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ホルモン陽性

[管理番号:401]
性別:女性
年齢:41歳
田澤先生お忙しい中すみませんが宜しくお願いします..
私はホルモン陽性のタイプなのですが、主治医からはただの陽性とだけ伝えられたので、数値や強が付つくような結果は出ないのかと尋ねると、出ないと伝えられました。隠か陽かだけだと。
陽は陽でも低い数値ならあまりホルモン療法は、単純に効かないのでしょうか。それでもやるべきなのでしょうか。
また、数値が出ないということはあり得るのでしょうか。
主治医が気を使って、そういうことにしてモチベーションを下げないよう低いことを隠す事などあるのでしょうか。
 
ご返答お待ちしております。
 

田澤先生からの回答

 おはようございます。田澤です。
 「ホルモン感受性」についての質問ですね。
 それでは回答します。

回答

「数値や強が付つくような結果は出ないのかと尋ねると、出ないと伝えられました。隠か陽かだけだと」
⇒私には信じられません。
 必ず%表示(現在はこれが主流)か、Allred score(PS+IS=TS)表示やJ-score(0~3)の筈です
 20年前なら、まだしも『現在もし、そのような判定結果を出す病理医は存在しない』筈です。
★是非、主治医から「病理レポート(ER:エストロゲンレセプター, PR:プロゲステロンレセプター, HER2の記載されている)」を受け取るべきです。
 何故、「教えない、または渡さない」のか理由は不明ですが、「患者さんの当然の権利」です。
 
「陽は陽でも低い数値ならあまりホルモン療法は単純に効かないのでしょうか。それでもやるべきなのでしょうか」
⇒ホルモン療法は「低値でも必ず行います」
 ただ、「ホルモン感受性の数値で問題となるのは」むしろ「化学療法を追加するか?」の判断材料となります。
 PgRが20%以下の場合にはluminal Bとして「化学療法の適応」も出てくるのです。St.Gallen 2013
※但し、PgRは偽陰性(本来染色性があっても、上手く染まらない)事もあるので評価が難しいですが…
 
◎まとめ
 必ず「病理レポート」を貰いましょう。
 ただ、低値であっても「ホルモン療法の適応」はあります。
 
 

 

質問者様から 
【質問2 ホルモン感受性】

早速のご返答大変感謝しております。はい、次回に病理レポートを頂きたく思います。(病院によっては、患者が求めない限り病理レポートを出さないものなにでしょうか。)
また、ホルモン陽性について前回聞いた際に主治医がおっしゃっていたのですが、「数値は出なく、染まるか染まらないかということだけで+か-でしか出ません」ということでした。
ただ、1%でも100%でも陽性となると、私の%はどの位なのか、予後にも関係するかと思いますし、とても気になります。本当に病院によっては+か-でしかわからないものなのでしょうか。(ちなみにそこの病院には病理診断科があります)
次回の通院が二ヶ月先なもので、少しもどかしいです。
 

田澤先生から 【回答2】

 こんにちは。田澤です。
 「ホルモン感受性」については、「陽性か陰性か?」みたいな病理レポートは見たことがありませんし、「病理医としても常識の筈」です。
 是非、病理レポートをもらうべきです。

回答

「病院によっては、患者が求めない限り病理レポートを出さないものなにでしょうか」
⇒求めても「出さない」施設もあるようなので注意が必要です。
 患者さんの当然の権利の筈です。
 
 

 

質問者様から 【質問3 ホルモン陽性】

田澤先生、ご返答どうもありがとうございました。すみませんが、また質問させてください。
ER & PgR の数値とは一体どのようなやりかたで出されているのでしょうか。色の濃度なのでしょうか。繊細で微妙な検査だとすれば、病院によっては数値を出さないところもあるのかなと思いましたが、どうなのでしょうか。どうぞ宜しくお願いします。
 

田澤先生から 【回答3】

 こんにちは。田澤です。
 この文面をみるとまだ、病理レポートを貰っていないのですね。(次回の通院が2カ月先と書いてありましたね)

