Site Overlay

アポクリン癌、HER2陽性、しこりが複数

[管理番号:8321]
性別:女性
年齢:54歳
病名:乳がん
症状:
投稿日:2020年2月25日

失礼いたします。

母が乳がんになりました。

昨年11月に左胸に9mm程のしこりがみつかり、
1月末に温存手術を行いました。

その後病理検査で

種類     アポクリン癌
腫瘍の大きさ 0.8cm
リンパ節転移 0個/2個中
腫瘍の悪性度 2
脈管への侵襲 あり
ER      陰性
PgR      陰性
HER2     3+
MIB-1(Ki-67) 15%

という結果が出ました。

手術で9mmのしこりはとったのですが
その後、前に悪性腫瘍かわからないといわれたいた
8mmと5mmのしこりが、摘出した9mmのものとつながっている同じガンだと言われ
再度手術をしないといけなくなりました。

HER2陽性という結果が出たため、
化学療法+抗HER2療法を行い、
その後再手術をし、のこりのしこりを全摘したのち
放射線治療を受けるという話をされました。

①手術後に見つかった残り2つの腫瘍は
 再発や転移と考えたほうが良いのでしょうか?
 それとも多発性のガンなのでしょうか?

②先に化学療法などの治療が進められたのですが、
 この場合、手術と治療どちらを先にするべきでしょうか?

③HER2陽性の悪性度2と診断されたのですが、
 治療を行えば完治するものでしょうか?

④しこりが複数あった場合
 一番大きいものでステージが決まると書いてあったのですが
 しこりが複数あることで、小さくても早期じゃなくなったり
 危険性や再発率などが高まるということはないでしょうか?
 
⑤9mmのしこりを取った後、病理検査の結果で
 残り2つ(8mm、5mm)のしこりが癌だとわかったのですが
 先に取らなかったことで悪い影響があるのでしょうか?

⑥母のガンはステージでいうとどこになりますか?

 

田澤先生からの回答

こんにちは。田澤です。

「①手術後に見つかった残り2つの腫瘍は
 再発や転移と考えたほうが良いのでしょうか?
 それとも多発性のガンなのでしょうか?」

⇒多発です。
 文面からは「乳管に連続している」一連の腫瘍のようです。 

「②先に化学療法などの治療が進められたのですが、
 この場合、手術と治療どちらを先にするべきでしょうか?」

⇒間違いなく「手術」です。

 この場合、化学療法を先行させる理由が全く不明です。(担当医は頭でっかちになり過ぎ?)

「③HER2陽性の悪性度2と診断されたのですが、
 治療を行えば完治するものでしょうか?」

⇒十分な早期がんだから、根治する(再発しない)確率は90%以上は間違いなくあります。

「④しこりが複数あった場合
 一番大きいものでステージが決まると書いてあったのですが
 しこりが複数あることで、小さくても早期じゃなくなったり
 危険性や再発率などが高まるということはないでしょうか?」

⇒全く無関係(最大径でいいのです)

「⑤9mmのしこりを取った後、病理検査の結果で
 残り2つ(8mm、5mm)のしこりが癌だとわかったのですが
 先に取らなかったことで悪い影響があるのでしょうか?」

⇒ありません。(難しく考える必要はありません)

シンプルに…
 癌は手術で取り除いて、術後治療(温存照射+抗HER2療法)をすればいいのです。

「⑥母のガンはステージでいうとどこになりますか?」
⇒1期です。

 
 

 

質問者様から 【質問2 】

再手術の前に化学療法・抗HER2治療を行った場合
性別:女性
年齢:54歳
病名:乳がん
症状:
投稿日:2020年5月18日

お忙しい中ご回答いただきまして本当にありがとうございます。

ご回答いただいた中で、一回目の手術で9mmのしこりを取った後、
病理検査の結果で残り2つ(8mm、5mm)のしこりが多発性の癌だとわかり、
田澤先生だと間違いなく再手術の方を先に進めるとおっしゃっていただいたのですが、
母の場合は、術後の傷の関係ですぐには再手術できないとのことで
一回目の術後、化学療法と抗HER2療法を開始し、
パクリタキセルの投与が終われば手術ができるようになるとのことで
抗がん剤治療が終わった直後再手術をし残りの2つのガンを全摘することになりました。

