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病理結果後の治療に不安があります

[管理番号:2979]
性別:女性
年齢:54才
田澤先生、初めてご相談させていただきます。
どうぞよろしくお願いします。
4月に左乳房の全摘出手術をし、病理結果がでました。
結果は、以下の通りです。
Invasive ductal carcinoma,scirrhous>solid-tubular
carcinoma,25x20mm,BR grade3,ER(0),PgR(0),HER-2
(3+),MIB-1 K-score3,ly0,v0,pN0,LN0/4.
BR grade3:A3+B3+C2(6/10HPF,#5),ER:0+0=0,PgR:0+0=0
HER-2(3+)MIB-1 K-score3(64%,217/340)
EIC(+)(solid,cribriform,#5)
(K-score0:%,1a:<10%,1b:10-14%,2a:14-20%,2b:20-30%,3:30%<)
今後の治療は、FEC4回、タキソテール4回、ハーセプチン1年だそうで、私としては、できれば抗がん剤は避けたいと思っていたのですが、ホルモン剤はきかないタイプで、悪性度も高く、治療すべきか迷っています。
血管が細く、採血する時は、何度も針を刺されることが度々あり、抗がん剤の点滴に不安があります。
副作用も心配ですし、治療に踏み切る勇気がありません。
田澤先生は、私のような場合、リンパ転移がなくても治療をすすめますか?
今、ガン告知の時以上に、落ち込んでいます。
どうか前向きなご意見、よろしくお願いします。
 

田澤先生からの回答

こんにちは。田澤です。
pT2(25mm), pN0, HER2 type
○抗HER2療法はとても効果があり、効果と副作用のバランスがとてもいい治療です。
(再発率を半分にします)
抗HER2療法の適応は絶対的であり「腫瘍径>10mm」であれば必須と考えてください。
腫瘍径(浸潤径)≦5mm 適応なし
5mm<腫瘍径≦10mm 考慮する
○ただし抗HER2療法には
①スタンダードレジメン(最強)である、アンスラサイクリン(ECもしくはAC、FECなど)及びタキサン(タキソールもしくはタキソテール)の両方を用いるもの
これに対し、低リスクに対して非アンスラサイクリンレジメン(つまり①に対してアンスラサイクリンを抜いたもの)が用いられるようになっています。
②ハーセプチン+タキソール
③ハーセプチン+TC(タキソテール+エンドキサン)
④ハーセプチン+タキソテール+カルボプラチン
最も副作用が少なく楽に感じるのは②(ただし通院回数が多い)、通院回数を考慮すると③も選択されることが多い。
「田澤先生は、私のような場合、リンパ転移がなくても治療をすすめますか?」
⇒勧めます。
冒頭でコメントしたように「抗HER2療法は絶対的な治療」と考えてください。
腫瘍径25mmですから、当然すべきです。
○ただし、pT2(25mm), pN0という低リスクを考えると「非アンスラサイクリンレジメン」でいいと思います。
最初の3カ月間を毎週通院可能であれば②を、そうでなければ③が推奨されます。