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遺伝性の若年性乳がん

[管理番号:3080]
性別:女性
年齢:32歳
管理番号3080「遺伝性の若年性乳がん」女性32歳の方 
6月7日に質問が届きましたが、
前回の質問がそのまま記載されていました。
追加質問をされる場合は、
通常の「問合せフォーム」から、
再度お願いします。
ホームページ管理者
 
 
初めまして、よろしくお願い致します。
先月末に突然右胸の上内側に3センチほどのしこりを発見しました。
私の母が38歳で炎症性乳がんになり、診断から2年で亡くなってしまったので、
自分でよく胸を触って確認していたのに、急に大きなしこりがあらわれたのです。
これはやはり非浸潤で広がっていたのが急に浸潤し始めたのでしょうか。
それとも奥の方にあったのが上に上がってきたのでしょうか。
今針生検の結果待ちで来週まではなにもわかりません。
がんの確定告知もまだなのですが、おそらく遺伝性乳がんだろうと言われました。
先生は若年性のトリプルネガティヴの全てが予後不良なのではなく、その中の遺伝性乳がんが再発率を押し上げていると書かれているのを見て、私の場合は腫瘍径も結構大きいので再発率がかなり高いのではないかと不安になります。
やはりそうなのでしょうか。
 

田澤先生からの回答

こんにちは。田澤です。
「先月末に突然右胸の上内側に3センチほどのしこりを発見」
「自分でよく胸を触って確認していたのに、急に大きなしこりがあらわれた」
「これはやはり非浸潤で広がっていたのが急に浸潤し始めた」
⇒その可能性はあります。
 
「がんの確定告知もまだなのですが、おそらく遺伝性乳がんだろうと言われました。」
⇒かなり乱暴ですね。
 「乳癌の低年齢化」に伴い30代の乳癌は増えているし、「乳癌全体の増加」のため家族歴がある方も多いです。
 質問者のサブタイプが「トリプルネガティブ」であったらな、考えてもいいでしょう。
 
「先生は若年性のトリプルネガティヴの全てが予後不良なのではなく、その中の遺伝性乳がんが再発率を押し上げていると書かれているのを見て、私の場合は腫瘍径も結構大きいので再発率がかなり高いのではないかと不安になります。」
⇒本当にトリプルネガティブであり、しかも「遺伝性乳癌」であれば確かに気になるところですが…
 ただ「何やかんや言っても、ステージが重要」なのです。
 リンパ節はどうなのでしょうか?
 ○頭でっかちになって「遺伝性乳癌は予後が悪い」などと短絡する事だけは止めましょう(遺伝性乳癌と決めつけるのも止めましょう)
 万が一、再発すれば手ごわいかもしれませんが、とにかく「初期治療が重要」なのです。
 
 

 

質問者様から 【質問2】

下記が未入力でした。
再質問管理番号:
再質問タイトル:
内容から管理番号3080 としています。
再度、質問される場合は、下記の入力をしてください。
再質問管理番号:3080
再質問タイトル:遺伝性の若年性乳がん
ホームページ管理者
 
針生検の結果がでました。
性別:女性
年齢:32
前回若年性の遺伝性乳がんについて質問したものです。
針生検の結果が出ました。
異型細胞が上皮内癌を伴いながら、小胞巣や索を形成して浸潤性に広がっています。
浸潤癌です。
GRADE 3
ER:positive(5%)
PgR:negative
HER2:negative
Ki67:70%
以上です。
やはりトリプルネガティヴでグレードも3で遺伝性を疑われました。
しこりは3センチほどで広がりの長いところは5センチほど。
全てが浸潤しているわけではなく混在しているということで、画像上リンパの転移は見られなく、現時点でのステージは2aだと言われました。
田澤先生はステージ2aなら早期と言えるとおっしゃっていますが、私のように性質が悪いものでも大丈夫なのでしょうか?
主治医はグレード3なのが心配だと言っています。
グレード3やKi67が70%でも、乳管内での進行が早いだけで全身に行くのが早いというわけではないのでしょうか?ステージ2aなら他のステージ2aの人と変わらないのでしょうか?
治療方針は、術前化学療法を勧められました。
効きを細かく見ながら、薬の選択肢も増やせるとのことでした。
術前でも術後でも予後は変わらないから大丈夫とも。
若年性のトリプルネガティヴに効果が期待できるというプラチナ製剤(術前でのみ使用するとのこと)も使うようで、
TP療法 3週間に1回x4回
T:タキサン(ドセタキセル) P:プラチナ(シスプラチン)
AC療法 3週間に1回x4回
A:ドキソルビシンアンスラ) C:シクロフォスファミド
以上を術前に行い、その後治験としてBRCA変異型に効果が期待できるというPERP阻害剤を使うそうです。
先生はどうお考えですか?
ステージだけで見たらそんなに悲観することもないように思いますが、
その他の要素で不安になります。
再質問管理番号:
再質問タイトル:
 

田澤先生から 【回答2】

こんにちは。田澤です。
「トリプルネガティヴでグレードも3で遺伝性を疑われました。」
⇒当然、疑われる状況ですが…
 まさか「遺伝子検査無し」の『状況証拠だけ』で決めつけてはいませんよね?
 
「治療方針は、術前化学療法を勧められました。」
⇒このメール内容の広範からも「治験をするため」勧めているようです。
 
「効きを細かく見ながら、薬の選択肢も増やせるとのことでした。」
⇒ただの治験です。
 「ものは言いよう」ですね。
 
「TP療法 その後治験としてBRCA変異型に効果が期待できるというPERP阻害剤を使う」
⇒TPそのものが「適応外」治療であり、「治験の筈」です。
 「シスプラチン」は乳癌では適応外薬剤であり、決して保険診療ではありえません。
 ○それにしても「遺伝子検査なしの状況証拠だけ」でBRCA変異と決めつけて「PARP
阻害剤を用いる治験」に誘導することが正しいことかどうか?
  私には疑問です。
 
「先生はどうお考えですか?」
⇒私は、そんな「効くか、効かないか解らない」治験よりも「通常の診療(手術先行
⇒術後アンスラサイクリン+タキサン)がいい」と思います。
 ○治験は本来、「進行して他に治療法が無い」患者さんで「有効性が確認されたもの」を行うべきです。