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針生検結果について

[管理番号:3970]
性別:女性
年齢:41歳
田澤先生、はじめまして。
○○と申します。
11月(上旬)日にカナダのバンクーバーにて、病院のブレストセンターで針生検をし、1cmの浸潤性乳管がんと診断されました。
そのため針生検結果が英語で恐れ入りますが、どうかご回答頂ければ、とてもありがたく思います。
(通常回答が何日ほどであるものなのか分からないのですが、11月(中旬)日に温存手術予約が入っているので、もし可能であれば、それまでにご回答頂ければ幸いです。)
※温存手術の際にセンチネルリンパ節生検も実施
お忙しいところ恐れ入りますが、どうぞよろしくお願い致します。
○○
———————
性別:女性
年齢:41才
超音波、マンモ、針生検をして、以下の針生検結果が出てきましたので、質問させていただきます。
ご回答どうぞよろしくお願い致します。
1. 結果にはKi67が出ていないのですが、「Mitotic Rate: 1 (分裂速度1-3のうち、一番遅い1)」と出ていて、ERとPRがそれぞれ100% positive、HER2がnegative(0)なので、これはルミナルAでしょうか?
2. リンパ管・血管侵襲はnot identified、確認されなかったと出ていますが、リンパ節転移の可能性はどのくらいでしょうか?
3. リンパ節転移がなかった場合(ステージ1)、あった場合(ステージ2A)のそれぞれについて、教えて下さい。
ルミナルAの治療としては、部分摘出手術とホルモン治療のみで妥当ですか?それとも放射線治療も必要ですか?また、放射線治療をしたら何%くらいの再発予防効果・生存率アップ効果がありますか?
4. ERとPRがそれぞれ100% positiveということは、部分摘出手術とホルモン治療で再発を防げる可能性はどのくらいでしょうか?(放射線治療をした場合と、しなかった場合のそれぞれについて)
なお、ピルを20才の頃から約20年飲んでいましたが、去年のおわりころからはもう飲んでいません。
ピル長期使用の影響で乳がんになったと考えられますか?もしそうならば、もうピル使用をやめているので、再発はしにくいでしょうか。
5. 下の 「2 e. Mitotic Count: 0 mitosis in 10hpf 有糸分裂数?」は、0となっているので、有糸分裂が見られなかったということですか?(もうがん細胞の分裂が止まっている?)
6. 通常、針生検の精度はどのくらいですか?この結果内容が出た以上、もう間違いないですか?
7. 「Tubule Formation: 3」で、がん細胞の90%かそれ以上が乳管外に出ているということのようですが、それにしては「Mitotic Rate: 1 (分裂速度1-3のうち、一番遅い1)」なので、かなり長い間がんがずっとあったということでしょうか?(あるいはピル服用をやめたので分裂速度が遅くなった?)悪性度・転移能力はどのくらいのものですか?「large volume of complex in-situ
carcinoma」と出ているので、はじめに発生した場所でとどまっており、あまり遠くまで行っていないのでしょうか?
8. 下の6のdは何を表していますか?
d. Controls: i. ER internal control: positive
ii. HER2 positive control: positive
9. 下の7は、がんだけでなく硬化性線症?も同時に併発している可能性ありと
いうことでしょうか?
7. Target: present, mass and possible sclerosing adenosis
どうもありがとうございます。
【針生検結果】
Final Diagnosis: Invasive ductal carcinoma (Left breast 1:00 periareolar) Clinical History as Provided: Irregular, palpable 1cm (L) breast mass
Needle core biopsy of breast showing:
1. Invasive adenocarcinoma
2. Tumor Grade (Nottingham)
a. Nottingham Grade: 2
b. Mitotic Rate: 1 (増殖速度1-3のうち)
c. Nuclear Grade: 2 (核変異度?1-3のうち)
d. Tubule Formation: 3
e. Mitotic Count: 0 mitosis in 10hpf 有糸分裂数?
f. Hpf Field Diameter: 0.52mm
3. Tumor Size, greatest extent in any one core: 5mm 4. In-situ Carcinoma: present, cribriform without necrosis 壊死のないふるい
上の
– large volume of complex in-situ carcinoma 5. Lymphatic/Vascular Invasion: not identified 6. Biomarkers Studies:
a. ER: 100% positive, strong intensity, Allred 8
b. PR: 100% positive, strong intensity, Allred 8
c. HER2: negative (0)
