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1.5cmのしこり

[管理番号:923]
性別:女性
年齢:37歳
37歳の妻が乳がんと診断され、乳がんに関してネットで調べた際にこのサイトにたどり着きました。
先生の他の患者様の質問に対する答えはとても参考になり、ぜひ妻のことについてもお聞きしたく思います。
左胸にしこりがあるとのことで近くの総合病院に受診しました。
流れとして、
7/31:エコー
8/7:エコーの結果から、マンモ、針生検
8/14:検査の結果
・左胸外側下部に1.5cmのしこりと、その周囲に石灰化したものがあり、組織検査を
 行なった結果、乳がん細胞が見つかった。
・乳がん細胞は、「たちの悪いがん」なのか「おとなしいがん」は再来週(2週)にわかる
・今後、8/21にMRI→8/26にCTを受け、8/28に治療方針の相談になります。
・「おとなしいがん」であると、部分摘出手術で3泊4日+放射線治療で1ヶ月
・「たちの悪いがん」であると、全摘で、ホルモン剤等の治療が必要
とのことでした。
診断を受けた中で、下記内容をお聞きしたく思います。
①1.5cmのしこりで初期のようですが、転移の可能性はあるのでしょうか。
 (妻は2年程前に人間ドックでエコー検査を受けており、その結果は異常なしでした。その後は検診は受けていません)
②マンモ・針生検の後で、針を刺したほうの背中やわきの下、腕が痛いと聞いてますが、針生検の影響でしょうか。それとも他の臓器への転移の兆候が考えられるのでしょうか?
「たちの悪いがん」の場合、数ヶ月でもどんどん進行するというようなことを聞き、心配になりました。
③術後の治療で放射線治療を行なうとのことですが、他の治療法との違いやメリット
デメリットがあったら教えてください。
④生理期間中にマンモと生検を行ないましたが、結果に影響するものでしょうか。
⑤石灰化はしこりのそばにできやすいものなのでしょうか。時間がたつと胸の他の
 部分にできることもあるのでしょうか。
 

田澤先生からの回答

 こんにちは。田澤です。
 突然の「奥さんの乳癌宣告」お気持ちお察しします。
 乳癌治療を進めていく際に、「ご主人が一生懸命な場合」が時々あります。
 私は「自分の奥さんのことを思って、勉強したり、質問したりする」姿勢にいつも敬意を感じています。
 ひとつ注目したのは「浸潤癌」か「非浸潤癌」なのか説明がされていない事です。
 もしかして、それが確定されていない(ガンである事は確定したが、浸潤の有無は未定という状況はありえます)可能性を考えました。
 「おとなしいがん」と「たちの悪いがん」という表現が2通りに解釈できます。
 その区別が「2週でわかる」となっていることから最初は「サブタイプが2週間後に解る」からと解釈しましたが、
○もしかして(サブタイプも解りますが)「非浸潤癌なのか浸潤癌なのかも併せて判明する」という事かもしれません。

回答

「1.5cmのしこりで初期のようですが、転移の可能性はあるのでしょうか。」
⇒転移には「リンパ節転移」と「遠隔転移」の2通りがあります。
 「遠隔転移」はありえません。(断言できます)
 ただ、「リンパ節転移」については、(1.5cmであれば可能性は低いですが)可能性がゼロとは言い切れません。
 
「針を刺したほうの背中やわきの下、腕が痛いと聞いてますが、針生検の影響でしょうか。それとも他の臓器への転移の兆候が考えられるのでしょうか?」
⇒これは間違いなく「針生検の影響」です。
 「他の臓器への転移」などあり得ません。
 
「術後の治療で放射線治療を行なうとのことですが、他の治療法との違いやメリットデメリットがあったら教えてください」
⇒質問者には少々勘違いがあるかもしれません。
 「放射線治療」はあくまでも「局所療法」です。他の治療法(ホルモン療法や化学療法)とは全く同列に考えるものではありません。
 局所療法は 「乳房全切除」を選択するか「乳房温存+放射線治療を選択するかと考えてください。
 それとは全く独立して「全身療法(ホルモン療法や化学療法)が存在」するのです。
 
 メリットは「乳腺を全切除するかわりに、温存手術(部分切除)できる」
 デメリットは「放射線治療したからといっても、温存乳房内再発がありえる」「標準で25回の通院が大変(1回あたりは数分ですが…)」「有害事象(皮膚炎など)がある」
 
「生理期間中にマンモと生検を行ないましたが、結果に影響するものでしょうか」
⇒全く無関係です。
 
「石灰化はしこりのそばにできやすいものなのでしょうか。時間がたつと胸の他の部分にできることもあるのでしょうか。」
⇒順番が違います。
 
 ガンで起こる石灰化は
 「癌細胞が乳管内を増殖」
⇒「乳管内で癌細胞が壊死」
⇒「壊死した癌細胞に石灰化が生じる」
⇒(やがて)「腫瘤(しこり)を形成」します。
 
○石灰化は「時間が経っても、他に移ったりはしません」
 あくまでも「癌ができてから、石灰化ができる」のです。石灰化が「どこかに散らばる訳ではありません」
★「非浸潤癌の可能性」も含めて、詳細がわかりましたら「是非、追加質問してみてください」