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乳腺嚢胞と石灰化のカテゴリーについて

[管理番号:747]
性別:女性
年齢:42歳
 
 

質問者様の別の質問

質問が新たな内容のため、別の管理番号としました。
質問者様の別の質問は下記をクリックしてください。
管理番号:989「ステレオガイド下マンモトーム生検の検査結果」

 
 
はじめてご質問させていただきます。
42歳、既婚、出産経験はありません。
1週間程前になりますが、右胸、乳頭の少し下あたりに10円玉位の大きさの痛みを伴うしこりがあることに気づき、2日後に、乳腺外来のある総合病院を受診しました。
マンモグラフィの後、触診と超音波検査をしていただき、「嚢胞」との診断(これまでも検診で多発性乳腺嚢胞と診断を受けたことが何度かありました)でした。
超音波の画像を見ると、真っ黒な嚢胞のなかの下のほうにグレーがかったものが沈んでいるのが映っておりました。先生は「出血したものが溜まっているのかもしれない」とおっしゃっていました。このまま放っておいても問題ないが痛みがあるのであれば、中の液体を抜いて念のため細胞診に出そうかとのお話があり、そのようにお願いしました。抜いた液体は黄色っぽく、出血はしていないようだとのことでした。
出血でないとするとあのグレーがかったものは何だと考えられるでしょうか。
なにか悪いものではないかと心配です。
なお、この検査で右胸右上部にいくつかの石灰化した部分があることを指摘されました。(先生は嚢胞よりもこちらのほうが気になるとおっしゃっていました。)
その中に、真っ白に写らず不鮮明なものがあることや、形がまんまるでないものがあり、カテゴリーは3と4とのことでステレオ下マンモーム生検を受けることを薦められ、予約をして帰ってきました。
カテゴリー3と4では、悪性である可能性も違うと思いますし、また患者の側としてもカテゴリー3と言われるのと4と言われるのでは、気持ちもかなり違います。
やはり4となると、悪い結果がでることを覚悟するべきなのでしょうか。
このようにカテゴリーをひとつではなくふたつと判断するのはどういう場合でしょうか。
検査まで少し日があるので、毎日考えてしまい、心配で心配でたまりません。
 

田澤先生からの回答

 こんにちは。田澤です。
 「嚢胞と石灰化のカテゴリ―」ですね。

回答

「出血でないとするとあのグレーがかったものは何だと考えられるでしょうか」
⇒可能性は2つです。
①塊、沈殿物:血液でなくとも、液体が濃縮して沈殿して底に沈むことはあります。
②嚢胞内腫瘍:嚢胞内の腫瘍成分が「液体とは別」に嚢胞内に見えていた可能性があります。
 担当医のコメントからは①>② のようですが
 
「真っ白に写らず不鮮明なものがあることや、形がまんまるでないものがあり、カテゴリーは3と4とのこと」
⇒この所見からすると「カテゴリー4」にすべきだと思います。
 マンモグラフィーの読影試験などでは正解が『4(3) 4とするのが望ましいが、3でも正解とする』という所見の様です。
 
○やや説明が難しいのですが、敢えてここで説明します。
 我々、乳腺外科医は長い事「細胞診のクラス分類」に慣れてきました。
 細胞診のクラス4とは、「乳癌の可能性が極めて高い」ただ確定できないだけのようなイメージがあります。
 それに対して「マンモグラフィーの石灰化」のカテゴリー分類で「4」としても、「乳癌が半数に満たない(私のデータでは45%)」のです。
 つまり「石灰化を厳密な基準にのっとってカテゴリー4」をつけることには違和感があるのです。
 ♯どうしても「細胞診のクラス4のように、乳癌を強く疑う所見でないとカテゴリー4とはつけたがらない」のです。
 同様に、「しこりのカテゴリー分類でも(癌を積極的に疑わないものに)カテゴリー4はつけたくない」という傾向はあります。
 
「やはり4となると、悪い結果がでることを覚悟するべきなのでしょうか。」
⇒私のデータ(トップページの「乳癌の検査」の「精密検査」の「マンモトーム生検」を参照してください)では45%で「乳癌」が発見されます。
 「細胞診のクラス4」のように「乳癌の可能性が極めて高い」訳ではないことに注意してください。
 
「このようにカテゴリーをひとつではなくふたつと判断するのはどういう場合でしょうか。」
⇒(前述したように)規約上「カテゴリー4」所見だけど、「(感覚的には)癌の疑いが強い訳ではない」ので「カテゴリー3」ともいえる場合です。
 「乳癌を強く疑っている訳ではない」とは思いますが、「ステレオガイド下マンモトーム生検を選択」して正解だと思います。
 
 

 

質問者様から 【質問2】

田澤先生 こんにちは。
お忙しいところ、早速にお返事を頂戴し感謝したします。
前回ご質問させていただいた乳腺嚢胞内のグレーの部分について再度お伺いします。
仮に嚢胞内腫瘍だった場合、マンモグラフィーでわかるものでしょうか。または、嚢胞内から採取した液体の細胞診でわかるものでしょうか。
嚢胞については、担当の先生はあまり気にしていらっしゃらないご様子で、細胞診せずに経過観察でもよいとのお話もありました。先生の問題ないだろうというご判断を信じてよいものか、でももし嚢胞内腫瘍だったとして、先日行なった細胞診での判別が困難だった場合、このまま見過ごしているうちに進行してしまうのではないかと不安です。
どうぞよろしくお願いいたします。
 

田澤先生から 【回答2】

 こんにちは。田澤です。
 嚢胞内のグレーの部分ですね。
 これは「嚢胞内腫瘍」なのか「嚢胞内沈殿物」なのか、担当医の対応を診る限り「沈殿物」を疑っているようです。

回答

「仮に嚢胞内腫瘍だった場合、マンモグラフィーでわかるものでしょうか」
⇒マンモグラフィーでは解りません。
 
「嚢胞内から採取した液体の細胞診でわかるものでしょうか」
⇒これはフィフティフィフティですね。
 嚢胞内腫瘍の場合、液体部分の細胞診で「乳頭腫などの上皮細胞が出現」する場合もありますが、「全く出ない」こともあります。
 「液体の細胞診」だけでは信頼性に劣ります。
 
「嚢胞内腫瘍だったとして、先日行なった細胞診での判別が困難だった場合、このまま見過ごしているうちに進行してしまうのではないかと不安」
⇒もしも小さい乳頭腫だった場合「細胞診で全く出ない」可能性はあります。
 しかし、「内容液を吸引した場合」存在自体が解らなくなってしまう可能性も十分あるので、経過を見るしか無さそうです。
○細胞診結果で「担当医と良く相談」するしか方法は無さそうです。