[管理番号:2123]
性別:女性
年齢:34才
初めまして。
11月にいびつなしこりが見つかり、針生検をしました。
12月に非浸潤がんと診断されたものです。
PETと、MRIを受け、転移は見当たらないとのことです。
再来週、手術で全摘と同時再建でエキスパンダーを入れる予定です。
針生検で非浸潤癌でも、実際に手術をすると浸潤していることがあると説明を受けました。
このようなことはどのくらいの確率で起こるのでしょうか?しこりは1.3センチメートル、癌に広がりがあるようです。
34才の未婚ですが、妊娠希望なので、もし、浸潤していた場合、治療となり、妊娠など、諦めることになるのでしょうか?不安でいっぱいです。
田澤先生からの回答
こんにちは。田澤です。
ご本人に行っても仕方がないことですが、「非浸潤癌の診断でPETなど、全く不要」です。
未婚女性に対して無意味に「医療被曝させる」ことが許せません。
♯ 今週のコラム6回目「無駄どころか有害なのです」を参照ください。
回答
「針生検で非浸潤癌でも、実際に手術をすると浸潤していることがあると説明を受けました。このようなことはどのくらいの確率で起こるのでしょうか?しこりは1.3センチメートル、癌に広がりがあるようです。」
⇒これは一概には言えません。
きちんと針生検で「病変の中心部分」を採取できているかによって、変わってくるからです。
きちんとした精度の針生検での診断であれば、「浸潤している確率は10%前後」となります。
「34才の未婚ですが、妊娠希望なので、もし、浸潤していた場合、治療となり、妊娠など、諦めることになるのでしょうか?不安でいっぱいです。」
⇒諦める必要はありません。
「術前診断で非浸潤癌」ならば(手術後に浸潤癌と診断されたとしても)「微小浸潤」程度であり「抗がん剤の適応」は無いでしょう。
たとえ、ホルモン療法の適応が出たとしても「妊娠、出産後」治療開始(ホルモン療法を)でもいいわけです。
質問者様から 【質問2】
田澤先生こんにちは。
以前は質問に答えて頂きありがとうございました。
先月、左胸の手術(乳房切除、同時再建でエキスパンダーを入れています)を終え、今週、医師から詳しい説明を受けました。
針生検では、非浸潤がんとのことでしたが、0.05cmの浸潤部が見つかったそうです。
0.1cmに満たないため、治療は非浸潤がんに準ずるため、ホルモン療法(ノルバデックス)をするかしないかは自分で決めてよいと言われました。
1…色々な考え方があると思いますが、私のようなケースの場合、田澤先生は、ホルモン療法をするかしないか、どのようにお考えになりますか?
2…全く予定はありませんが将来的には結婚出産を希望しています。
もし、服用した場合は、薬を飲むのをやめてどのくらいの時期から妊娠可能なのでしょうか?
3…自分としては、右側が癌になる可能性や、再発の可能性が高いなら、ホルモン療法も…と思う一方、無治療でもよいなら…と揺れています。
副作用が強く出るようなら途中でやめてもよいとも言われています。
再発や右側が癌になる確率というのは、ホルモン療法をした場合としない場合ではかなり差があるのでしょうか?
腫瘍の拡がり?6×5.5×2cm(浸潤径0.5㎜以内)
断端浸潤?断端(-) 垂直断端#5 前方 乳管内進展0.2㎜
水平断端#25下方 乳管内進展25㎜
リンパ節転移なし
grade3
浸潤部のしこりの大きさ0.05cm
stage1
ki67?41.2%ER ?陽性PgR? 陽性HER2
?0 Ly因子- V因子?-
よろしくお願い致します。
田澤先生から 【回答2】
こんにちは。田澤です。
pT1mi
微小浸潤でしたね。
実質上は「非浸潤癌と同等」と言えます。
「私のようなケースの場合、田澤先生は、ホルモン療法をするかしないか、どのようにお考えになりますか?」
⇒ホルモン療法は不要です。
私から勧めることは決してありません。
患者さん側から「安心のために行いたい」と強い希望があれば行いますが…
「もし、服用した場合は、薬を飲むのをやめてどのくらいの時期から妊娠可能なのでしょうか?」
⇒2カ月です。
「再発や右側が癌になる確率というのは、ホルモン療法をした場合としない場合ではかなり差があるのでしょうか?」
⇒まずは再発と「対側の癌の発生」は全く別個に考えてください。
再発 …ほぼゼロです。
全摘しているので「局所再発は全く無い」し、
pT1miでは「遠隔転移再発のリスクは限り無くゼロ」です。
対側乳癌の発生…これは「発生率を半分に低下」させます。