[管理番号:1041]
性別:女性
年齢:49歳
質問者様の別の質問質問が新たな内容のため、別の管理番号としました。 |
いつもお忙しい中、親切にご回答頂き感謝しております。
わからないこと、科学的根拠がないことなども明確にして下さり、ありがとうございます。
節外浸潤は予後不良因子ということで、非常にショックを受けています。
以前、術後内分泌治療のみで26%と頂いていた再発リスクは、かなり上がってしまうのでしょうか?
しかしながら、信頼している田澤先生なら化学治療を薦めるとおっしゃるならば、辛い治療も覚悟するしかありません。
TC3週間毎4クールを薦められていますが、先生も同じ意見ですか?
その後の放射線治療も受けたいと思いますが、どの部分まで、どのような強さで、何回照射すべきでしょうか?その際、トモセラピーのある施設を探した方が良いでしょうか? 正常組織を避けて正確に照射できるということですが、腋窩切除した場合のリンパ浮腫発症リスクも通常治療より低くなるのですか? ひとつ気になるのが、トモセラピーは毎回CTで正確性を調整するとのことなのですが、これは被爆量が増えるということにつながるのでしょうか?
田澤先生からの回答
こんにちは。田澤です。
節外浸潤は、どの程度の「リスク因子」となるのかは(前回の回答でもコメントしましたが)不明なのです。
そもそも「病理医の中には、コメントしない場合も存在」します。
少数例での検討はあるとは思いますが、「大規模臨床試験などは皆無」であり、『やるべきことをやる』しかないと思います。
回答
「術後内分泌治療のみで26%と頂いていた再発リスクは、かなり上がってしまうのでしょうか?」
⇒不明です。
あくまでも「局所療法」で抑え込める可能性は十分あります。
その意味では「放射線療法」がカギとなるかもしれません。
「TC3週間毎4クールを薦められていますが、先生も同じ意見ですか?」
⇒同意見です。
ルミナールタイプなので「TC療法」でいいと思います。
「どの部分まで、どのような強さで、何回照射すべきでしょうか?」
⇒『腋窩を照射野』に入れて、「胸壁及び鎖骨上領域」への照射(25回)です。
「腋窩切除した場合のリンパ浮腫発症リスクも通常治療より低くなるのですか?」
⇒これについては当院、放射線科のハ○医師に直接問い合わせてみました(トモセラピー治療の大家です)
エビデンス(きちんとしたデータによる証明)が無いので、現時点でははっきりしたことはわかりません。
照射野設定、腋窩リンパ節の有無の方がfactorとしては、大きいのかもしれません。
ひとついえることは、線量の均質性が高いので、線量のhot soptはトモセラピーの方が少ないということです。
「トモセラピーは毎回CTで正確性を調整するとのことなのですが、これは被爆量が増えるということにつながるのでしょうか?」
⇒毎回の位置併せのCTの線量は、照射線量の200-300分の一程度で、無視できる線量です。
したがって、1%程度の線量増加があったとしても、臨床的には問題なしとされています。
エビデンスの無いところですが、それ以上に、照射したいところには照射し、照射したくないところには照射しないという、最も大事な放射線治療の原則を具現化する上でメリットの方が大きいと思われます。、