Site Overlay

不安です。

[管理番号:6545]
性別:女性
年齢:51歳
初めて質問させていただきます。
生理中でした10日ほど前の週末、突然、チクチクと針を刺されるような今までない痛みを左胸に感じました。
よく左乳房の乳頭を確認すると、出血したような後の瘡蓋ができてました。
「乳がんでは?」と月曜日に地元の総合病院の乳腺外科へ行きました。
先ずマンモでは、はっきりせず、エコーで3cm強の腫瘍が乳輪の下付近から発見され、触ってみると、コリコリとしたものを感じます。
先生は「明らかに悪性ともいいきれない」と微妙な発言。その後、局部麻酔をして針検査をして結果が一種間後の月曜日に出るとの事で予約して、不安な一週を過ごしたのですが、予約当日の早朝、病院の看護師さんより、「前回の検査では結果がでないので、先生が追加で更なる精密な検査を依頼した為に、予約を来週にして下さい」との連絡が入りました。
追加の更なる検査ってなんなのでしょう?
これはかなり悪性の可能性が高いのでしょうか?
そんな追加検査って事って普通あるのでしょうか?
先週から生理が終わっても痛いですし、乳頭から分泌液もたまに出ています。
また3cm強で痛いということは悪性ですとかなり緊迫した状況なのでしょうか?
毎晩、心配で夜も眠れず、食欲もありません。
先生のご判断を宜しくお願いします。
 

田澤先生からの回答

こんにちは。田澤です。
まずは冷静になりましょう。
「腫瘍があって、分泌液(血性?)がある。(乳頭直下ならば、その可能性はあります)」ことと、「胸の痛み」は100000%無関係です。
つまり、
1.乳頭下の腫瘍
  →これは、(担当医の曖昧な態度から推測すると)「乳頭腫の可能性」がありそうです。もちろん「癌」の可能性もあります。
   ♯なぜ、「乳頭腫の可能性」といったのかというと、「3cmの癌」だったら(そんな曖昧な言い方をする必要なく)「癌が疑われます」と、(通常)エコーで解るからです。(腫瘍は大きければ大きいほど、画像で解りやすくなります)
2.胸の痛み
  →これは、ただの「更年期のホルモン刺激症状」です。(1000%腫瘍とは無関係)『今週のコラム 111回目 大事なことは、これら①~④の病気など世の中には無いのです。それは(我々医師には)自明なことなのです。』を3度くらい読み込んでください。
   病気(万が一、癌だとしても)とは絶対に無関係です。
   その点はご安心ください。
「エコーで3cm強の腫瘍が乳輪の下」「明らかに悪性ともいいきれない」と微妙な発言。」
→冒頭でコメントしたように・
 この発言からは、「乳頭腫を疑っているのでは?」と感じます。
 もしも癌ならば、「3cmであれば、画像上わかりやすい」のです。(もちろん、
3cmでも解りにくい癌も存在しますが、一般的に)
「追加の更なる検査ってなんなのでしょう?」「追加で更なる精密な検査を依頼」
→おそらく、免疫染色です。(当院でも「よくあること」です)
 私の予想を言えば…
 「(乳管内?)増殖性病変」があるが、(癌との鑑別のために)「p63, CD10,CK5/6」などの筋上皮マーカーで追加染色しているのでは?
 
 ★癌は腺上皮の一方的増殖(monoclonal)なのに対し、良性の(増殖性)病変は「腺上皮の増殖に筋上皮も伴う(これを「2相性」と表現します)増殖をするので、
これらの筋上皮マーカーで追加染色することで「monoclonal(癌)か?それとも2相性を保っている(良性)なのか?」鑑別するのです。
「これはかなり悪性の可能性が高いのでしょうか?」
→上記通りです。
 (おそらく)増殖性病変であることは間違いないのだが、(一目で癌とわかるほどではない)つまり、癌だとしても「微妙な所見=低い軽度の非浸潤癌など」が想定されます。(良性ならば、乳頭腫もしくはadenosisなどの乳腺症病変でしょう)
「そんな追加検査って事って普通あるのでしょうか?」
→まったく普通です。
 私のように、日常的に組織診を(微妙な病変もすべて)行っていると、病理医からの「追加免染しますか?」という問い合わせで日常が溢れています。(私の秘書は、この対応に1日何時間費やされていることか!!)
「先週から生理が終わっても痛い」
→これは10000% 更年期の症状です。(病気とは1000%無関係です)
 きちんと区別して理解しましょう。
「乳頭から分泌液もたまに出ています。」
→これは「乳頭直下のしこり(しかも乳管内病変:乳頭腫にしろ非浸潤癌にしろ)」であれば、しこりが原因の可能性は十分にあります。
「また3cm強で痛いということは悪性ですとかなり緊迫した状況なのでしょうか?」
→「痛み」は全く無関係(ご理解いただけましたか???)
 無論「緊迫」など、まったくありません。
 もしも「緊迫した状況」ならば、
  1.(担当医にとって)一目で癌とわかる。
  2.追加免染するまでもなく、すぐに癌と診断される
「毎晩、心配で夜も眠れず、食欲もありません。」
→上記ご理解いただけましたか?
 重要なことは、「診断が難しい=微妙な病変=良性の可能性も大いにある(癌だとしても、良性と区別しにくいくらい「低異型で早期」)」ということです。
 心配する状況ではまったくありません。