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予後(遠隔転移再発)について

[管理番号:7351]
性別:女性
年齢:49歳
病名:乳がん
症状:全摘手術完了

いつも大変お世話になっております。

プラザを拝見する中で、自分の病状と照らし合わせて疑問点が出てまいりました。

定期検診のときに直接田澤先生に質問を…とは思うものの、実際にお会いすると緊張してうまく発言ができないため、
貴重な枠をお借りして質問をさせていただきますことどうかお許しください。

私は術前のエコーの画像では、浸潤しているかなぁどうかなぁ、うーん…という田澤先生の所感でしたが、
術後の正確な病理検査で浸潤径3cmということがわかり衝撃を受けました。
拡がりタイプのようです。
リンパ節転移はありませんでした。

【質問1】
同じ浸潤径(且つ同じリンパ節転移数)であれば数字上は同じステージになり、そのステージにより予後の目安が存在すると思います。

たとえ同じステージであっても饅頭とせんべいでは予後が違ってくるという田澤先生のご見解をしばしば目にしますが、
饅頭とせんべいでは予後はどれくらい変わるものでしょうか?(先生の肌感覚としてでも結構です。)
せんべい型3cmの場合、饅頭型の何センチ相当と考えると妥当でしょうか?

ーーー以下当該Q&A引用とURLーーー
「10cmの腫瘍」と一口に言っても、このcaseのように「腫瘍+乳管内の拡がり」で
10cmと、「大きな腫瘍として10cm」では全く意味が異なるのです。

https://nyuugan.jp/column/42286

病理では同じ「浸潤径10mm」であっても「(画像上)しこりを形成している10mmと、(画像上は)しこりを形成していない石灰化だけの所見の10mm」では、実際は異なります。

https://nyuugan.jp/question/byourikekka-enki#q-3

「しこりが6.5cmと広がりが6.5cmも同じということになりますか?」
→規約上は同じ(ステージは同じ)でも、volumeが違います。
(おそらく予後に関係します)
https://nyuugan.jp/question/stage3a-9
ーーー当該Q&A引用とURLここまでーーー

【質問2】
浸潤径が小さい(5mm程度以下)にもかかわらず遠隔転移を心配する方々に対して
「浸潤径が小さいことこそが勝利」(←少し表現ゆれがあるかもしれませんが…)というような田澤先生の表現を目にすることがしばしばあるのですが、これはステージに影響するからという意味でしょうか。
もしそうであれば、リンパ節転移がないことも勝利と言えますか?

それとも、リンパ節転移(有り無し・多い少ない)よりも、浸潤径のほうが予後(遠隔転移再発)に影響するというのが統計的または田澤先生の肌感覚でおありという意味合いになりますでしょうか?

お忙しいところ大変恐れ入りますが、
どうぞよろしくお願いいたします。

 

田澤先生からの回答

こんにちは。田澤です。

「饅頭とせんべいでは予後はどれくらい変わるものでしょうか?(先生の肌感覚としてでも結構です。」
⇒肌感覚としては…

 解りやすく?「せんべい」と表現しましたが…
 エコー上「浸潤しているとわかる」せんべいと「浸潤していないのでは?」せんべいでは、やっぱり異なります。

「せんべい型3cmの場合、饅頭型の何センチ相当と考えると妥当でしょうか?」
⇒エコーで「非浸潤かも?」という所見であれば、1期(2cm以下)と同等です。

「これはステージに影響するからという意味でしょうか。」「もしそうであれば、リンパ節転移がないことも勝利と言えますか?」
⇒私の感覚では…

 「リンパ節転移がない」ことよりも、「腫瘍径(浸潤径)が小さい」ことの方がより「勝利」だと感じています。
  無論、リンパ節転移がないことは「一安心」であることは間違いありません。

 ただ、(私がしばしば言うように)「血行性転移(遠隔転移再発)」と「リンパ行性転移(リンパ節転移)」は異なるのです。

 ★リンパ節転移はないが、腫瘍が大きい場合「リンパ節転移がなくて良かったですね」とも思うし、患者さんにもそう言うのですが…
  再発患者さんを振り返ると… 「あぁ、やっぱり腫瘍が大きかったなぁ」という印象があるのです。(本音です)

 ★★このQandAでも「しばしば」登場しますが…
  「腫瘍も小さいし、(エコー上)リンパ節も腫れていないから」リンパ節転移は無いだろう⇒(手術してみたら)結構「リンパ節転移が多く不安」
  このようなケースは(私の患者さんにも)結構あります。

  (患者さんも、私も)「再発しないといいなぁ」とドキドキしながら術後経過を
見ることになりますが、「ステージのわりに再発しない」これが実感なのです。

「それとも、リンパ節転移(有り無し・多い少ない)よりも、浸潤径のほうが予後(遠隔転移再発)に影響するというのが統計的または田澤先生の肌感覚でおありという意味合いになりますでしょうか?」
⇒統計では「同等」に扱っていますが…
 私の肌感覚ではその通りです(上記参照)