[管理番号:8211]
性別:女性
年齢:47歳
病名:乳癌
症状:
初めまして。
去年4月に乳がん告知を受け5月に左乳房全摘手術を受けました。
病理検査の結果、腫瘍の大きさ2,6cm、her2+3 (不均一性でトリプルネガティブの部分あり)脈管侵襲高度、グレード3、リンパ節転移なしステージ2a。
術前のpet ctでは異常なしでした。
術後化学療法が7月から始まり、AC4回、DHP4回を終え、HP9回中、本日2回目を終えた所です。
CEAの血液検査の結果が基準値内ですが上昇しており、とても心配です。
CEA 4月(術前)2.0 →7月(術後)1.4→8月(AC3回目)1.6→ 9月(AC4
回目)1.8→10月(初回DHP1週間後)2.0→11月(DHP3回目)2.7→12月
(HP1回目)3.1→1月(HP2回目)3.7
CA15-3は15前後で上がったり下がったり変動している感じです。
ドセタキセルが始まったあたりから肝臓の数値が基準値を超えて超音波検査をしましたが異常なしでした。
軽い薬害でしょうとの事でウルソを服用していました。
本日の血液検査で正常値に戻っていました。
肝臓の数値とCEAの数値上昇との関係はありますか?
またハーセプチンパージェタでもCEA上昇との関係はありますか?
脈管侵襲が高度であった事や顔つきも悪かったので、術後8ヶ月でどこかに転移をしているのではないかと心配です。
主治医は基準値内なので大丈夫とおっしゃっていて、次回は3ヶ月後の血液検査になるようなのです。
このまま3ヶ月後まで血液検査は不要ですか?
主治医の言う通り基準値内の5以内で収まれば上昇を続けても問題ないのでしょうか?
この数値は心配するほどではないですか?
田澤先生のご意見をお聞かせいただけたら幸いです。
お忙しい中申し訳ございませんが、どうぞよろしくお願いいたします。
田澤先生からの回答
こんにちは。田澤です。
「術後化学療法が7月から始まり、AC4回、DHP4回を終え、HP9回中、本日2回目」
→質問者が勘違いしているのでしょうか?
通常trastuzumab + pertuzumabは1年間投与です。
質問者の記載では 4+9=13回(約9か月)にしかなりません。
まさか(最初の)ACと合計して1年間と勘違いしているのでしょうか?(ご確認ください)
「肝臓の数値とCEAの数値上昇との関係はありますか?」
→可能性はあります。
私の経験上、(抗がん剤投与中に)「肝機能上昇」と関連して一時的に腫瘍マーカーが上がる場合と、(ついこの間いらっしゃったのは)trastuzumab+pertuzumab単独投与中にCEAが基準値の倍以上に上昇
正直、「再発か!」と思い、あらゆる検査(PET,消化管の精査、肝臓のMRIなど)をして「全て陰性」、と思っていたら、自然に改善してきて、ついには正常値まで戻った!方がいらっしゃいます。
「またハーセプチンパージェタでもCEA上昇との関係はありますか?」
→上記通り、つい最近経験しています。
「主治医は基準値内なので大丈夫とおっしゃっていて、次回は3ヶ月後の血液検査になるようなのです。
このまま3ヶ月後まで血液検査は不要ですか?」
→印象として…
Docetaxelが関係している感じなので…
肝機能が改善してきたように、CEAも落ち着くような気がします。
★でも、どうせ、3週間に1回通院しているのだから「6週間に1回」の採血にしてみたら??(ちなみに当院ではtrastuzumabもしくはtrasutuzumab+pertuzumabの場合には6週間に1回の採血腫瘍マーカーしています)
「主治医の言う通り基準値内の5以内で収まれば上昇を続けても問題ないのでしょうか?この数値は心配するほどではないですか?」
→抗がん剤中でなければ「少し」気になりますが…
抗がん剤中であれば、「この位の影響はあるかな」という程度の印象です。
質問者様から 【質問2 】
これからの治療に向けて
性別:女性
年齢:47歳
病名:
症状:
投稿日:2020年1月24日
先日はお忙しい中、ご丁寧なお返事をいただきまして本当にありがとうございました。
田澤先生のお陰で久しぶりに前向きな気持ちになれました。
感謝しています。
恐縮ですが、今後の治療に向けてまた何点か質問させてください。
HP9回は先生のご指摘の通り私の勘違いで9ヶ月を9回と思っていました。
お恥ずかしい…
そこで病院のHPスケジュールの紙を確認しました所、単独で13回とあるのですが、他の病院ではHP14回としている所もあります。
この1回の違いはどのような事なのでしょうか?主治医にHPの治療を14回希望した方が良いですか?