d. Controls: i. ER internal control: positive
ii. HER2 positive control: positive 7. Target: present, mass and possible sclerosing adenosis 硬化性線症?
8. Background Breast Abnormalities: none seen
————————–
参考情報:
Detailed Criteria used in Histologic Grade The following descriptions summarize the criteria used to determine the Nottingham Histologic Score in more detail.
Glandular (Acinar)/Tubular Differentiation
? Score 1: >75% of tumor area forming glandular/tubular structures
? Score 2: 10% to 75% of tumor area forming glandular/tubular structures
? Score 3: <10% of tumor area forming glandular/tubular structures
?
Nuclear Pleomorphism
? Score 1: Nuclei small with little increase in size in comparison with
normal breast epithelial cells, regular outlines, uniform nuclear chromatin, little variation in size
? Score 2: Cells larger than normal with open vesicular nuclei, visible
nucleoli, and moderate variability in both size and shape
? Score 3: Vesicular nuclei, often with prominent nucleoli, exhibiting
marked variation in size and shape, occasionally with very large and bizarre forms
?
? Mitotic Count
The mitotic count score criteria vary depending on the field diameter of the microscope used by the pathologist. The pathologist will count how many mitotic figures are seen in 10 high power fields. Using a high power field diameter of 0.50 mm, the criteria are as follows:
? Score 1: less than or equal to 7 mitoses per 10 high power fields
? Score 2: 8-14 mitoses per 10 high power fields
? Score 3: equal to or greater than 15 mitoses per 10 high power fields
Overall Grade
? Grade 1: scores of 3, 4, or 5
? Grade 2: scores of 6 or 7
? Grade 3: scores of 8 or 9
?
? Nuclear Grade: a score is given from 1 to 3, based on the appearance
of the nucleus of the cancer cells, with 1 being the closest to normal cells (better), 3 being the most variation (worse).
? Mitotic Rate: describes how quickly the cancer cells are multiplying or
dividing using a 1 to 3 scale, 1 being the slowest, 3 the most rapid.
? Tubule formation: this score represents the percent of cancer cells that
are in tubule formation. A score of 1 means greater than 75% of cells are in tubule formation (better), a score of 3 is used when less than 10% of cells are in tubule formation (worse), a score of 2 is in between 10 and 75%.
?
The three scores are then combined for a total score between 3 (1+1+1) and
9 (3+3+3). This score translates to a hist
 