回答

「ER & PgR の数値とは一体どのようなやりかたで出されているのでしょうか。色の濃度なのでしょうか。」
⇒基本的には「染まっている割合」です。
 100の細胞の内1個が染色されれば「1%」となります。
 この%を用いた判定法がJ-scoreです。
J-score
Score 0:染色される細胞が無い
Score 1:染色される細胞が1%未満
Score 2:染色される細胞が1~10%
Score 3:染色される細胞が10%以上
  Score 0を陰性
  Score 1,2を境界域
  Score 3を陽性
⇒更に「染まっている割合」と「染まっている濃度(強度)」の組み合わせがAllred scoreです。
Allred score  
 染色細胞割合(PS)
1:染色される細胞が0~1/100
2:染色される細胞が1/100~1/10
3:染色される細胞が1/10~1/3
4:染色される細胞が1/3~2/3
5:染色される細胞が2/3~1
染色強度(IS)
0:全く染まっていない
1:弱く染まっている
2:中間程度に染まっている
3:強く染まっている。
 ♯判定基準 染色細胞割合(PS)+染色強度(IS)=TSとして3以上を陽性
 つまり、最初に示したJ-scoreは「染色細胞割合」だけで判定、後に示したAllred scoreは「染色細胞割合+染色強度」での数値です。
 
「繊細で微妙な検査だとすれば、病院によっては数値を出さないところもあるのかなと思いましたが、どうなのでしょうか」
⇒乳癌の治療にとって「ホルモン感受性」は最重要項目といって過言ではありません。
 その判定に対し、「病理医」が「きちんとした基準」を守らないとは全く信じられません。
 必ず、上に挙げた「①J-scoreか②Allred scoreか、もしくは③「%」のみか」いずれにせよ、「陽性か陰性かだけではなく」その程度が解る様にする事が義務付けられています。
 
◎是非病理レポートを貰って確認してください。大事な事です。
 
 

 

質問者様から 【質問4】

田澤先生、ご回答ありがとうございました。ホルモン受容体の数値の出し方を初めて知ることができ感激いたしました。ありがとうございました。きっと数値は出ているはずなんだと思いました。きっと主治医は、例え10%でも100%でも同じくホルモン療法をしなくてはならないという事から、数値は重要ではないとおっしゃったのかもしれません。次の診察日に病理レポートの請求をしたく思います。
もう一つ質問させてください。腫瘍マーカーの検査なのですが、私の場合、血液検査レポートに表示がありません。主治医にどうして無いのかと尋ねると、腫瘍マーカーは、もし再発したらの時にやります、との事でした。これは先生によって、または患者の症状によってやり方があるのでしょうか。それとも初期治療時にでも腫瘍マーカーを出された方が安心なのでしょうか。
ご意見の方、どうぞ よろしくお願いします。
 

田澤先生から 【回答4】

 こんにちは。田澤です。
 「ホルモン感受性」についてご理解いただけて良かったです。
 このような内容については「自分の事を自分の目で確認」することも大事ですので、やはり「ホルモン感受性のレポートを請求されること」は正しいと思います。

回答

「これは先生によって、または患者の症状によってやり方があるのでしょうか」
⇒確かに、その通りです。
 
 腫瘍マーカーは初期治療(手術や術後療法)の段階で「異常値となること」はありません。(もし「微妙に高い」とかあれば、それは「其の人にとっての正常値」なのです)
 と言う事で、通常は『初期治療が落ち着いた時点』(放射線照射が終了)などから「3カ月~6ヵ月に1度、腫瘍マーカー+一般採血など」定期的に確認します。
 
「腫瘍マーカーは、もし再発したらの時にやります」
⇒「再発しない限り、腫瘍マーカーは測定しない」という医師は「少数派」だと思います。
 (私も含めて)大多数は正常値であることを前提として「定期的にマーカーをチェックし」『正常である事の確認のため』に用いています。
 
「初期治療時にでも腫瘍マーカーを出された方が安心なのでしょうか」
⇒術後の照射なり、「落ち着いてから」でいいと思います。
 定期的に「腫瘍マーカーが正常」であることを確認すると「安心感」があります。