Site Overlay

病理検査前 体中の痛み、体調不良

[管理番号:7410]
性別:女性
年齢:40歳
病名:乳がん
症状:浸潤性乳管癌

田澤先生
乳がんと診断を受けてから毎日先生の言葉を信じ、前向きに過ごそうと必死になっております。
田澤先生のお仕事に対する姿勢や生き方そのものに、心より敬服しております。
私たちの為に本当にありがとうございます。
心から感謝しております。

さて、2週間前に乳がんの診断を受けました。
健康診断でマンモグラフィーを受け、石灰化集簇性あり要精密検査と通知を頂いたのが3月頭。

それより、紹介先の病院でエコー、マンモグラフィーを受けましたが確定せず、翌週にMRI。
そこでやっと、悪性の疑いがいよいよ強くなって
きたので、また一週間後にエコーを使ったマンモトーム検査を行いました。

その結果、右胸浸潤性乳管癌という事が分かりました。
かなり広がっているタイプの様で、全摘予定です。
しこりの大きさは聞いてないのです
が、T2R, PyR共に95%、HER2?、Ki67 10%という結果のみが手元にメモで残っています。

また、エコーで鎖骨や脇に腫れは見られないとの事で、全摘手術を今月末に控えております。

質問です。

①今年2月から右下腹部の痛みに悩んでいます。
下痢などの痛みではなく、中側が火傷の様にじんじんする様な痛みで、一瞬刺された様な痛みを感じる事もあります。
腹部エコーや大腸内視鏡、子宮や卵巣もエコーでみて頂きましたが問題ありませんでした。

また、一年位前から肩や腕のじんじんする痛みがあります。
健康診断の結果を聞く前からその痛みは増し、今は肩甲骨の辺りから腰の部分が今までにない程痛み吐き気を催す事もあります。
(安静時でも痛みます。)
腕から手にかけてチリチリとした痺れも感じます。

骨に転移している可能性はあるのでしょうか。
乳がん検診の間が2年ほど開いてしまい、その間にかなり進んでしまったのでしょうか。
また、リンパ節の転移がない場合は骨転移は起きないのでしょうか。

②今回マンモトームで調べて頂いた箇所(右横)に私自身しこりを感じませんでした。
その場所とは別の場所にしこりの様なものを感じていたのですが、そこを取らなかったというのは悪性に映っていなかったいう事でしょうか。
それとも広がりが大きすぎるので、その中でも右横を狙ったという事なのでしょうか。

③マンモグラフィーの映像では粒々した小さな石灰化しか見られなく、
その時は先生からかなりの初期です、とおっしゃって頂きましたが浸潤していました。
もしおおきなしこりがあるとしたら、それは石灰化とは違うもの、そしてそれはマンモグラフィーには映らないのでしょうか。

④首の後ろ両側のリンパが腫れています。
丸いしこりが触れます。
また、鼠蹊部両サイドにもコリコリとした豆の様なものがいくつかあります。
本当にリンパ節の転移はしていないのでしょうか。

こんなに体調が悪くなった事がなく今の自分の状況が受け入れられません。
病理検査結果を聞くのが恐ろしく、手術までに精神的におかしくなってしまいそうです。
体の色々な部分の痛みも辛いです。

整形外科で精密検査を受けた方が良いのでしょうか。

田澤先生、お忙しいところ本当に申し訳ございませんが、教えて頂けますと幸いです。

これから益々暑くなってきますが、どうぞご自愛下さいませ。

 

田澤先生からの回答

こんにちは。田澤です。

「右下腹部の痛み」
「一年位前から肩や腕のじんじんする痛み」
「腕から手にかけてチリチリとした痺れ」

→典型的な「女性ホルモンによる刺激症状」です。
 『今週のコラム 111回目 大事なことは、これら①~④の病気など世の中には無いのです。それは(我々医師には)自明なことなのです。』を是非、熟読してください。
 ご安心を。

「骨に転移している可能性はあるのでしょうか。」
→ありません。
 「今週のコラム111回目」の中にある、『5829 転移について』と全く一緒ですね?