田澤先生からの回答

こんにちは。田澤です。
「1. 結果にはKi67が出ていないのですが、「Mitotic Rate: 1 (分裂速度1-3のうち、一番遅い1)」と出ていて、ERとPRがそれぞれ100% positive、HER2がnegative(0)なので、これはルミナルAでしょうか?」
⇒luminal typeであることは間違いありません。
 そして「mitotic counts 核分裂」が1だということはルミナールAの可能性が高いとは思いますが…
 ○現時点でのルミナールAかBかの判断はKi67での分類なので「確定」とはなりません。
「2. リンパ管・血管侵襲はnot identified、確認されなかったと出ていますが、リンパ節転移の可能性はどのくらいでしょうか?」
⇒超音波していないのですか?
 「リンパ管侵襲-」や「1cmの腫瘍径」からは「転移の可能性は低い」とは思います。
★以下の質問に回答する前に「質問者に是非、理解していただきたい重要な考え方」があります。
 乳癌の治療は「局所療法」と「全身療法」に『明確に区別』することが必要です。
○局所療法(乳腺及び、リンパ節をどうするか?)
 「乳房全摘」するか、「乳腺部分切除+(残した乳腺に)放射線照射」の二者択一です。
 ♯リンパ節は(画像上転移所見が無い場合には)「センチネルリンパ節生検」、(画像上、転移が疑われる場合には)「腋窩リンパ節郭清」となります。
○全身療法(血液中に溶けて、全身へ作用する)
 「ホルモン療法」もしくは「抗ガン剤」(ハーセプチンも含む)
 ♯飲み薬(ホルモン療法)もしくは点滴(抗癌剤やハーセプチン)、どちらにしても「血液中に入り、全身に作用」します。
◎「局所療法としてどちらを選択するか?」と「全身療法として何を選択するか?」は全く独立したことであり『局所療法はあくまでも局所再発を防ぐためであり、全身再発を予防するのはあくまでも全身療法』なのです。
 つまり「放射線」は「全身の再発率(改善)には無関係」です。
「3. リンパ節転移がなかった場合(ステージ1)、あった場合(ステージ2A)のそれぞれについて、教えて下さい。」
⇒治療方針にはリンパ節転移の有無は基本的に無関係(4個以上なら考慮しますが)であり、あくまでも治療方針には「サブタイプが重要」です。
「ルミナルAの治療としては、部分摘出手術とホルモン治療のみで妥当ですか?それとも放射線治療も必要ですか?」
⇒上記通りです。
 局所療法として「乳腺部分切除を選択」した異常、「放射線は必須(そもそも部分切除は術後照射を前提とした治療なのです)」です。
「また、放射線治療をしたら何%くらいの再発予防効果・生存率アップ効果がありますか?」
⇒上記コメントを参照ください。
 放射線照射はあくまでも「局所療法」なので「生存率アップ=全身への効果」は全くありません。
 あくまでも「局所再発の防止(温存乳房内再発を1/3にする効果)」です。
「4. ERとPRがそれぞれ100% positiveということは、部分摘出手術とホルモン治療で再発を防げる可能性はどのくらいでしょうか?(放射線治療をした場合と、しなかった場合のそれぞれについて)」
⇒放射線照射は「全身再発とは無関係」です。
「ピル長期使用の影響で乳がんになったと考えられますか?もしそうならば、もうピル使用をやめているので、再発はしにくいでしょうか。」
⇒ピルが影響したとしても…
 できてしまった乳癌は(それとは無関係に)普通の乳癌です。
「2 e. Mitotic Count: 0 mitosis in 10hpf 有糸分裂数?」は、0となっているので、有糸分裂が見られなかったということですか?」
⇒たまたま、その視野に「分裂している像が見当たらない」というだけの話しです。針生検はあくまでも「サンプリング検査」です。
「6. 通常、針生検の精度はどのくらいですか?この結果内容が出た以上、もう間違いないですか?>」
⇒癌の確定と言う意味では間違いありません。
 ただ、「細かい内容」は(針生検はあくまでもサンプリング検査なので)「手術標本で変更される」可能性はあります。
「かなり長い間がんがずっとあったということでしょうか?」
⇒比較的ゆっくり成長した可能性はあります。
「悪性度・転移能力はどのくらいのものですか?」
⇒比較的低い様です。
「「large volume of complex in-situcarcinoma」と出ているので、はじめに発生した場所でとどまっており、あまり遠くまで行っていないのでしょうか?」
⇒非浸潤癌部分が比較的大きい様なので「その確率は比較的低い」と想像します。
「8. 下の6のdは何を表していますか? d. Controls: i. ER internal control: positive ii. HER2 positive control: positive」
⇒これは「免疫染色の精度管理のため」に行っています。
 「染色手技に失敗したから、染色されなかっただけ」という事態を無くすために、(必ず染色されるものを同時に染色することで)「染まるべきものは染まる」ということの証拠となるのです。
 ♯今回でいえば「HER2がマイナス(染色されない)」だけだと、「今回の手技が悪くて(本来は染色されるべきが)染色されなかったのでは?」という疑問が湧きますが、(本来染色されるべき)「HER2 positive controlがpositive(染色された)」という事実から、「手技の悪さで染色されなかっただけでは?という疑いが払拭される」のです。
「9. 下の7は、がんだけでなく硬化性線症?も同時に併発している可能性ありということでしょうか?
7. Target: present, mass and possible sclerosing adenosis」

⇒その通りです。
 特別なことではありません。
 
 

 

