[管理番号:8385]
左乳房全摘後抗がん剤とホルモン剤投与による治療と説明を受けましたが抗がん剤治療中に突然放射線治療をすると言われました。
本当に放射線療法は必要でしょうか?出来れば避けたいと思っています。
性別:女性
年齢:60歳
病名:浸潤性乳管癌全摘後
症状:抗がん剤点滴期間中(8回終了)に放射線治療をすると言われました。
投稿日:2020年3月16日
StageⅡA、T2:3cm、エストロゲンレセプター陽性、プロゲステロンレセプター陰性、HER陰性、ki67:80~90で、2,019年10月に左乳房全摘術を受けました。
再発防止の治療としてホルモン療法は必要。
抗がん剤が必要かどうか→遺伝子検査を希望した結果「H」で両方必要と説明を受けました。
組織検査結果:肉眼的に、採取された左乳房では、割面EのAB領域に、大きさ15x8㎜の白色充実性腫瘤が認められます。
組織学的に、比較的類円形腫大核と豊かな淡好
酸性細胞質を腫瘍細胞が、充実性胞巣を形成して増殖・浸潤しています。
大型浸潤巣
に加え、浸潤・非浸潤の判断に迷う腫瘍胞巣、さらに乳管内伸展巣などが認められます。
腫瘍全体の広がりは42x20x20㎜です。
浸潤巣は割面Dでは30x12㎜、割面E
では20x10㎜です。
深部断端(skin)のきわめて近傍(<0.5㎜)に、大型の腫
瘍胞巣が見られます。
明瞭な脈管侵襲、リンパ節転移は認めません。
抗がん剤の点滴は①3週間毎に4回②1週間毎に12回のどちらがよいかと問われ①の4回を選択。
2019年12月点滴開始;①注射用エンドキサン500㎎1.56瓶+生食②ドセタキセル
点滴静注80㎎/4?1瓶+ドセタキセル点滴静注20㎎/1?0.5瓶+生食の点滴を受ける。
(主要のもののみ記載)
3日後から38度以上の高熱を2週間以上発熱。
特にGOT41,GPT73,CRP17と肝
機能の数値が高くCRPがなかなか正常値に戻らなかった。
レボフロキサシン500㎎1
錠を10日間セファクロルカプセル250㎎3カプセル7日間の投与を受けました。
その後
肝機能の数値も正常値に戻り点滴を再開する事になりました。
(前点滴から35日後)
点滴は薬剤を変え毎週1回を8~12回しますと説明を受けました。
主な点滴内容:パクリタキセル点滴静注100㎎16.7?1瓶+パクリタキセル点滴静注30㎎5?0.2瓶+生食を週1回、現在8回受けました。
以上が今までの受診経過ですが、主治医から抗がん剤は12回します。
放射線療法も加えますと言われました。
理由は
①当初より抗がん剤を弱くした。
②全摘したけれど筋膜の際際を切っているからと云う事でした。
(細胞検査の「深部断端のきわめて近傍に大型の腫瘍胞巣が見られる」)
私は治療説明で放射線療法が必要かも知れないという説明すら受けていません。
術後幹部はきれいに全部取り切りましたと説明を受けており、逆に放射線療法が必要なのは幹部を取り残していたのかなと心配になりました。
放射線療法を受ければ再発率は低くなるとは思いますが、後遺障害のリスクを負い精神的苦痛も考えると放射線治療は避けたいと思っています。
放射線治療が必要かどうか?
放射線治療も受けた方がよいのか判断に迫られています。
先生のご意見を是非お聞かせ下さい。
また現在の抗がん剤を12回受ける必要がありますか?
12回受ければ後はホルモン療法だけでよろしいでしょうか?
ホルモン療法は避けられませんか?