現在パクリタキセル(1週間毎で計12回)とハーセプチン(1週間毎で計12回)を併用しながら投与し
パクリタキセルが終わり次第再手術をし、その後ハーセプチンのみを投与していくことになります。

また放射線治療もするとのことでした。

再手術についてはパクリタキセル12回を終えてからなので
大体7月頃になります。

そこで再度質問させていただきたいです。

①先生のおっしゃる通り、先に手術をしなかったことで、
転移や、再発などの可能性が上がってしまったのでしょうか。

②一回目の手術が1月末だったため、再手術まで5か月ほど空いています。

こんなにも期間が空いてしまって大丈夫なのでしょうか。

とても不安です。
5か月の間で残っていた癌が悪い方向に進んでいたりしないでしょうか。

③またパクリタキセル・ハーセプチンを4回終えた後、熱が出てしまい一週間延期をしその後2週続けて投与したのですが、
次の週が祝日だということでどうしても延期をしないといけませんでした。

残り6回は順調に打てることを願うしかないのですが、
現在までで2回延期してしまっています。

母の乳がんは十分早期で根治する可能性も90%以上あると
田澤先生は言ってくださったのですが
今の状態では根治の可能性は下がってしまったのでしょうか。

2回延期してしまったことで根治90%以上にはもうあきらめるしかないのでしょうか。

④母は脈管侵襲ありという結果になっているのですが
高度ではないので気にしなくていいと主治医の方からは言われました。

脈管侵襲がある場合、抗がん剤で治療していくのでしょうか。

再手術を待つ間に進行して遠隔転移などしてしまわないでしょうか。

⑤早期HER2乳がんで
 母が現在、遠隔転移を起こしている可能性はありますか。

 

田澤先生から 【回答2】

こんにちは。田澤です。

質問者は、物事を複雑に考えているようです。(その原因が主治医の説明だとしたら、とても寂しい限りです)

物事はシンプルに考えましょう。
(単純に)もともと多発(おそらく乳管で繋がっている「多発浸潤」の早期癌(あくまでも「最大浸潤径」です)

〇本来は術前に多発であることを(針生検などで)確認し、(最初から)全摘すべきものです。
 診断が不十分なまま温存手術を行っているから、再手術となってしまい(質問者からすると)物事が複雑となっているだけの話です。
★術前に多発と分かっていれば、最初から全摘を選択していた。そんなケースは珍しくも何ともないのです。

「また放射線治療もする」
⇒何故??
 全摘するのでは?
 全摘後に放射線を行う適応は「リンパ節転移4個以上」です。(全く当て嵌まりません)

 ★主治医に「何故、放射線かけるの?」と聞いてみるべきですね。

「①先生のおっしゃる通り、先に手術をしなかったことで、転移や、再発などの可能性が上がってしまったのでしょうか。」「今の状態では根治の可能性は下がってしまったのでしょうか。」
⇒予後には殆ど影響がないでしょう。
 ただ常識的に「抗がん剤を先行させる理由がない」というだけの話です。

「②一回目の手術が1月末だったため、再手術まで5か月ほど空いています。こんなにも期間が空いてしまって大丈夫なのでしょうか。」
「5か月の間で残っていた癌が悪い方向に進んでいたりしないでしょうか。」

⇒抗がん剤しているのだから「(何もしないで)放置」とは違います。
 ご安心を。

「2回延期してしまったことで根治90%以上にはもうあきらめるしかないのでしょうか。」
⇒考えすぎ。
 殆ど影響ありません。
 ご安心を。

「④母は脈管侵襲ありという結果になっているのですが
高度ではないので気にしなくていいと主治医の方からは言われました。」

⇒これは、その通り!(初めて主治医と意見が合いました)

「脈管侵襲がある場合、抗がん剤で治療していくのでしょうか。」
⇒違います。(無関係)
 シンプルに…
  術後薬物療法はサブタイプで決まるのです。(HER2陽性だから、抗HER2療法を行うべき。これ、乳腺外科医の常識)