術後の病理結果で不均一性質(ヘテロジェネティー)とありまして、腫瘍がHER2とト
リプルネガティブの半々ぐらいの割合?のような説明があったのですが、これは珍しい事ですか?
トリプルネガティブの部分がある事によってHP療法が効きづらいと言う事はありますか?前回書き忘れてしまいましたが、充実型との記載がありました。
HER2が+3の強陽性と記載があるのでHER2の治療適用だと思いますが、充実型と調べると勝手気ままな性質でとありますし、不均一性とは多重人格の様なあまり良くない印象があります。
再発率にも関係ありますか?
この辺の情報があまりないので、どの程度気に留めておけば良いものなのかご教授ください。
抗がん剤とCEA上昇の関係について、先生がつい最近ご経験されたと言う患者様のお話大変勉強になりました。
私の血液検査の結果も、印象としてドセタキセルの影響が関係している感じとお答えいただきありがとうございます。
実際ドセタキセルの副作用が今も残っていますが酷かったです。
田澤先生がご提案くださった6週に1回の採血は、やはりHER2タイプは再発のリスクが大きいと言う事でしょうか?
HPの治療中に再発する事はありますか?
私はものすごい心配性のネガティブ思考なので血液検査の結果に一喜一憂してはいけないと思いつつその事ばかりで頭がいっぱいになってしまいます。
HP療法中に再発する確率があまり高くないのであれば、血液検査の間隔も短いより長い方が良いのですが、腫瘍マーカーの値をやは
り注意深く知っておく必要があるのでしょうか?
万が一 HP療法中に腫瘍マーカーが上がり続ける様な事があった場合 HPから治療法が変更になりますか?
最後にもう一つだけ質問させてください。
アルコールの摂取は乳がん高リスクとホームページにもありますが、やはりきっぱりやめるべきですか?抗がん剤治療中の半年間は
完全に禁酒しておりましたが、年末からお正月に向けて全く飲めないのも悲しいので主治医に許可を取った上で最近まで再び飲酒しております(週に3回程ビールやワイン1,2杯程度)が再発に大きく関係するのであればきっぱりやめたいと思います。
食いしん坊で甘い物も大好きです。
飲食に関しても田澤先生のご意見をお伺いできれば幸いです。
長々と申し訳ございませんが、どうぞ宜しくお願いいたします。
田澤先生から 【回答2】
こんにちは。田澤です。
「単独で13回とあるのですが、他の病院ではHP14回としている所もあります。
この1回の違いはどのような事なのでしょうか?」
→答えは簡単です。
そもそもの定義が「ハーセプチンは(単独であれ、パージェタ併用であれ)1年間」なのです。
それでは1年間投与とは何回となるのか?