お忙しいところ申し訳ありません。
よろしくお願いします。
田澤先生からの回答
こんにちは。田澤です。
「深部断端(skin)のきわめて近傍(<0.5㎜)」
⇒これは質問者の勘違いですね。
「トップページ」の『今週のコラム 85回目 ○この層構造の理解が、「皮膚側断端」「深部側断端」の理解に役立つのです。』と、それに続く『今週のコラム86回目 このようにすれば、全摘で深部側断端が陽性となることはないのです』を参照ください。
そうすると深部断端とはskinではなく、大胸筋だということがわかります。
「放射線治療が必要かどうか?
放射線治療も受けた方がよいのか判断に迫られています。
先生のご意見を是非お聞かせ下さい。」
⇒執刀医次第です。
自信を持って「取りきれている、放射線は不要」と言えないのであれば、「再手術(部位の特定が必要ですが)もしくは放射線」が必要となります。
「また現在の抗がん剤を12回受ける必要がありますか?」
⇒TCを1回うけたのだから(TC1回はweekly paclitaxel3回分に相当)weekly paclitaxelは「全9回」でいいと思います。(当院なら同ケースではそうしています)
「ホルモン療法は避けられませんか?」
⇒期待される効果(再発予防効果)と危惧される副作用のバランスできまります。
質問者はルミナールタイプなのだから、「ホルモン療法すべき」というバランスとなります。(やってみて、副作用がひどければ「その際には中止」すればいいのです。
質問者様から 【質問2 】
再手術か放射線治療を受けるかの選択肢
性別:女性
年齢:60歳
病名:浸潤性乳管癌全摘後
症状:
投稿日:2020年3月23日
管理番号8385の回答ありがとございました。
「今週のコラム 86回目 このようにすれば、全摘で深部側断端が陽性となることはないのです」の図解説明で私の場合「適切に手術されていれば放射線治療も再手術も必要なかった」と理解できました。
クリニックは年間200例以上の乳癌手術をされており、主治医はその中でもメインの方で、術後「完全にきれいに取りました」とお聞きし安心していました。
再手術は受けたくありません。
そうすると放射線治療を受けるしか選択肢はありません。
クリニックでは放射線治療はしておらず、大学病院に紹介されます。
大学病院に通院するのは大変ですし、本来受けなくて良い治療が追加された精神的、肉体的、金銭的苦痛及び追加される放射線の後遺障害は耐えがたい思いです。
3月(下旬)日(〇)に主治医と家族との話し合いの場が持たれます。
何かアドバイス頂けるとありがたいのですが。
手術後の傷あとに「アトファイン」を貼っています。
1週間で貼り替えていますが、
アトファインを貼ったまま放射線を受けられるのでしょうか、また貼ったまま受けた場合そこだけ放射線焼けがなく跡が残りませんか、術後6ヶ月から1年貼るように言われています。
抗がん剤投与回数の件ですが、「TCを1回受けているのでweekly paclitaxelは全9回でいいと思います」と回答頂きました。
TCの投与は3週間に1回ですが、私の場合は1回目の投与で高熱と肝臓機能低下でweekly paclitaxselの投与を受けるまで5週間、間が開きました。
主治医は「間が開いたのでTCはノウカウントです」と言われました。
TCの投与を1回受けただけで、髪の毛が全部抜けたほど強いものだったと感じていたのでノウカウントはおかしいのではと疑問を抱いていました。
5週間、間が開きましたが、3回分相当としてカウントしてよろしいでしょうか。
よろしくお願い致します。
田澤先生から 【回答2】
こんにちは。田澤です。
「 手術後の傷あとに「アトファイン」を貼っています。
1週間で貼り替えていますが、
アトファインを貼ったまま放射線を受けられるのでしょうか、また貼ったまま受けた場合そこだけ放射線焼けがなく跡が残りませんか、術後6ヶ月から1年貼るように言われています。」
⇒私はアトファインなるものを使用したことがないので…
放射線科医に聞いてみましょう。
