[管理番号:2984]
性別:女性
年齢:47歳
いつもこちらHPを参考にさせていただいております。
乳がんも、いたずらに怖がらなくて良いものだということを理解できるようになりました。
その上で、疑問が生じたことがあり今回質問させていただきます。
よろしくお願いします。
先月左乳房全摘手術を受けました。
数日前にその病理組織検査の結果が返ってまいりました。
以下の通りです。
浸潤性乳管癌、硬癌、14㎜、娘結節5㎜、
広がり f, ☆INFc、
グレート1
乳管内進展+ cribriform
☆EIC ー
ER100%,PgR90%
HER2 1+
mib-1=☆rare cell positive 1%未満
そのためルミナールAであり、増殖も少ないので、ホルモン治療でいくことになりました。
質問です。
☆のところの言葉の意味がわかりません。
すみませんが、お教え下さい。
また、針生検およびエコーでは、12月に7㎜、の乳頭腺管癌であり、
ki67が22%ありました。
術後の病理検査で14㎜であるのに、mib-1が1%未満というのはあり得るのでしょうか。
また、この状態は、癌がほとんど死滅しているとは言えないのでしょうか。
さらに今後1%から再び20%を超えるような可能性はあるのでしょうか。
全摘しており、また断端陰性でもあるので、あまり転移は心配していま
せんが、転移するとしても10%以下と解釈してもよろしいでしょうか。
また、この状態で、ホルモン治療を先生も勧められますか。
お忙しいところ申し訳ありませんが、よろしくお願いします。
田澤先生からの回答
こんにちは。田澤です。
「☆のところの言葉の意味がわかりません。」
☆INFc⇒infiltration浸潤様式です。
癌の浸潤が周囲の組織に対して膨張性に浸潤(境界明瞭)をa、周囲の組織に入り込んで不明瞭となっているのをc、その中間をbとします。
☆EIC-⇒extensive intraductal componentつまり、広範な「乳管内進展」を認めないということです。
浸潤癌の場合には浸潤径がありますが(質問者の場合には14mm)それは浸潤部分の大きさ(乳管を破っている部分)です。
もしも、浸潤部分は14mmだけど(それ以上に)「乳管内癌(非浸潤癌)として乳管内を拡がって」いればEIC+となります。
つまり、EIC-とは「非浸潤癌としての広範な拡がりがない」ことを示しています。
mib-1=☆rare cell positive 1%未満⇒これは(読んで字のごとく)mib-1抗体に染
まる細胞が殆どない=細胞分裂期にある細胞が殆ど無い(1%未満)ということです。
「また、針生検およびエコーでは、12月に7㎜、の乳頭腺管癌であり、ki67が22%ありました。術後の病理検査で14㎜であるのに、mib-1が1%未満というのはあり得るのでしょうか。」
⇒まず浸潤径については「超音波などの画像所見」と「病理所見」は全く別物と考えてください。
画像所見よりも顕微鏡でみると拡がっていることがあるから、「温存手術の際にはマージンをとる」わけです。
Ki67の解釈については以下の3通りです。
①針生検が「増殖の激しい部位」をピンポイントで捉えた
②手術標本での染色性が著しく落ちた(標本処理の問題で)
③針生検後に腫瘍が壊死した
正解は不明です。
ただ②については他の免疫染色が問題無さそう(ER, PgR, HER2)だし、③については病理所見で「壊死についてのコメント」がありません。
そうすると、①かもしれません。
「また、この状態は、癌がほとんど死滅しているとは言えないのでしょうか。」
⇒もし死滅(壊死)していたら病理学的所見にコメントがあると思います。
「さらに今後1%から再び20%を超えるような可能性はあるのでしょうか。」
⇒癌はすでに摘出しているので、その可能性はありません。
「全摘しており、また断端陰性でもあるので、あまり転移は心配していませんが、転移するとしても10%以下と解釈してもよろしいでしょうか。」
⇒(記載がないですが)リンパ節転移無と仮定すると、
ホルモン療法をすることで再発率は10%となります。