質問者様から 【質問2】

田澤先生、先日はお忙しいところご回答いただき、どうもありがとうございました。
今日、手術時の病理結果が出たので、再びメールさせていただきます。
どうぞよろしくお願い致します。
まず、前回、2.について田澤先生から質問されていた件ですが(下記)、超音波はしました。
その際は転移なしの結果で、また、前回の針生検でも今回の病理結果でもリンパ管・血管侵襲はnot identifiedだったのですが、2つ取ったセンチネルリンパ節のうちひとつに転移が確認されました(リンパ管内に5mmのがん細胞)。
外科医からもこの場合リンパ転移がある可能性は15%で低いと言われていましたが、その15%に該当してしまったようです。
「2. リンパ管・血管侵襲はnot identified、確認されなかったと出ていますが、リンパ節転移の可能性はどのくらいでしょうか?」
⇒超音波していないのですか?
「リンパ管侵襲-」や「1cmの腫瘍径」からは「転移の可能性は低い」とは思います。
手術の病理結果は以下のようになっています。
TUMOR:
– Tubular Differentiation: 2 (針生検では3でした)
– Nuclear Pleomorphism: 2
– Mitotic Rate: 1
– Nottingham Grade: 1 (針生検では2でした)
– Tumor Size: 13mm
– Lymph-Vascular Invasion: Not identified
– DCIS within the nodule of invasive carcinoma, DCIS Size 13mm
– Located on level four to level six, there is a 13mm white, well-defined, hard lesion.
MARGINS:
– Negative for invasive carcinoma:
– Closest Margin Distance: 2mm
– Closest Margin: Inferior
– Distance From Superior Margin: 4mm
– Negative for DCIS:
– Closest Margin Distance: 4mm
– Closest Margin: Inferior
LYMPH NODES:
– Sentinel Lymph Node Biopsy Performed
– Number of Sentinel Lymph Nodes Examined: 2
– Number of Lymph Nodes With Micrometastasis: 0
– Number of Lymph Nodes With Macrometastasis: 1
– Size of Largest Metastatic Deposit: 5mm
– Extranodal Disease: Not Identified
– 1.5 x 1.5 x 0.7cm (No.1, negative) and 1 x 0.7 x 0.6cm (No.2, positive)
PATHOLOGIC STAGE: pT1c pN1a
ANCILLARY STUDIES:
– Best Tumor Block: A5 (level four)
– Biomarker Testing/Results: Performed, ER+, PR+, Her2- (詳細は前回結果)
この病理結果について、下記の通り、質問があります。
1)1cmの腫瘍で、分裂速度も遅く、悪性度・転移能力も低いと思われていましたが、センチネルリンパ節生検で、2つのうち1つのリンパ管内に5mmがん細胞がたまっていたという結果が出て驚いています。
分裂速度も遅く、悪性度・転移能力も低いことには変わりはないけれど、それでもたまたまがん細胞がリンパ管内に入って運ばれて行っただけなのでしょうか?それとも、実は転移能力が高いがん細胞なのでしょうか?前回の針生検でも今回の病理結果でも、
Lymph-Vascular Invasion: Not identifiedとなっているのに、どうやって、センチネルリンパ節のリンパ管内に5mmのがん細胞のかたまりがあるのでしょうか?(もしかして転移ではなく、同時に2箇所でがんができていたのですか?)分からないので、教えて頂ければ幸いです。
2) – Extranodal Disease: Not Identifiedとあるので、リンパ管を破って外に出てはいないということですか?リンパ管内の5mmのがんは非浸潤性がんという理解で合っていますか?
3) センチネルリンパ節生検で2つだけ取っていますが、もっと取ったらもっとほかにもがん細胞がたまっているリンパ管があるかもしれないのでしょうか?
もっと取って調べたほうがいいのでしょうか?
4) 今回もMitotic Rate: 1で、分裂速度はやはり一番低い結果と出ていますので、このセンチネルリンパ節生検結果でも、まだやはりルミナールAの可能性は高いですか?(Ki67の値を調べて欲しいと何度も頼んでいるのですが、カナダでは標準検査に入っていないからと、調べてくれない状態です。
ちなみに日本へ病理サンプルを持って行ってKi67の値を調べてもらうことは可能でしょうか?Ki67の値そしてサブタイプをちゃんと知ってから治療方法を決定したいと思っています。)
5) この結果の場合、治療法としては、放射線治療(左乳房と左脇)とホルモン治療となりますか?抗がん剤治療は不要ですか?(ルミナールAだった場合とルミナールBだった場合について教えてください)
6) 局所治療と全身治療の違いを説明して頂きありがとうございます。
まだよく分からないので次の点を教えていただければ幸いです。
ERもPRも100%
positive なので、局所も全身も、もしがん細胞があったとしても、ホルモン治療をすれば、もうがん細胞が繁殖できなくなるのかなと思い、なぜ放射線治療も両方すべきなのかがよく分かりません。
ホルモン治療をしていてもまだエストロゲンが残っているため、がん細胞が増殖し続けるからでしょうか?あるいはがん細胞の繁殖が止まるだけで、がん細胞が死ぬわけではないからでしょうか。
7) マージンについて、4mmと2mmがありますが、陰性と結果が出ています。
日本と違い、5mmなくても陰性となるようです。
この場合でも、きちんと取りきれていると考えていいのでしょうか?下記はどういう意味か教えてください。
– Closest Margin Distance: 2mm
– Closest Margin: Inferior
– Distance From Superior Margin: 4mm
8) – DCIS within the nodule of invasive carcinoma, DCIS Size 13mmとあるので、浸潤性がんのしこり内に非浸潤性がんもあって、全部取りきれたという理解で合っていますか?
9) 針生検では3だった、Tubular Differentiationが2に下がっているので、針生検にて見られたよりも、実際は、まだ乳管内に残っているがん細胞が多かったということでしょうか?
10) Best Tumor Block: A5 (level four)というのはどういう意味でしょうか?
Located on level four to level six, there is a 13mm white, well-defined, hard
lesionとも書いてあるのですが、どういう意味ですか?
11) 血液内にがん細胞があるかないか調べられる検査はありますか?「腫瘍マーカー」がそうでしょうか?(今後は半年ごとにマンモと超音波をするそう
で、血液検査は今までもしてないし、これからするという話もありません。
しなくていいのでしょうか?)
12) この場合、他の臓器などに転移はしていないと考えていいのですよね?
(調べなくて大丈夫ですよね?)
質問は以上になります。
どうもありがとうございます。
 

