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病理検査の結果について

[管理番号:4061]
性別:女性
年齢:36歳
 
初めまして。
よろしくお願いいたします。
 
8月上旬に右乳房にしこりを見つけ、早期の乳がんと診断され、11月上旬に部分摘出手術を受けた36歳です。
病理検査の結果が以下の通りでした。
浸潤性乳癌 + 広範囲の非浸潤癌
浸潤部の大きさ 1.1cm
脇の下のリンパ節転移 無し
他臓器転移 無し
stage1A (早期乳癌)
核異変度 3
Ly(+++)
V(-)
断端 一部に非浸潤癌(+)
ER=〉95%
pgr=〉90%
HER2 0
ki67 20-30%
ルミナールB
 
術前は抗がん剤の投与は恐らく不要と言われていたのですが、再発リスクを低くするために抗がん剤の使用を勧めると言われ、ショックを受けています。
先生に教えいただきたいのですが、上記の様に、核異変度が3、ki67が20-30%であると、素人考えでは、癌の顔つきが悪い=死と連想してしまうのですが、上記の数値はあくまで治療法を検討する際の材料で、自分自信の状態や将来について考える際は、ステージ1Aの5年、10年生存率を期待してもいいのでしょうか?
また、先生の書かれたコラムの中に、ki67が30以上の場合はオンコタイプDXを勧めるとありましたが、私の場合でも同様にお考えでしょうか?
また、抗がん剤を使用した場合と使用しない場合の再発率、生存率を教えていただけますでしょうか?
 
お忙しいところ恐れ入りますが、ご回答をお願いいたします。
 

田澤先生からの回答

こんにちは。田澤です。
 
そもそもKi67 20-30%を「ルミナールBと判断して抗ガン剤を勧めている」ことが誤りです。
質問者も御覧になっているようですが、『今週のコラム53回目 Ki67が「30未満」ならホルモン療法単独、Ki67が「30以上なら、Oncotype DXを推奨」しています。』を再度見直してください。
 
○最後の表を見てもらえば「Ki67 20-30%」ではOncotype DXをすると「実に85%でRSが低リスクもしくは中間リスクとなる」のです。
 私が再三コメントしているように「RSが低及び中間リスク つまりRS≦30では化学療法による上乗せがない=ルミナールA相当」と考えるべきなのです。
 
○質問者が私の患者さんであったなら…  (1秒も迷うことなく)ルミナールAとして「ホルモン療法単独」とします。
 
「上記の数値はあくまで治療法を検討する際の材料で、自分自信の状態や将来について考える際は、ステージ1Aの5年、10年生存率を期待してもいいのでしょうか?」
⇒その通りです。
 
「また、先生の書かれたコラムの中に、ki67が30以上の場合はオンコタイプDXを勧めるとありましたが、私の場合でも同様にお考えでしょうか?」
⇒その通りです。
 質問者は「Ki67 20~30」なのだからOncotype DXを勧めることなく、ホルモン療法単独とします。
 
「また、抗がん剤を使用した場合と使用しない場合の再発率、生存率を教えていただけますでしょうか?」
⇒もしも、気になるのであれば…
 Oncotype DXをしてみましょう。
 「Tam Alone」と「Tam + Chemo」の数値を見れば、質問者の場合の数値が解ります。

 
 

 

質問者様から 【質問2 】

再発後の治療について
性別:女性
年齢:39歳
病名:
症状:

以前、管理番号4061で質問させていただいた者です。

質問後、主治医と再度話をし、抗がん剤をしないことの恐怖が拭えなかったため、
2016年12月~2017年2月 TC療法実施
2017年3月~ タモキシフェン服用開始
2017年4月~5月 放射線治療
2017年6月~ リュープリン注射開始
2018年12月 ひどい腰痛により救急搬送され、多発骨転移が発覚(脊椎、胸骨、仙骨など)→放射線治療
2019年1月~ パクリタキセル +アバスチン治療開始、ゾメタ月1回投与開始
2019年8月 MRIにより、骨転移の状況が好転していることが分かったため、パクリ+アバを隔週投与に変更し、今後の予定として、11月からはホルモン治療に切り替え、職場復帰もしていこうという話になる
2019年9月 CA15-3の値が20前後だったものが36→43と上昇したため、PET-CT検査をしたところ、骨転移の憎悪(骨盤、腸骨など)と肝転移(8ヶ所)が発覚。
今後の治療として、FEC療法(無期限)を提案されている。

主治医からは、「増悪」「悪性度の高い癌」という言葉を何度も言われ、私が「何か希望を持てる言葉を言って欲しい」と頼んでも何も言ってくれず、精神的に参ってしまっています。

質問1
遠隔転移後のFEC療法についての情報があまりネット上には無いのですが、今の私にはこちらが最適なのでしょうか?副作用が強い薬ということですが、無期限で投与することで、体力が落ち、かえって病状が悪化するのではないかと強い不安を感じています。

質問2
再発治療後は抗癌剤のみを使っており、イブランス、ベージニオ、ホルモン剤などを使っていません。
今から私が行う治療の中に、これらの薬剤を組み入れる余地はないでしょうか?

質問3
今後、抗癌剤治療を経て病態をコントロールできる可能性はあるのでしょうか。

お忙しいところ恐れ入りますが、ご回答をお願いいたします。

 

田澤先生から 【回答2】

こんにちは。田澤です。

「質問1 遠隔転移後のFEC療法についての情報があまりネット上には無いのですが、今の私にはこちらが最適なのでしょうか?」
⇒肝転移出現ということで(Key drugであるanthracycline歴なしなので)、anthracyclineの投与は極めて妥当です。

「副作用が強い薬ということですが、無期限で投与」
⇒anthracyclineは無制限で投与することは「そもそも」できません。

 心毒性により「生涯投与量」が決まっています。
 改善した時点でeribulinへ変更⇒(いい状態となったら)
Fulvestrant+palbociclibというのが目標です。

「今から私が行う治療の中に、これらの薬剤を組み入れる余地はないでしょうか?」
⇒余地はあります。(上記コメント通り)

 ただ、肝転移の出現した以上、「まずは」抗がん剤で叩く⇒「その後」
Fulvestrant+palbociclibでいい状態を維持 とすべきです。

「今後、抗癌剤治療を経て病態をコントロールできる可能性はあるのでしょうか。」
⇒そのためのエース(anthracycline)の投入なのです。
 
 ★まずいい状態(肝転移の画像上消失)を作らない事には、次は見通せません。
 そのためのエースの投入なのです。