[管理番号:1891]
性別:女性
年齢:51歳
乳がんが心配されるようになった日から、このサイトで勉強させていただき、励みにさせていただいております。
11/(上旬)の朝、いつもと違うしこりを感じて総合病院の一般外科へ行き、エコー、マンモグラフィー、造影MRI、マンモトーム検査をして11/(下旬)に確定が出ました。
硬がん、ステージ3A、しこり5cm、ルミナールA、リンパ節転移あり、治療方針は、12/4に全摘手術して、その後の治療は手術後決めるとのことでしたが、この医師が言葉少なで説明も少なくふあに感じ、転院希望し○○県立がんセンターを紹介してもらいました。
そして11/(下旬)持ち込んだ検査データを診てのがんセンターでの診断はステージ2B、しこり2.5cm、ルミナールB、HAR2 3+、Ki67-50%、リンパ節転移あり…
同じデータなのに1度目の検査結果と全然違い、それだけでも混乱してしまいましたが、治療方法も3種類説明され、今週の金曜日には決めなければいけません。
①全摘手術→ホルモン治療、抗ガン剤治療(手術が混んでいるので最短で1月末の手術になる)
②術前抗ガン剤治療→手術(温存?全摘?)(来週からでもすぐに抗ガン剤スタート)
③新薬の治験に参加しながらの術前抗ガン剤治療→手術(年内は準備で年明けからスタート)
『HER2 陽性乳癌におけるペルツズマブとトラスツズマブ エムタンシンを用いた術前療法の検討(ランダム化 第Ⅱ相試験)
この治験は3つの治療法のどれになるかはランダムに決めるので自分でどれが良いという希望は出せないとのことです。
それぞれのメリット、デメリットがあると思いますが、まだまだ知識不足でよくわかりません。
田澤先生の今までのQ&Aを拝見していると、私のようなケースはまずは全摘で術後抗ガン剤とホルモン治療を推奨されているような気がするのですが、いかがでしょうか?
もし、全摘を先に希望しても1月末まで手術できないということも心配です。
これは治験ありきだからかな?とも思ってしまいます。
先生のご意見をお聞かせください。
田澤先生からの回答
こんにちは。田澤です。
この治験はT4167ですよね?(第Ⅱ相ではなく、第Ⅲ相)
では本来(適応が「手術不能または再発乳癌」である)「ペルツズマブ」と(割り当て群によっては更にトラスツズマブ エムタンシン」を「術前術後療法に使用できる」という利点はありますが、「再発治療で用いる薬剤」を「術前化学療法に用いる
場合」には「効果」もそうですが、「有害事象」が問題となります。
質問者のケースでまず問題となるのは
前医で「ルミナールA」とした、その「同じ標本の見直し」で「HER2 3+」としている点です。
同じ標本を見ての「誤差」があまりにも大きすぎます。
○問題なのは本当に「HER2陽性なのか?」という点です。
要は「HER2の免疫染色標本」の判断なのだと思いますが、「どちらが正しいのか、疑問」です。
この場合には「FISH法」で確認すべきと思います。(FISHは通常はHER2 2+の際に行うものですが、前医で3+でなかった以上、確認すべきと思います)
まるで「ガンセンターで治験に入れるために、HER2の判定を過剰にしている」のではないかと疑ってしまいます(実際は意図的ではないとは思いますが…)
回答
「私のようなケースはまずは全摘で術後抗ガン剤とホルモン治療を推奨されているような気がするのですが、いかがでしょうか?」
⇒「小さくして温存」という希望がなければ、当然「手術先行」となります。
「これは治験ありきだからかな?とも思ってしまいます。先生のご意見をお聞かせください」
⇒「手術先行」であれば、「手術標本で再度、サブタイプを確認」して「術後治療」してもいいわけですが…
もしも「小さくして温存」という希望があれば、「HER2が本当に陽性か?」を解決してからの方がいいと思います。
「HER2陰性」なのに、「抗HER2療法が行われる」場合には「有害事象を含めた」損害を被ることになりかねません。
○ご本人に「小さくして温存」という意志がなければ、迷う必要はありません。