田澤先生から 【回答2】

こんにちは。田澤です。
○ひとつお願いがあります。
 私も限られた時間の中でQandAをしているので「1つのQで12個の質問」に回答するのは大変なのです。
 敢えて数は制限しませんが、今後は御配慮お願いします。
「たまたまがん細胞がリンパ管内に入って運ばれて行っただけなのでしょうか?」
⇒その通りです。
「それとも、実は転移能力が高いがん細胞なのでしょうか?」
⇒考え過ぎです。
「もしかして転移ではなく、同時に2箇所でがんができていたのですか?」
⇒ありえません。(考え過ぎです)
「2) – Extranodal Disease: Not Identified」
⇒節外浸潤が無い=リンパ節内に留まっているということです。
「リンパ管を破って外に出てはいないということですか?」
⇒違います。
 (リンパ「管」ではなく)リンパ「節」から外へ出ていないということです。
「リンパ管内の5mmのがんは非浸潤性がんという理解で合っていますか?」
⇒これも「誤り」です。
 非浸潤癌とは「乳管内に癌細胞が留まっている状態」であり、決して転移(リンパ節転移も血行性転移も)は起こさないのです。
 ♯つまり、転移した癌細胞は全て「浸潤癌」です。
「もっと取って調べたほうがいいのでしょうか?」
⇒不要です。
「今回もMitotic Rate: 1で、分裂速度はやはり一番低い結果と出ていますので、このセンチネルリンパ節生検結果でも、まだやはりルミナールAの可能性は高いですか?」
⇒ルミナールAの可能性は高いと言えます。
 ただ「このセンチネルリンパ節生検結果でも」という記載は意味不明です。(質問者は勘違いしています)
 「リンパ節転移とルミナールAかBかというのは無関係」です。
「日本へ病理サンプルを持って行ってKi67の値を調べてもらうことは可能でしょうか?Ki67の値そしてサブタイプをちゃんと知ってから治療方法を決定したいと思っています。」
⇒(それほどまでに苦労してKi67を調べるよりは)Oncotype DXをした方がいいように思います。
「ルミナールAだった場合とルミナールBだった場合について教えてください」
⇒ルミナールAはホルモン療法単独、ルミナールBはホルモン療法+抗ガン剤です。
 ♯放射線照射は(局所療法なので)「サブタイプとは無関係に、温存なら行う」ただそれだけです。
「なぜ放射線治療も両方すべきなのかがよく分かりません。」
⇒乳腺を部分切除した場合には「放射線照射で乳房内再発が1/3となる」ことが解っているのです。
 放射線照射はあくまでも(局所療法として)「温存乳房内再発を防止するため」に行うのです。
 ○効果が実証されているから行う。物事はシンプルに考えましょう。
「マージンについて、4mmと2mmがありますが、陰性と結果が出ています。きちんと取りきれていると考えていいのでしょうか?」
⇒そのとおりです。
「 Closest Margin Distance: 2mm」
⇒側方マージンが2mm(最も近接している部位)
「 Distance From Superior Margin: 4mm」
⇒表層マージンが4mmということです。
「8) – DCIS within the nodule of invasive carcinoma, DCIS Size 13mmとあるので、浸潤性がんのしこり内に非浸潤性がんもあって、全部取りきれたという理解で合っていますか?」
⇒その通りです。
「9) 針生検では3だった、Tubular Differentiationが2に下がっているので、針生検にて見られたよりも、実際は、まだ乳管内に残っているがん細胞が多かったということでしょうか?」
⇒術前病理と術後病理に乖離があるのは、むしろ当然です。
「10) Best Tumor Block: A5 (level four)というのはどういう意味でしょうか?」
⇒腫瘍の(病理学的)評価として「理想的な切片がA5(level four)」だということです。(切りだし図に記載がある筈です)
「 Located on level four to level six, there is a 13mm white, well-defined, hard lesionとも書いてあるのですが、どういう意味ですか?」
⇒13mmの「境界明瞭で、白く硬い腫瘍」が「切りだし図」で「レベル4~6」に存在しているということです。
「11) 血液内にがん細胞があるかないか調べられる検査はありますか?」
⇒ありません。
「腫瘍マーカー」がそうでしょうか?」
⇒違います。
 癌細胞を見ている訳ではありません。(あくまでもマーカーです)
「しなくていいのでしょうか?」
⇒してもいいとは思います。
 
