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HER2 陽性でki67 70%以上 のリンパ節移転 遠隔転移について

[管理番号:6246]
性別:女性
年齢:48歳
はじめまして、よろしくお願いします。
3月(下旬)日に
ステージ 1 1.3cm リンパ節移転無し (エコーで)
グレード 3
ホルモン感受性 ー
HER2 3+
ki67 70~80%
との診断結果がでまして、全摘同時再建をGW開けに予定してます
27年の9月に エコー マンモ マンモトーム生検では
悪性の診断は無く 6か月で1cm以上になるものでしょうか?
悪性度の高い タイプで 1カ月以上手術まであるので今はリンパ節移転が無くても手術の頃にはリンパ節移転や遠隔転移などのリスクはありますよね?
一般論で良いのですが、大学病院に通ってまして助手の先生で診察の場合、手術やその後の抗がん剤などの決定も行うのですか?であれば、やはり混んでいても同じ大学の経験豊富な高名な医師か転院をにお願いしたい所ではあります。
一般論と実際の大学病院の方針を比較したいのでお答え頂けますか?
混んでいるとは思いますが、セカンドオピニオンから転院を考えてまして昨日秘書様宛にメール送らせていただいてます
以前のQ&Aにも同じ様な事例があったかとは思いますが
まさかの高リスクの診断に残念な気持ちで一杯です
 

田澤先生からの回答

こんにちは。田澤です。
私自身が、大学病院に勤務していたのは15年以上も前であり質問者の現在の状況とは
「時代(乳癌患者さんの急増により、より専門化)が違う」し「大学(私は国立大学、質問者が通うのはおそらく首都圏の私立大?)が違うので、あくまでも「参考意見」としてください。
「27年の9月に エコー マンモ マンモトーム生検では悪性の診断は無く 6か月で1cm以上になるものでしょうか?」
⇒エコーの精度の問題はあるでしょう。
「悪性度の高い タイプ」
⇒おそらく、その大学病院の医師が「脅かし」たのですね?
 私自身は「グレード3」とか「HER2陽性」だとか「Ki67=70-80」などは、殆ど気にしません。
 ★あくまでも「腫瘍径1.3cmの早期癌」である事の方が1000倍位は重要です。
「 1カ月以上手術まであるので今はリンパ節移転が無くても手術の頃にはリンパ節移転や遠隔転移などのリスクはありますよね?」
⇒その程度なら、殆ど影響はないでしょう。(3カ月以上先だと、嫌ですが)
「一般論で良いのですが、大学病院に通ってまして助手の先生で診察の場合、手術やその後の抗がん剤などの決定も行うのですか?」
⇒私の15年以上前の経験というよりも…
 このQandAの場で質問者達からの感想などで知っている限り、「誰が手術するのか不明(グループ診療だから”皆で手術します”的言い方をするようです)であり、方針はカンファレンスなる場で、”実際に診察していないような先輩医師が強引に決める」ようです」
「まさかの高リスクの診断に残念な気持ちで一杯」
⇒何か間違っています。
 「早期発見」であることをお忘れなく(クダラナイ情報に毒されずに)
 
 

 

質問者様から 【質問2 手術後の治療について】

性別:女性
年齢:49歳
先日は転院から手術して頂き、当日は痛く辛かったですが翌日には痛みもほとんど無く腕も上に上がり素晴らしい技術を体感できましたありがとうございます。
今回は術後の治療についてこちらでご相談させてください。
早く治療を始めたいと思っていますが当方、言葉の理解が悪く外来の時間内に重要な決断に時間がかかりそうなのでよろしくお願いいたします。
他大学病院での、術前 細胞診
1.3cm
グレード 3
ホルモン ー
ki 67 70%以上
エコー リンパ節転移なし
HER2 タイプ
この情報を元に転院時術後の治療を尋ねた所
ステージ1でlowリスクだから
Tc+ HER(3m)→ HER2
又は
weeklyPTx+ HER(3m)→ HER2
との事でした
先日の手術でもリンパ節転移は無く、腫瘍の大きさなどは現時点ではわ
かりませんが ステージ1 とすると
① weeklyPTx 半分くらいしてTcに変更とか
出来るのでしょうか?出来たとして抗がん剤としての効果は薄れてし
まいますか?
また、もし再発したときは TcとPTxは使用できなくなりますか?
Tcですと通院に少し時間がかかるので 電車内や自宅での副作用が
心配です。
② 先生の経験から 副作用は考慮せずに
EC(3m)→ HER2+DTX(3m)→ HER2(9m)
EC(3m)→ HER(12m)
TC+ HER(3m)→ HER(9m)
weeklyPTx+ HER(3m)→ HER(9m)
ですと、再発が少なく感じるのはどれになりますか?
③右全摘の場合
今後、右リンパ節や右の肋骨や鎖骨などに転移があっても局所再発で
左乳房やリンパ節に転移があったら遠隔転移という事で解釈あってますか?
④術後の細胞診では脈管浸潤についても調べていただけますよね?
先生は脈管浸潤については予後因子にならないとのお考えですが、再
発には関わりはありますか?
ご教授よろしくお願いいたします。
 