計算してみましょう。
365÷7≒52(つまり1年は52週) 52÷7≒17.33… つまり1年間ハーセプチン投与するには17回もしくは18回となるのです。(17回では1年に少し足りないが18回だと少しオーバーする)
なので施設によって「ハーセプチン1年間=17回」としていたり「ハーセプチン1年間=18回」だったりするわけです。
★まずハーセプチンの回数(17回もしくは18回)が決まっていて、そこにドセタキセルと併用した分を差し引いて「単独の回数(17-4もしくは18-4)」となるのです。
「術後の病理結果で不均一性質(ヘテロジェネティー)とありまして、腫瘍がHER2とトリプルネガティブの半々ぐらいの割合?のような説明があったのですが、これは珍しい事ですか?」
→よくあることです。
「再発率にも関係ありますか?」
→全くありません。
「田澤先生がご提案くださった6週に1回の採血は、やはりHER2タイプは再発のリスクが大きいと言う事でしょうか?」
→違います。
単純に「気になるなら、(頻回に)測定すればいい」し、「気にならないなら、そのままでいい」だけの話です。
★気にしているようだから、『(それなら)採血を頻回にチェックしたらどうですか?』というだけのことです。(気にはなるけど、採血もしたくないでは、我儘というものです)
「HPの治療中に再発する事はありますか?」
→あります。
「HP療法中に再発する確率があまり高くないのであれば、血液検査の間隔も短いより長い方が良いのですが、腫瘍マーカーの値をやはり注意深く知っておく必要があるのでしょうか?」
→心配性なら・
頻回に測定するしかないでしょう。(やることに整合性が重要です)
「万が一 HP療法中に腫瘍マーカーが上がり続ける様な事があった場合 HPから治療法が変更になりますか?」
→勿論です。
「(週に3回程ビールやワイン1,2杯程度)が再発に大きく関係するのであれば」
→その程度ならいいのではないかと思います。
質問者様から 【質問3 】
CEA上昇について
性別:女性
年齢:48歳
病名:乳癌
症状:
投稿日:2020年7月15日
田澤先生いつもこちらのサイトに助けられております。
ありがとうございます。
以前も質問させていただいたのですが、状況が変わった為再質問させてください。
本日11回目のHP投薬日で3ヶ月に一度の血液検査の日でもありました。
毎回少しずつCEA上昇していたのですが、今回初めて基準値を越え5.8となりました。
前回3ヶ月前には3.9でした。
CA-15-3は17です。
先生の231回目のコラムも何度も読ませていただきました。
私もドキタキセルの肝障害のせいかと思っておりましたが、肝臓の数値はGOTが正常でGPTのみ高い(今回34でウルソは1月で終了)事や、投薬が終盤に近づいているのに基準値を外れたところなど少し合致しない点があり心配しております。
ここ2ヶ月ほど非常に強いストレスを感じる出来事があったのですが、CEA上昇と関係はありますか?
2週間後にPETの全身検査と脳のMRIの検査をし3週間後に結果を聞く予定ですが、とてもとても心配です。
HER2タイプはやはり脳転移の確率も高いのでしょうか?最近めまいと左手の痺れが少しですがあります。
詳しい検査をしないとはっきりしたことが分からないのはよく分かっておりますが、
まだ初期治療が終わっていない段階での転移となると今のお薬が効いていないと言うことですし、
恐ろしい気持ちと悲しい気分でいっぱいになります。
遠隔転移の確率はどれぐらいありますか?またその場合の余命はどれぐらいと考えていれば良いですか?