 ただ国によって「定期検査」には温度差があります。
 おそらく「お国柄」や「保険制度」の問題でしょう。
 
「 この場合、他の臓器などに転移はしていないと考えていいのですよね?(調べなくて大丈夫ですよね?)」
⇒その通りです。
 
 

 

質問者様から 【質問3】

田澤先生、こんにちは。
先日は質問が多すぎて失礼いたしました。
お忙しいな
か、ご回答どうもありがとうございました。
今日は減らすようにします。
Ki-67検査をようやくすることができて、以下のように結果が出ました。
The Ki-67 index calculated by image analysis on block A5 and based on
counting 48,727 nuclei shows overall 11% positive nuclei. Four different
regions were counted, and the Ki-67 index ranged from 6.1% to 16.4% in the
different areas.
1)この結果なので、やはりサブタイプはルミナルAということになるのですね?
もうオンコタイプテストは不要ですか?
2)これからの治療として、左胸と脇への放射線治療(3週間半)と、タモキシフェン服用(毎日)&ゾラデックス注射(月一回)を提案されています。
それでいいでしょうか?あるいは田澤先生であれば別の治療法を提案されますか?ゾラデックス注射は副作用が強いみたいなので、できればしたくないのですが、なしでもいいでしょうか?
3)ホルモン治療をしながら、桂枝茯苓丸または当帰芍薬散という漢方薬を飲んでもいいですか?あるいは他になにか副作用をおさえるいい薬がありますか?
4)放射線治療の詳細は、また別の放射線担当の方とアポを取るよう言われて、
まだ不明なのですが、 田澤先生ならどのような放射線治療を提案されますか?
(日本だと5週間くらいのようですが、左胸と脇に3週間半と言われました。
3週間半というとどんな放射線治療かご存知ですか?)
5) Medical Oncologistに骨テストをしようと言われましたが、田澤先生が早期乳がんに骨シンチは不要と書かれていたのを思い出し、この場合(1.3cm腫瘍、
センチネルリンパ節1/2で5mm)不要ではないでしょうかと答えました(放射性物質を体に入れてするテストだと言っていました)。
それでいいですよね?
(肺レントゲン検査と腫瘍マーカー血液検査はしました)
6) 手術後3週間経ってから、センチネルリンパ節生検の傷跡のまわりが赤くなりました。
抗生剤を1週間飲んで赤みはおさまりましたが、次は左腕の肘から
手にかけて、激しくしびれて痛み、人差し指と中指の指先は常にしびれて感覚がおかしいです。
(指先は正座して足がしびれた時のような感覚)2週間ほどは
我慢していましたが、肘や腕の痛みがあまりに強くひどくなったので、4日前からリリカを服用し始めて、痛みは少しましになり我慢できる程度になりました。
この痛みはセンチネルリンパ節生検で神経が傷つけられたからですか?痛みやしびれは1ヶ月ほどで消えるのでしょうか?どう対処するのがいいか教えていただけませんか。
以上になります。
どうぞよろしくお願いいたします。
 

