満たない小さい子供も2人おり、今後のことを考えると不安で仕方ありません。
お忙しいところ申し訳ございませんが、ご回答いただけると幸いです。
 

田澤先生からの回答

こんにちは。田澤です。
pT2(25mm), pN0, luminalA(HER2-FISH 2.10はequivocal)
経過については「完全に理解」しました。
「2016年2月 超音波検査により右腋窩リンパ節に2cmの腫瘍の診断(針生検の結果、2015年4月に摘出したタイプと同様の癌が発覚)]
⇒術後10カ月であれば、局所再発というよりは、「センチネルリンパ節生検」での偽陽性(実際は転移していたリンパ節が、手術時に別に存在していた)だと思います。
 
「※妊娠でリンパ節が腫れていたため見つからず、出産前からすでにあった腫瘍なのか、再発や転移によるものなのかは不明とのこと。」
⇒妊娠中でも判ります
 
「今後の治療方針として主治医からは抗がん剤の効果の判断基準となるため、腫瘍は残したまま、抗がん剤(内服ならばSFU、点滴ならばPTXかDTX)+ハーセプチンを行うのが適当ではと言われている。」
⇒私の考え方は「全く」異なります。
 今回は、あくまでも「もともと存在していたリンパ節転移の取り残し」との位置づけです。
 ○局所療法「手術+放射線」が最も重要です。
 その後に抗ガン剤を行います。(結果的には術後に行ったホルモン療法では「潜んでいたリンパ節転移を抑えきれなかった」ことになるので術後抗がん剤の適応はあります)
 
 
「質問①リンパ節に腫瘍を残したまま、化学療法にて治療を行うのは適切でしょうか。」
⇒不適切です。
 本来(手術時に)郭清すべきリンパ節なのだから、「見つけ次第、摘出すべき」ということです。
 純粋な「再発」ではないのです。
 
「リンパ節に腫瘍を残すことで転移の可能性が高まることはないのでしょうか?」
⇒あります。
 
「切除してから抗がん剤よりも上記のような方針が適当なのでしょうか。」
⇒局所療法が優先(上記)します。
 
「質問②情報が不足しているとは思いますが、私の癌の種類の場合、先生ならばどのような抗がん剤を使用しますか。」
⇒TCです。
 術後補助療法としては「TCを選択」します。♯再発治療とは異なります。
 また、HER2-FISH 2.10ですから「抗HER2療法はequivocal」となります。
 
「まずは、現主治医先にて治療を開始しながら治療方針が妥当かを相談していくのがいいでしょうか。」
⇒術後10カ月かけて(もともと存在していた癌細胞が)「ゆっくりと大きくなった」だけですから、決して「早い進行」ではありません。
 あせらずに「局所制御=腋窩郭清」すべきです。
 
「質問④乳房全摘出(4月)から10か月の短期間において2cm大の腫瘍が再発するのはよくあるケースでしょうか?」
⇒これは厳密な意味での再発ではありません。
 センチネルリンパ節生検の際に見逃された「もともと転移があったリンパ節」が大きくなったのです。
               
「短期間にてこのような症状が出現するということは今後も再発しやすいのでしょうか?」
⇒「見逃されたリンパ節」なので、「再発し易さとは無関係」です。