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断端陽性と石灰化非浸潤癌について

[管理番号:8550]
性別:女性
年齢:52才
病名:浸潤性乳管癌
症状:
投稿日:2020年5月20日

田澤先生、よろしくお願いいたします。

10年前に市の乳がん検診で再検査(カテゴリー3)→マンモ、エコー、触診の結果石灰化があるが悪性の疑いはないとの診断で
翌年2010年から年に一度都内ブレストケアクリニックにて自費で検診、経過観察していました。
石灰化は毎年、前年と変化がなく問題ないということでその間一度も細胞診やマンモトームはやっていません。

2020年1月の健診の際、マンモでは確認できないがエコーに気になる所見(腫瘍)があると言われ針生検の結果、3ヵ所採ったうちの3ヵ所全てから悪性との結果が出ました。

2020年3月乳房温存手術+センチネルリンパ節生検。
以下、病理の結果です。

浸潤性乳管癌。

左A領域組織的異形度1 核異形度1 浸潤径0.8cm リンパ節転移 陰性 脈管侵襲
 なし
sci G1NG1 t=0.6×0.5×0.8cm 広がり 5×1.1×6.4cm 1y0v0 n0(0/1)
T1b stage 1A ER3+90%8 PgR3+90%8 HER2:1+ ki67 9.2%
断端:頭側断端 外側断端:DCIS露出NIP-
軽度の核形不整と低頻度の核分裂像を呈する腫瘍細胞が、不整腺管状、索状となり浸潤性に増殖している。
篩状、充実性、低乳頭状の非浸潤癌成分が広範に進展する。
頭側断端および外側断端に非浸潤癌成分が露出する。
乳頭側については、追加切除検体に非浸潤癌成分を認めるが、術中迅速検体には腫瘍の進展を認めない。
切片11では皮膚側剥離面に腫瘍が露出する。
センチネルリンパ節1個に転移を認めない。

断端陽性がとても気になり再度受診し主治医に随分質問したのですが、露出と書いてあるが近接と考えていい、頭側にはもう乳腺はなく皮膚のみ(これ以上取れない)、断端は非浸潤癌の部分なので放射線で制御できる、図の青い部分(癌)は連続しているわけではなくところどころなので再手術の必要はない、どうしても不安であれば手術してもいいけれど広がりが大きく既に広範囲に切除しているので今度手術するのであれば全摘になる、全摘しても病理検査の結果癌がなかったという場合もありますよ、と言われました。

とても不安はあったのですが、私自身も手術したばかりでまた今全摘の再手術をしたいかと言われると迷いもあり、今月放射線治療に進みました。
25回+ブースト5回です。
16回+ブースト5回でもいいと言われましたがハイリスク群だと思ったので25+5回でお願いしました。
トモセラピーラディザクトです。

そこで先生のご意見をお聞きしたいのですが、
① 田澤先生は、温存手術はもしもその後局所再発した場合に全摘すれば予後は変わらない、とおっしゃっていますが、例えば私が今後局所再発した場合に上記おとなしいタイプの癌が変わってグレードが高かったりホルモン受容体ではなかったり、
リンパに転移がある状態で予後が悪い状態で見つかる場合もあるのでしょうか?

② 今回浸潤径は小さく発見できたものの非浸潤癌が6.5cmもの広がりがありました。
よく腫瘍の大きさは1年で倍になると聞きますが、非浸潤癌が6.5cmに広がるのに何年ぐらいかかるのでしょうか?10年前からの石灰化がガンだったと考えられますか?
田澤先生は石灰化は早期発見のチャンスとおっしゃっているのに、ブレストケアクリニックでずっと経過を見ていたのに残念な気持ちがあります。

③ 浸潤径小さくグレード1、ki67低く、ホルモン受容体90%で早期乳がんで予後の良いタイプだと認識しているので再発が
なければいいですが、取り残しがあって再発した場合できるだけ早く、できれば非浸潤癌の段階で次回は見つけたいです。
高濃度乳房ですが、今後どのような検査と頻度が適切と思われますか?(マンモグラフィー、エコー、腫瘍マーカー)

よろしくお願いいたします。

 