田澤先生から 【回答2】

こんにちは。田澤です。
「① weeklyPTx 半分くらいしてTcに変更とか出来るのでしょうか?」
⇒できます。
「出来たとして抗がん剤としての効果は薄れてしまいますか?」
⇒勿論、そのような臨床試験(比較)などはありませんが…。
 無関係でしょう。
「また、もし再発したときは TcとPTxは使用できなくなりますか?」
⇒これは勘違いされていますね。
 抗癌剤は1度使用したら、次には使用できないわけではないのです。
 ただ、術後補助療法で使用した薬剤は「効果が無かったから、再発したのだ」と考えて、(無意味な可能性を考慮して)避けているだけです。
 質問者の場合にはHER2陽性なので(万が一再発したら)pertuzumabを追加したレジメンとなるのでDTXにしろPTXにしろ十分な効果が期待できます。
「Tcですと通院に少し時間がかかるので 電車内や自宅での副作用が心配」
⇒これは完全な「杞憂」です。
 TCの副作用は(投与)「翌々日の夕方~」始まります。
 つまり、通院中に副作用がでることは絶対にありません。
 ☆ちなみにTCの場合には翌日(24h以降)ペグフィルグラスチムの投与を行っていますが、(翌日ではなく)「翌々日の午前中」でも全く問題ありません。
「再発が少なく感じるのはどれになりますか?」
⇒レジメンで差を感じた事は全くありません。
 その原因は
 1.非アンスラサイクリンレジメン自体、ここ数年の使用だから「比較ができるほどの再発の数」には達していません。
 2.早期には非アンスラサイクリンレジメンを使用し、そうでない場合にはアンスラレジメンを使用しているので、(非アンスラvsアンスラは)そもそも比較する母集団に差があるから比較できません。
「今後、右リンパ節や右の肋骨や鎖骨などに転移があっても局所再発で 左乳房やリンパ節に転移があったら遠隔転移という事で解釈あってますか?」
⇒勘違いされています。
 右リンパ節は局所で正しいですが、肋骨や鎖骨は(右であろうと左であろうと)骨転移だから(直接浸潤ではないので)遠隔転移(血行性:1回血管の中に入り骨内に着床⇒増殖)となります。
 左乳房は(遠隔転移ではなく)そもそも「新規発生」です。
 左腋窩リンパ節は、左乳癌が発生しない限りまず起こらないですが、
  それ以外のケースとしては
  右乳癌(が皮膚が破り、その後も暫く放置すると)、大量に皮膚浸潤を起こした右乳癌が皮下のリンパ管を通って左乳腺や左リンパ節に(リンパ管を介した)転移をすることがあります。
  ☆勿論、質問者には全く無縁な世界なので、それはありえません。(あくまでも右乳癌が皮膚を破って出血しているのに無治療で1年以上放置しているケースなどの話なのです)
   なので、質問者にピンポイントに当て嵌めると…
    もしも左乳房や左腋窩リンパ節に癌が現れた場合には(遠隔転移ではなく)純粋に、左乳癌(原発)となります。
「術後の細胞診では脈管浸潤についても調べていただけますよね?」
⇒通常は記載があります。
「先生は脈管浸潤については予後因子にならないとのお考えですが、再発には関わりはありますか?」
⇒用語的に生理が必要です。
 この場合の「予後因子」とは「遠隔転移再発」であり、「再発」とは「局所再発」を意味していますね?
  ♯本来「再発」というと「遠隔転移再発と局所再発」の両方を指してしまいます。
質問の意図が、『脈管侵襲が(遠隔転移再発にはかかわらないとのお考えですが)) 局所再発には関わりはありますか?』だとすれば…
  質問者の場合には、全く当て嵌まりません。
  Lyなどは「温存乳房内再発のリスク因子」となると思いますが、(質問者の場合には)全摘なので無関係だからです。(胸壁再発や腋窩リンパ節再発のリスク因子とはなりません)♯そもそも質問者はSNも陰性で、リンパ管のルートも乳腺ごと摘出しているのでリンパ節再発はありえません。
 
