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ADHの診断

[管理番号:3068]
性別:女性
年齢:38歳
健康診断のマンモグラフィーで集簇性微小円形石灰化で要精密検査となり、先日マンモトーム生検を受けました。
4体採取したうち、一体に石灰化部分が入っており、そこからADHという検査結果が出ました。
医師から、切開手術を勧められており、少し大きめに該当箇所を切除すると言われました。
その結果によっては、これ以上何もする必要はないかもしれないし、今後放射線治療、ホルモン療法、センチネルリンパ節生検を行なう可能性がある旨話しを受けました。
切開手術後、どういった結果だとその後、センチネルリンパ節切除やその他の治療が必要になってくるのでしょうか。
正直もうこれ以上皮膚に傷を付けたくないので、また手術となると体力的にも精神的にも苦痛で、切開手術ですら、白の可能性があるなら放棄したい位です。
切開手術を先延ばしにしようとしたら、医師から2、3ヶ月以内には受けるよう言われました。
そんなに重症なのかと不安です。
それならば、どうして切開手術時にセンチネルリンパ節切除も1度にやってくれないのか不思議で仕方ありません。
 

田澤先生からの回答

こんにちは。田澤です。
まずADHについてはトップページの『ADH』の中の「ADHについて」「鑑別困難とADH」を良く読んでみてください。
ADHについて誤解している人が(乳腺外科医の中にも)沢山いらっしゃいますが、
「ADHは前癌病変ではなく、むしろ小さい(2mm>)だけで立派な癌」なのです。
○しかも病変全体を評価してのADHではなく、ST-MMT(サンプリング検査)でのADHは全く確定診断ではありません。(周辺の組織に同病変が2mm≦存在している可能性が十分にあるのです)
 
「医師から、切開手術を勧められており、少し大きめに該当箇所を切除する」
⇒全く「正しい」治療方針です。
 
「その結果によっては、これ以上何もする必要はないかもしれないし、今後放射線治療、ホルモン療法、センチネルリンパ節生検を行なう可能性がある」
⇒まさにその通りです。
 
「切開手術後、どういった結果だとその後、センチネルリンパ節切除やその他の治療が必要になってくるのでしょうか。」
⇒病理結果が
 ①(結局)ADHどまり…(これ以上の)治療は不要
 ②非浸潤癌…放射線照射のみ
 ③浸潤癌…センチネルリンパ節生検+放射線照射+薬物療法(ホルモン療法など)
 つまり③浸潤癌の場合には「センチネルリンパ節切除やその他の治療が必要」となります。
 
「そんなに重症なのかと不安です。」
⇒重症ではなく、「癌の疑いがある」ということです。(上記①~③の可能性があります)
 
「それならば、どうして切開手術時にセンチネルリンパ節切除も1度にやってくれないのか不思議で仕方ありません。」
⇒全く不思議ではありません。
 ①の可能性が残っている以上、「癌の手術をしてはいけない」のです。
 ♯センチネルリンパ節生検や腋窩郭清などは「癌と言う確定診断」のもとでしか行ってはいけません。