田澤先生からの回答

こんにちは。田澤です。

「① 田澤先生は、温存手術はもしもその後局所再発した場合に全摘すれば予後は
変わらない、とおっしゃっていますが、例えば私が今後局所再発した場合に上記おとなしいタイプの癌が変わってグレードが高かったりホルモン受容体ではなかったり、
リンパに転移がある状態で予後が悪い状態で見つかる場合もあるのでしょうか?」

⇒数年も放置していれば、それもあるかもしれませんが、

 主治医が「断端陽性、乳房内再発ハイリスク」という認識のもと、3か月に1回のエコーをすれば、そんな事態はありえません。

「② 今回浸潤径は小さく発見できたものの非浸潤癌が6.5cmもの広がりがありました。
よく腫瘍の大きさは1年で倍になると聞きますが、非浸潤癌が6.5cmに広がるのに何年ぐらいかかるのでしょうか?10年前からの石灰化がガンだったと考えられますか?」

⇒それは腫瘍との位置関係をみれば明白の筈。
 メール内容からは、それは解らないので、主治医に聞いてみましょう。

「③ 浸潤径小さくグレード1、ki67低く、ホルモン受容体90%で早期乳がんで予後の良いタイプだと認識しているので再発が
なければいいですが、取り残しがあって再発した場合できるだけ早く、できれば非浸潤癌の段階で次回は見つけたいです。
高濃度乳房ですが、今後どのような検査と頻度が適切と思われますか?(マンモグラフィー、エコー、腫瘍マーカー)」

⇒3か月に1回のエコー
 半年に1回の腫瘍マーカー
 1年に1回のマンモ

★今回の焦点は(遠隔転移ではなく)乳房内再発なので、腫瘍マーカーに重要性はありません。(乳房内再発で腫瘍マーカーがあがることは)絶対にありません。
 それよりもエコーをきっちりしてもらうことです。(もしも石灰化が今回と関係しているのならば、暫くは1年ではなく、半年に1回のマンモでもいいと思います)

 
 

 

質問者様から 【質問2 】

放射線治療後の乳頭の痛み
性別:女性
年齢:53歳
病名:浸潤性乳管癌
症状:乳頭の痛み
投稿日:2020年6月23日

田澤先生 こんにちは。
いつもこちらのコーナーで勉強させていただいています。

ありがとうございます。

先日は局所再発に関する私の質問にすぐにお答えいただきありがとうございました。
術後3ヶ月のエコーを早速今週末、初めて市川で予約させていただきました。

よろしくお願いいたします。

その前に別の問題が発生してしまったのでご相談させてください。

5/(上旬)~6/(中旬)まで放射線25回+ブースト5回を終了したばかりです
皮膚がどす黒くまだら模様に、体中心部は四角がはっきりと、相当焼けてしまいました。
それは時間の経過を待つしかないと思っていますが、照射終了後2日たってから乳頭と乳輪に水ぶくれができて痛くてたまりません。
乳輪や乳頭の一部は黒い皮が剥けて中の新しい肌のような皮膚が見えていて、乳頭部が水ぶくれと新しい皮膚で敏感で痛いです。

こちらのQAでもネットで調べても乳頭や乳輪に水ぶくれができるというのは見当たらないのですが、これも時間がたてば痛みも水ぶくれも収まるのでしょうか?
脇の下が焼けすぎて痛くなったときに処方されたテキサンVGという軟膏は持っているのですが抗生剤とステロイドが入っているので乳頭には塗らないほうがいいと思われますか?2020年3月19日に温存手術後断端陽性で放射線を終了したばかりなのでありえないですが乳輪の皮膚がぼこぼこしていてまるでガンが皮膚を突き破ったような見た目で痛みと共に不安でもあります。

お忙しいところ申し訳ありませんがアドバイスよろしくお願いいたします。

浸潤性乳管癌。

左A領域組織的異形度1 核異形度1 浸潤径0.8cm リンパ節転移 陰性 脈管侵襲
 なし
sci G1NG1 t=0.6×0.5×0.8cm 広がり 5×1.1×6.4cm 1y0v0 n0(0/1)
T1b stage 1A ER3+90%8 PgR3+90%8 HER2:1+ ki67 9.2%
断端:頭側断端 外側断端:DCIS露出NIP-

 