 

 

質問者様から 【質問3 HER2 プラスでki 67 70%以上の遠隔転移について】

性別:女性
年齢:48歳
前回はわかりやすく回答頂きありがとうございます。
ネットなどから断片的に得た情報なので誤った認識を訂正出来て良かったです。
やはり遠隔転移再発が気になります。
①脈管浸潤していたら遠隔転移再発のリスクは私は上がるかと思うのですが診療の経験からどの様にお考えでしょかうか 合わせて血管遠隔転移とリンパ管遠隔転移についても解説お願い出来ますか (他の方への回答も読みましたが…すみませんがわかりやすくお願いします)
個人的な事ですみませんが外来まで時間あるのでこれからから失礼します。
②5日程前に脇の下を術後触ったのですが 脇の下縫い目から胸の間に1cmほどのシコリがありますが手術の際の処置によるものでよろしいでしょうか。
③入浴していても退院時のテープが剥がれて来ないのですが、このままで大丈夫でしょうか タオルで上から拭いていますが傷とテープの間で雑菌とか繁殖しませんか
④お酒を飲むと赤くなるので*weeklyPTXは避けた方が良いですか?
やはり遠隔転移を避けたいので☆EC→HER+DTX→HERの方が抗がん剤が増える分再発のリスクが減りそうなのでお願いしたい所ですが…前回の回答にTC療法はTCの翌日外来で薬注射?とありましたが他の*や☆の場合の来院スケジュールも教えて頂けますか。
⑤ki の数値が高いので早く抗がん剤などの治療を進めたいと思います。
次の外来6月(上旬)日の翌日で先生の外来とケモ室?予約が可能でしたらお願いいたします。
⑥科学療法の前にレントゲンやCTなどは取らないみたいですがあってますか?
気のせいであって欲しいのですが切除側右の鎖骨が痛いです…
江戸川病院で撮らない場合もし次の外来までに痛み、咳などあれば個人の整形外科でレントゲン取れば遠隔転移の場合はわかりますか
お忙しい中沢山の質問申し訳ありませんがよろしくお願いいたします。
 

田澤先生から 【回答3】

こんにちは。田澤です。
「①脈管浸潤していたら遠隔転移再発のリスクは私は上がるかと思うのですが診療の経験からどの様にお考えでしょかうか 」
⇒無関係。
「血管遠隔転移とリンパ管遠隔転移についても解説お願い出来ますか」
⇒「リンパ管遠隔転移」と言う表現自体「誤り」です。(リンパ管は連続しており、順番にリンパ節転移を起こすだけです。 遠隔転移は全て血行性転移なのです)
 この回答は『今週のコラム 119回目 『(エコーで認識されてから、腋窩郭清されるまでの)「3年間が勝負(その後の遠隔転移の出現の有無)を決めた」私は、そう考えるのです。』を読むことで解決します。
 ♯つまり、リンパ節転移と(血行性転移である)遠隔転移は全く無関係です。(ただし、上記コラムのようにリンパ節転移も長期間放っておかれると、リンパ節から節外浸潤を起こし、そこには血管もあるので、そこから遠隔転移の可能性も出てくるのです)
「手術の際の処置によるものでよろしいでしょうか」
⇒勿論その通り。
「傷とテープの間で雑菌とか繁殖しませんか」
⇒もう皮膚は閉じているので、ありえません。
「④お酒を飲むと赤くなるので*weeklyPTXは避けた方が良いですか?」
⇒アルコールが全く駄目なら避けた方が無難でしょう。
「他の*や☆の場合の来院スケジュールも教えて頂けますか」
⇒TC以外は点滴以外に来院することはありません。
「次の外来6月(上旬)日の翌日で先生の外来とケモ室?予約が可能でしたらお願いいたします」
⇒レジメンが決まっていないのに、予約はできません。
「⑥科学療法の前にレントゲンやCTなどは取らないみたいですがあってますか?」
⇒その通りです。
「気のせいであって欲しいのですが切除側右の鎖骨が痛いです」「個人の整形外科でレントゲン取れば遠隔転移の場合はわかりますか」
⇒考え過ぎ。
 心配なのは解りますが…
 鎖骨そのものではなく、(年齢やストレスからくる)女性ホルモン刺激症状でしょう。(鎖骨あたりの痛みは「典型的」と言えます。)
 『今週のコラム 111回目 大事なことは、これら①~④の病気など世の中には無いのです。それは(我々医師には)自明なことなのです。』をご参照ください。