「リンパ節の転移がない場合は骨転移は起きないのでしょうか。」
→それ(リンパ節転移=リンパ行性転移)とこれ(骨転移=血行性転移)は全く別物です。
 ただし、(症状や状況からして)骨転移を想像する理由がありません。

「②今回マンモトームで調べて頂いた箇所(右横)に私自身しこりを感じませんでした。」
→位置関係は解りませんが…

 腫瘍を真上から刺すわけではないので(真上から刺すと、突き抜けて肺を損傷するので、針は離れた部位から刺入して「長い距離、乳腺の中を通る」のです)、刺した部位(刺入部)とターゲットが離れているのです。

「おおきなしこりがあるとしたら、それは石灰化とは違うもの、そしてそれはマンモグラフィーには映らないのでしょうか。」
→勘違いされているようです。

 乳管内を癌細胞が広範囲に広がり(乳管内で癌細胞が壊死をして石灰化を起こしながら)、その所々で浸潤を始める。
 それは「ベターとして」しこりとは認識できないのです。

 浸潤=しこりとして感じる(エコーやマンモでマスとして同定できる)わけではないのです。

「④首の後ろ両側のリンパ」「鼠蹊部両サイドにもコリコリとした豆の様なもの」
→ここには10000%転移しません。
 ご安心を。

「本当にリンパ節の転移はしていないのでしょうか。」
→乳がんが転移するリンパ節は決まっているのです。
 「頚の後ろ」や「鼠蹊部」は無関係。
 ご安心を。

「体の色々な部分の痛みも辛い」
→女性ホルモンによる刺激症状(前述)です。
 何でもかんでも「癌と結びつけない」ように、切に願います。

「整形外科で精密検査を受けた方が良いのでしょうか。」
→不要です。
 ご安心を。

 
 

 

質問者様から 【質問2 】

病理検査前
性別:女性
年齢:40歳
病名:乳がん
症状:浸潤性乳管癌

田澤先生
前回の質問にご丁寧にお答え下さり本当にありがとうございました。

お忙しい時間を割いて下さる田澤先生のお心遣いに涙が出ました。

前回の質問の後、病院が遠かった事などあり今月頭に転院しました。

6月末に手術を控えていたところでした。

転院先の病院で、ステージ2a、しこりの大きさ3センチ、という情報が得られました。
また、CTの結果遠隔転移なし。

転院前の病院より画像やプレパラートを送って頂いているのですが、こちらでもマンモグラフィーとエコーを撮らせて欲しいとの事で本日検査をしてきました。

すると、転院前の病院ではリンパ節の腫れはなさそうとの診断だったのですが、今日のエコーで腫れが見られた様で細い針を刺す検査をして頂きました。
来週月曜日結果が分かり、その後術式を決めますと言われました。

質問です。

以前の病院ではリンパ節の腫れはない、との事でしたが、こんな短期間で転移は起こるのでしょうか。

あまりにも画像判断が明らかで、リンパの腫れを見落とす技師はいない!と田澤先生が書かれていらしたので、見落とした可能性は低いでしょうね。

または、別の病気からくる腫れという事は考えられますか。

相変わらず鼠蹊部、頸部のリンパ節がポコポコ腫れていて、喉に違和感を感じる様になってしまいました。
乳がんの転移がその様な場所にはしない事を前回田澤先生に教えて頂きましたが、何か悪性のものなのかと、とても怖いです。

CTの技師の先生と今の主治医にも、体のあちこちのリンパ節が腫れているが問題ないのかお聞きしたところ、特に問題なさそうだという事です。

転院はこちらの都合ですが、やはり手術日がどんどん遅くなるのもまた転移が心配です。
(キリがないですね。)

田澤先生、お忙しいところ恐れ入りますがどうぞ宜しくお願い致します。

 

田澤先生から 【回答2】

こんにちは。田澤です。

★メール内容を読んで気付くことは…

 世の中には「頻度(確率といってもよい)」があるということをご理解ください。
 色々な症状を「転移では?」とか「他の悪性疾患では?」などと心配されているようですが(その気持ちも理解できますが)我々医師からみると「そんなことはありえない(ゼロとは言いませんが、限りなくゼロ)」という常識があるのです。(それが医師の存在意義の一つとも言えます)

「以前の病院ではリンパ節の腫れはない、との事でしたが、こんな短期間で転移は起こるのでしょうか。」
「見落とした可能性は低いでしょうね。」

→想像ですが…

 「明らかな所見ではない」のでしょう。(だから、両病院間で見解が異なる)

「または、別の病気からくる腫れという事は考えられますか。」
→その可能性は「圧倒的に低い(ゼロと言い切ってもいいでしょう)」です。

 皆さん簡単に「悪性リンパ腫」など想像するようですが…(頻度的に、乳癌と悪性リンパ腫が合併する可能性は「ほぼゼロ」です)

「相変わらず鼠蹊部、頸部のリンパ節がポコポコ腫れていて、喉に違和感を感じる様になってしまいました。」
「何か悪性のものなのかと、とても怖い」

→全く無駄な心配(世の中には「頻度」というものがあります。その可能性は限りなくゼロに近い)
 ご安心を。

「CTの技師の先生と今の主治医にも、体のあちこちのリンパ節が腫れているが問題ないのかお聞きしたところ、特に問題なさそうだという事」
→間違いありません。
 ご安心を。