田澤先生から 【回答3】

こんにちは。田澤です。
「1)この結果なので、やはりサブタイプはルミナルAということになるのですね?」
⇒その通りです。
「もうオンコタイプテストは不要ですか?」
⇒そう思います。
「2)これからの治療として、左胸と脇への放射線治療(3週間半)と、タモキシフェン服用(毎日)&ゾラデックス注射(月一回)を提案されています。それでいいでしょうか?」
⇒その通りです。
 ホルモン療法単独となります。(抗癌剤は不要)
 ASCO(2016)のガイドラインからは(年齢に関係なく)ステージ1でなければLH-RHagonist併用でいいと思います。 
 ♯前回の回答でも指摘しましたが、放射線療法は(あくまでも局所療法なので)全身療法とは切り離して考えてください(あくまでも温存手術だから術後照射するのです)
「あるいは田澤先生であれば別の治療法を提案されますか?」
⇒上記コメント通り、全く同様です。
「デックス注射は副作用が強いみたいなので、できればしたくないのですが、なしでもいいでしょうか?」
⇒おかしなネットの情報を信じるよりも、「まずは」やってみましょう。
「3)ホルモン治療をしながら、桂枝茯苓丸または当帰芍薬散という漢方薬を飲んでもいいですか?」
⇒OKです。
「あるいは他になにか副作用をおさえるいい薬がありますか?」
⇒ありません。
「田澤先生ならどのような放射線治療を提案されますか?」
⇒当院では…
 放射線科医の方針で30回(6週間)です。
「3週間半というとどんな放射線治療かご存知ですか?)」
⇒寡分割照射です。
「早期乳がんに骨シンチは不要それでいいですよね?」
⇒勿論不要です。
「この痛みはセンチネルリンパ節生検で神経が傷つけられたからですか?痛みやしびれは1ヶ月ほどで消えるのでしょうか?どう対処するのがいいか教えていただけませんか。」
⇒正確に状況を判断できませんが…
 腕の内側の神経(肋間上腕神経)がダメージを受けていると思われます。
 自然に回復します。
 
 

 

質問者様から 【質問4】

先生、こんにちは。
CYP2D6 test をしたところ、*1/*10の結果が出ました。
この場合、タモキシフェンの服用を変更した方がいいのでしょうか?
どうするのがいいか教えて下さい。
よろしくお願いします。
 

田澤先生から 【回答4】

こんにちは。田澤です。
管理番号1087「CYP2D6で低代謝の場合」や951「CYP2D6テスト結果について
を参照してください。
「タモキシフェンの服用を変更した方がいいのでしょうか?どうするのがいいか教えて下さい」
⇒不要です。
 理由は上記を参照してください。
 
 

 