お忙しい中申し訳ございませんが、ご教授いただけたら幸いです。
田澤先生から 【回答3】
こんにちは田澤です。
「HER2タイプはやはり脳転移の確率も高いのでしょうか?」
⇒誤り。
脳転移は他の血行性転移(肝や肺、骨)で長期間曝されていない限り起こりませ
ん。
「最近めまいと
左手の痺れが少しですがあります。」
⇒抗がん剤(ドセタキセル)による副作用や化学療法閉経に伴う症状でしょう。
「遠隔転移の確率はどれぐらいありますか?」
⇒ほぼ無いでしょう。
ご安心を。
質問者様から 【質問4 】
肺転移について
性別:女性
年齢:48
病名:乳癌
症状:
投稿日:2020年8月5日
いつもお世話になっております。
先日CEA上昇に伴う遠隔転移についての的確なアドバイスをいただきまして本当にありがとうございました。
脳のMRIとpet ctの結果が出たのですが、また不安材料が増えてしまったのでお忙しい中恐縮ですが、また質問させてください。
脳のMRIは先生のおっしゃっていた通り全く問題がなかったのですが、petctにて肺への集積が認められてしまいました。
ただはっきり腫瘍を確認した訳ではなく、小さな点々?で白くモヤモヤした箇所があるとの事でした。
主治医からは明らかな転移と確定は出来ないので、3ヶ月後に胸部CTを撮ります。
それまで現在の治療法は変わらない。
あと2回でHPは終了しますので、最後の投薬の日(6週間後)にもう一度腫瘍マーカーの血液検査はしますとの事でした。
主治医は肺炎?(白血球の数値は正常でした)でもこのような画像が出る事もあるとおっしゃったのですが、petで肺に集積が見られると言うのは転移以外はあまりない事例ですか?
まだHP投薬中なので、明らかな腫瘍となるには早いだけで、点々モヤモヤはやはり遠隔転移の確率が高いと覚悟しておく必要がありますか?
先生の81回目のコラムにてCTで他院では肺転移と言われていた箇所が抗がん剤終了後に転移ではなく炎症だった事例が出ておりましたが
その様な可能性もありますか?(私はドセタキセルが11月下旬で終わっています)
肝心のCEAですが前回(3週間前)5,8の所今回は5,4と少しだけ下がっていました。
0,4と少しだけですが、抗がん剤中に数値が下がったのは今回が初めてです。
この数値は誤差範囲ですか?
このような状態で残り2回のHPが9月で終了となりますが11月まで無治療で大丈夫でしょうか?
腫瘍マーカーが大幅に上昇とならない限りは抗がん剤をプラスする事はしないのでしょうか?
主治医からは肺のCTを撮る11月頃までに大腸と胃の検査もした方が良いと言われております。
この3週間は検査結果の事で眠れない日々が続き、今日もまたスッキリとしない結果となり、さらに3ヶ月先まで肺転移についてはっきりしない状態となりまして不安で仕方ないです。
経験豊富な田澤先生のご意見をどうかお聞かせください。
これから田澤先生の診察を受ける事は出来るのでしょうか?可能な場合はどのような手続きをしたらよろしいですか?
お忙しい中本当にいつもありがとうございます。
どうぞよろしくお願いいたします。
田澤先生から 【回答4】
こんにちは田澤です。
「小さな点々?で白くモヤモヤした箇所」
⇒実際に画像を見ていませんが…
典型的な肺転移の所見とは異なるようです。
腫瘍マーカーも「少し下がった」ことからも、転移というよりは炎症(少し改善しつつあるので、マーカーも下がってきた)の方が、パズルとしては嵌る様に思います。
「このような状態で残り2回のHPが9月で終了となりますが11月まで無治療で大丈夫でしょうか?」
⇒状況から緊急性はないので、それでも何ら(治療としては)支障はありません。
ただ、その肺所見が実際「炎症なのか?」という点が質問者の不安の要素だとすれば(11月まで待たなくても)肺のCTくらいなら9月でもいいのでは?
「これから田澤先生の診察を受ける事は出来るのでしょうか?可能な場合はどのような手続きをしたらよろしいですか?」
⇒「診察」とありますが、(質問者が望んでいるのは)所謂「局所の診察エコー」ではありませんよね?
CTを実際見たり、マーカーの動きを見たりとなると、内容的にはセカンドオピニオン的になります。
方法としては
セカンドオピニオンならば、 江戸川に「セカンドオピニオン」として予約するか、市川の予約となります。
市川の場合には、この場合には(電話予約ではなく)「確定診断希望メール」の方がスムーズです。