「再手術を待つ間に進行して遠隔転移などしてしまわないでしょうか。」
⇒その可能性は極めて低い
 ご安心を。

「⑤早期HER2乳がんで
 母が現在、遠隔転移を起こしている可能性はありますか。」

⇒その可能性も殆どありません。
 ご安心を。

 
 

 

質問者様から 【質問3 】

抗がん剤治療について
性別:女性
年齢:54歳
病名:乳がん
症状:
投稿日:2020年5月26日

お忙しい中、お返事いただきありがとうございます。

一点私が勘違いをしていたところがありました。

全摘手術をするので、放射線治療はありませんでした。

申し訳ありません。

パクリタキセル(1週間毎で計12回)と
ハーセプチン(1週間毎で計12回)が残り3回でおわります。

これが終わったらハーセプチンのみの治療を3週間に一回に切り替えて計14回行います。

6月(中旬)日に残りの3回が終わり、再手術は7月(中旬)日になりました。

①治療が一度終わり、再手術まで一か月空くのですが
この間にハーセプチン一回はやったほうがいいですか?
どういたったスケジュールで治療すればいいのでしょうか?
主治医からは間があくのはあまりよくないと言われたそうです。

②前回の質問で2回抗がん剤治療を延期しているが
ほとんど影響がないので安心してくださいというご回答をいただいたのですが、
いろいろ調べていると、間があいたり、減量すると効果が下がるというのを見ました。

2回空いてしまっているのでどのくらい効果が落ちているか心配です。

HER2早期だと90%以上が根治すると言われていますが
2回休んでしまうとこの確率がどのくらいまで下がってしまいますか?
先生のおっしゃるとおり、ほとんど影響がないというのは
90%以上を保てているのでしょうか?

(腫瘍内科の先生には70%~80%、主治医には80%くらいと言われました)
10%だと大きい数字だと感じるのですが、
田澤先生の「影響がない」はどのくらいを指しているのか教えていただけますと幸いです。

度々申し訳ありません。

お忙しいところ大変恐縮ですが
お返事お待ちしております。

何卒よろしくお願い申し上げます。

 

田澤先生から 【回答3】

こんにちは。田澤です。

「①治療が一度終わり、再手術まで一か月空くのですが
この間にハーセプチン一回はやったほうがいいですか?」

⇒不要。
 1か月は間が空く」にはあたりません。
 ご安心を。

「前回の質問で2回抗がん剤治療を延期しているが
ほとんど影響がないので安心してくださいというご回答をいただいたのですが、
いろいろ調べていると、間があいたり、減量すると効果が下がるというのを見ました。

2回空いてしまっているのでどのくらい効果が落ちているか心配です。
HER2早期だと90%以上が根治すると言われていますが
2回休んでしまうとこの確率がどのくらいまで下がってしまいますか?
先生のおっしゃるとおり、ほとんど影響がないというのは90%以上を保てているのでしょうか?」

⇒殆ど影響ありません。
 ご安心を。

⇒もう過ぎたことですよね?

 そんな数字を想像して何になるのですか??(元には戻せませんよ)
 是非、前向きになりましょう。

 
 

 

質問者様から 【質問4 】

抗がん剤治療の延期について
性別:女性
年齢:54
病名:乳がん
症状:
投稿日:2020年8月19日

お忙しい中、たくさんの質問に
答えていただきありがとうございました。

パクリタキセル12回
ハーセプチン12回の投与が
二回の延期がありましたが、無事に終わり
先日無事に全摘の再手術も終わりました。

取り残していた癌は抗がん剤治療により消えていたそうです。

そこで再度質問をさせていただきたいです。

1.以前質問をさせていただいた件で
腫瘍内科の先生から
抗がん剤治療を二回延期したので、
根治率が90%以上だったのが、
70~80%くらい(に下がった)と言われました。

母はステージ1(HER2)なので根治の確率が90%以上あると
田澤先生からも担当医からもおっしゃっていただいていたのですが、
二回延期してしまったことで20~30%も根治の確率が下がってしまったのでしょうか。