田澤先生から 【回答2】

こんにちは。田澤です。

「こちらのQAでもネットで調べても乳頭や乳輪に水ぶくれができるというのは見当たらないのですが、これも時間がたてば痛みも水ぶくれも収まるのでしょうか?」
⇒勿論です。

「脇の下が焼けすぎて痛くなったときに処方されたテキサンVGという軟膏は持っているのですが抗生剤とステロイドが入っているので乳頭には塗らないほうがいいと思われますか?」
⇒塗っても構いません。

 
 

 

質問者様から 【質問3 】

対側精密検査の詳細について
性別:女性
年齢:53歳
病名:浸潤性乳管癌
症状:
投稿日:2020年9月27日

田澤先生 お忙しい中いつも質問にお答えくださり感謝の気持ちでいっぱいです。
土曜日に市川で診察していただきありがとうございました。
ID〇〇の〇〇と申します。

左浸潤乳管がんで今年3月に手術しましたが右も今回対側も精密検査になり気が動転して、後からお聞きしたいことが出てきました。

①自分自身ではしこりに触れないのですがしこりの大きさはどれぐらいですか?
②3月の時点ではPET-MRIにもエコーにも何も映っていなかったと思います。
6月に田澤先生からエコーの時に、「乳腺症がありますが心配なものではないです。」と言われたのですが、この3ヶ月で大きさまたは形で気になるものに変化したということ
でしょうか?進行が速いものという可能性もありますか?

検査まで1か月あり不安なのでどうぞよろしくお願いします。

 

田澤先生から 【回答3】

こんにちは田澤です。

「①自分自身ではしこりに触れないのですがしこりの大きさはどれぐらいですか?」
⇒しこりではありません。あくまでも「腫瘤非形成性病変(乳腺症の可能性が高い)」です。
 他院であれば、決して「MMTEしましょう」とはならなかったでしょう。 私は(患者さんが拒否しなければ)10%でも確率があれば生検を勧めているのです。

「②3月の時点ではPET-MRIにもエコーにも何も映っていなかったと思います。
6月に田澤先生からエコーの時に、「乳腺症がありますが心配なものではないです。」と言われたのですが、この3ヶ月で大きさまたは形で気になるものに変化したということでしょうか?進行が速いものという可能性もありますか?」

⇒考えすぎです。(上記)

 
 

 

質問者様から 【質問4 】

ホルモン剤の変更について
性別:女性
年齢:54
病名:浸潤性乳管癌
症状:
投稿日:2021年7月1日

田澤先生、お世話になっています。
ID○○です。

術後のエコー検査と、腫瘤非形成病変をMMTEで良性と確定診断していただきありがとうございました。

またお忙しい中、日々私達の質問に答えて下さり本当にありがとうございます。

昨年7月からノルバデックスを飲み始めてちょうど1年になりますが、先日婦人科で、子宮筋腫増大で5cm以上、子宮内膜も厚くなってきていると言われました。
体重も4kg増です。

1年前にノルバデックスを飲み始めたタイミングで不正出血の後生理はこなくなりました。
エストラジオール値は測ったことはありません。

質問① 現在54才ですが、この子宮症状の対策としてノルバデックスにリュープリンを追加するのと、アロマターゼ阻害薬に変更してリュープリンなしはどちらが良いと思われますか?

質問② アリミデックス、アロマシン、フェマーラの中で副作用が比較的少ないのはどのお薬でしょうか?

よろしくお願いいたします。

 

田澤先生から 【回答4】

こんにちは田澤です。

「質問① 現在54才ですが、この子宮症状の対策としてノルバデックスにリュープリンを追加するのと、アロマターゼ阻害薬に変更してリュープリンなしはどちらが良いと思われますか?」
⇒「1年前にノルバデックスを飲み始めたタイミングで不正出血の後生理はこなくなりました」では、まだ(アロマターゼ阻害薬に切り替えるには)早すぎます。

 最低「最終月経から1年半以上」は必要です。(1年程度で変更すると、かなりの高確率で「月経再開」となってしまいます)

★ (婦人科的に)必要なのであれば「LH-RHagonist併用」でしょう。

「質問② アリミデックス、アロマシン、フェマーラの中で副作用が比較的少ないのはどのお薬でしょうか?」
⇒anastrozole