「5週間、間が開きましたが、3回分相当としてカウントしてよろしいでしょうか。」
⇒私であればそのようにしています。
質問者様から 【質問3 】
ルミナールBの場合パクリタキセル12回投与後に追加抗がん剤が必要ですか
性別:女性
年齢:60歳
病名:浸潤性乳管癌全摘後
症状:
投稿日:2020年3月31日
先生の回答に勇気ずけられています。
ありがとうございます。
放射線治療の件で説明を受けるため主人と一緒に主治医に会いました。
「院内カンファレンスの結果、放射線治療ではなく、抗がん剤をもう一種類トライした方が良いのではないか。
あなたの場合ルミナールBでホルモン療法があまり効かないタイプです。
パクリタキスは弱めなので十分かどうかと云う事。
パクリタキセル12回投与後エピルビシンを3週間毎4回投与する事を提案します。
エピルビシンはパクリタキセルより強くとドセタキセルよりは弱い薬剤です」と言われました。
放射線治療の話は何処へ行ったのかとの思いで聞いていました。
局所はきれいに取れたと確認しました。
エピルビシンも治療計画にはなく、突然の話で、精神的にも体力的にも辛いことです。
エピルビシンを投与する事により再発率がどれ位下がるのかお聞きしましたが「わからない」との事。
最後には「エピルビシンの投与が体力的に難しいと思われているようですが、2~3週間、間を開けて体力が回復してから投与したら良いのでよく考えて下さい」と言われました。
質問
治療計画ではパクリタキセル+ホルモン療法でした。
ルミナールBは最初から分かっていたことです。
追加の抗がん剤は必要でしょうか?
出来れば避けたいと思っています。
よろしくお願いします。
田澤先生から 【回答3】
こんにちは。田澤です。
「あなたの場合ルミナールBでホルモン療法があまり効かな
いタイプです」
⇒?
何を根拠に?? ER陽性なのだから「あまり効かない」というのは「少々」強引です。
「追加の抗がん剤は必要でしょうか?」
⇒追加する理由が不明です。
質問者様から 【質問4 】
ルミナールBの場合のホルモン療法
性別:女性
年齢:60歳
病名:浸潤性乳管癌全摘後
症状:
投稿日:2020年4月15日
先生からの回答は私の疑念を払拭して頂いています。
大変助かりました。
ありがとうございます。
主治医との話し合いで放射線はなくなり、追加抗がん剤はお断りしました。
ただパクリタキセル点滴は8回終了ではなく12回受けることになりました。
質問1:点滴終了後CTを撮ると言われましたが、CTを撮る意味があるのでしょうか?
質問2:私の場合StageⅡA,エストロゲンレセプター陽性、プロゲステロンレセプター
陰性、HER2陰性、ki67:80~90でルミナールBと診断されています。
この場合のホルモン治療はどんな薬物が最適なのでしょうか?
閉経後なので、エストロゲン受容体モジュレ-タ-かアロマーターゼ阻害薬
のどちらの方がベターなのでしょうか?長期間更年期障害に苦しんできた
だけに副作用も心配です。
よろしくお願いします。
田澤先生から 【回答4】
こんにちは。田澤です。
質問1:点滴終了後CTを撮ると言われましたが、CTを撮る意味があるのでしょうか?
⇒主治医(その病院?)の方針なのでしょう。
意味があるとは思えませんので質問者が断ればいいのでは?
「質問2:私の場合StageⅡA,エストロゲンレセプター陽性、プロゲステロンレセプター
陰性、HER2陰性、ki67:80~90でルミナールBと診断されています。
この場合のホルモン治療はどんな薬物が最適なのでしょうか?
閉経後なので、エストロゲン受容体モジュレ-タ-かアロマーターゼ阻害薬
のどちらの方がベターなのでしょうか?」
⇒アロマターゼ阻害剤が第1選択となります(有効性より)
Selective Estrogen Receptor Modulators:SERMは(もしもアロマターゼ阻害剤で有害事象が多い場合に)考慮されます。
「長期間更年期障害に苦しんできた
だけに副作用も心配」
⇒前回も回答したように…
ネットの情報で恐れをなすより、実際に行ってみるべきです。