質問者様から 【質問5 1年検診で「経過観察すべき」と言われた病変】

性別:女性
年齢:43歳
田澤先生、こんにちは。
先日はお忙しいなか、ご回答どうもありがとうございました。
今日は1年検診で「経過観察すべき」と言われた病変についてお聞きしたいと思います。
下部に1年検診結果をタイプしたものを載せました(英語ですみません)。
質問
1)先生のQ&Aを読んでいると、これは無駄な6ヶ月経過観察のため、今確定診断をすべきなのだろうかと思いますが、どうでしょうか?
右胸9時のしこりについて、確定診断を出すため、細胞診を受けた方がいいですか?針生検はこの場合、不適切ですか?(のう胞の中にがんがあった場合を考えると、がん細胞をばらまく危険性があるため針生検は不適切?)
2)右胸9時のしこりについて、questionable internal flowがあるのであれば、これはのう胞ではないということですか?がんの可能性はどのくらいなのでしょうか?(2%以下と言われたのですが、そうですか?)
3)画像がなくてこの結果だけで判断は難しいとは思いますが、このしこりは、可能性としては何が考えられるでしょうか?
以上になります。
どうぞよろしくお願いいたします。
超音波結果:
右胸
– ** 9 o’clock, 1cm from the nipple: Bilobed parallel orientation almost
anechoic lesion with questionable internal flow (image 21) measuring 9x5x6mm. Given the location and shape, this is the sonographic correlate to the mammographic finding.
– 10 o’clock, 1cm from the nipple, hypo-echoic parallel orientation
circumscribed lesion measuring 3x2x3mm
– A simple 6mm cyst is also seen the right nipple
左胸(手術した方)
– At 6 o’clock, 2cm from the nipple, the lesion has resolved
– At 9 o’clock, 1cm from the nipple, two immediately adjacent small round
hypo-echoic lesions, 3x2x2mm and 2x1x2mm ? unchanged
– 9 o’clock 2 CFN, a very subtle mildly hypo-echoic 2x2x2mm
questionable finding ? unchanged
– The left axilla was also scanned, and normal axillary lymph nodes are
seen.
マンモグラフィー結果:
Bilateral CC and MLO images have been acquired, and supplemented with spot compression views of the left surgical site, as well as spot compression 2D/3D tomosynthesis views of the right central breast in the MLO projection.
There are scattered areas of fibroglandular density.
Whithin the lateral central right breast is a 1cm oval equal density circumscribed lesion which appears more conspicuous than on the previous study, particularly on the MLO projection, best appreciated on the spot compression MLO tomosynthesis slice 20/78. In addition, a possible rounded circumscribed lesion is seen at slice 34/78, measuring 4mm, 6cm from the nipple.
Postsurgical changed are noted in the left upper outer breast, but there is no worrisome new mass, suspicious micro-calcifications, or architectural distortion.
IMPRESSION:
No mammographic evidence of malignancy, particularly in the left surgical bed.
The low suspicion now-conspicuous mass at the ** 9 o’clock Radian of the right breast has generally benign characteristics and is suitable for imaging surveillance with a repeat targeted ultrasound in six months time.
At that time, the 10 o’clock lesion in the right breast can also be addressed, as can the stable two remaining lesions in the left breast 9 o’
clock Radian.
BIRADS 3: Probably benign
 

田澤先生から 【回答5】

こんにちは。田澤です。
「1)先生のQ&Aを読んでいると、これは無駄な6ヶ月経過観察のため、今確定診断をすべきなのだろうかと思いますが、どうでしょうか?」「右胸9時のしこりについて、確定診断を出すため、細胞診を受けた方がいいですか?針生検はこの場合、不適切ですか?」
⇒この大きさで、良性の印象があるので、「良性を良性と診断すればよい」という観点からは「細胞診で十分」に思います。
 ♯因みに、私の認識では(悪性を否定しきれないような)「画像所見」の場合には(細胞診で良性の際に)「細胞診で良性で大丈夫か?」という一抹の不安が残ります。その意味では「少しでも怪しい」画像所見の場合には(細胞診は無意味であり)
「最初から組織診すべき」ということなのです。
  それに対し(今回のケースのように)「良性を十分に予想される所見」の場合には「細胞診で十分」と言えるのです。
「2)右胸9時のしこりについて、questionable internal flowがあるのであれば、これはのう胞ではないということですか?」
⇒嚢胞でも(嚢胞とは、拡張した乳管なので)乳管壁(つまり嚢胞壁)に血流があることも珍しくはありません。
「がんの可能性はどのくらいなのでしょうか?(2%以下と言われたのですが、そうですか?)」
⇒画像を見ていない私に判断することは無理です。
 実際に見た医師の「2%以下という」判断を信じましょう。
「3)画像がなくてこの結果だけで判断は難しいとは思いますが、このしこりは、可能性としては何が考えられるでしょうか?」
⇒嚢胞か乳腺症だと推測します。