最初に看護師さんからはあまり休みすぎるのは意味がないけど
自分のペースで12回最後まで行うことが大事と言われたそうです。

また一度も休まずに完遂出来る人は少なくて
みなさん一回は休みを入れるようにするとの話もありました。

2.ここでの質問で、RDIが85%以下となると、『予後に悪影響を及ぼす』というのを目にしたのですが、
何回延期してしまうと予後が悪くなるのでしょうか…
間が空くと意味がない、根治率が下がると書いてあったため不安です。

二回延期してRDIはどのようになったのでしょうか。

また予後が悪いというのは根治率何%ぐらいをいうのでしょうか。

3.完遂というのは延期や減量を一度もせずに
 治療できたときを完遂というのでしょうか。

繰り返しの質問で大変申し訳ありません。

何卒よろしくお願いいたします。

 

田澤先生から 【回答4】

こんにちは田澤です。

「1.以前質問をさせていただいた件で
腫瘍内科の先生から
抗がん剤治療を二回延期したので、
根治率が90%以上だったのが、
70~80%くらい(に下がった)と言われました。」
「母はステージ1(HER2)なので根治の確率が90%以上あると
田澤先生からも担当医からもおっしゃっていただいていたのですが、
二回延期してしまったことで20~30%も根治の確率が下がってしまったのでしょうか。」

⇒誤り(議論の余地なし)
 殆ど影響ないと思います。

「何回延期してしまうと予後が悪くなるのでしょうか…
間が空くと意味がない、根治率が下がると書いてあったため不安」

⇒どの程度下がるか?などというデータはありません。(少なくとも、その腫瘍内科医がいうように10~20%以上下がるなど「ありえない」議論の余地なし)

「二回延期してRDIはどのようになったのでしょうか。」
⇒申し訳ありませんが…
 (以下を参考にして)自分で計算してください。

 6週間で投与量100%を投与が100とすると
  ① 8週間で100%投与すれば 100/8 ÷ 100/6 =6/8x100=75%
  ② 6週間で80%投与すれば  80/6 ÷ 100/6  =80/100x100=80%
  ③ 8週間で80%投与すれば  80/8 ÷ 100/6  =480/800x100=60%
 

「また予後が悪いというのは根治率何%ぐらいをいうのでしょうか。」
⇒悪くありません。 
 ご安心を。

「3.完遂というのは延期や減量を一度もせずに 治療できたときを完遂というのでしょうか。」
⇒その通りです。
 ただ、過ぎてしまったことを「あれこれ考えて」意味はありますか?(今後、やるべきことをやればいいのです)

 
 

 

質問者様から 【質問5 】

アポクリン癌、HER2陽性、しこりが複数
性別:女性
年齢:54
病名:
症状:
投稿日:2021年6月4日

失礼いたします。

以前は質問に対して、
ご丁寧に回答していただきありがとうございました。

今年の4月で無事に母の抗がん剤治療が終わりました。

以前質問をした際に最初の質問で

「①手術後に見つかった残り2つの腫瘍は? 再発や転移と考えたほうが良いのでしょうか?? それとも多発性のガンなのでしょうか?」
という質問に対し、

⇒多発です。

 文面からは「乳管に連続している」一連の腫瘍のようです。
 

というご回答をいただきました。

年齢に関係なく多発性の乳がんの場合
遺伝型の可能性があると見たのですが、

1.多発性乳がんの母の場合、遺伝型の確率はどのくらいでしょうか。

2.母の乳がんの様子や祖父の家系が癌家系なため
 娘の私もいつか乳がんや卵巣がんになるかもしれないと不安です。

 遺伝子検査はするべきでしょうか。

 26歳で出産経験はないのですが、卵巣がんになってしまう可能性がある場合、はやく出産をした方がいいのか、妊娠できないのかなど考えてしまい、とても不安です。

お返事いただけますと幸いです。

 

田澤先生から 【回答5】

こんにちは田澤です。

物事はシンプルにに考えましょう。
遺伝性乳癌の可能性は低いと思いますが、そもそも「もしも遺伝性乳癌ならば対側の予防切除をしたい」という明確な意志が無い限り、遺伝子検査そのものの適応が(厳密には)ありません。