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単孔性の乳頭分泌液に関して

[管理番号:983]
性別:女性
年齢:35歳
初めまして。ネットで色々と調べていてこちらにたどり着きました。
35歳で、出産経験はありません。
半年ほど前からたまに左の乳頭から分泌液が出ます。
明らかな単孔性で、色は黄色です。
先日検査を受けに行き、結果待ちの状態です。
乳腺外来に行き、触診、採血、マンモグラフィー、エコーを受けました。
触診ではしこりはありませんでした。
ただ、診察当日にどれだけ絞っても分泌液が出ず、分泌液自体の検査が出来ていません。
検査の次の日にまた少し出ましたが、その後は全く出ていません。
ただその時は、いつもより黄色が少し濃く緑がかっても見えました。
まず、この状態で癌かそうでないかの診断は確実に出来るのでしょうか?
もし出来ない場合は、分泌液がまた出るまで待たなければいけないのでしょうか?
明らかな単孔性の場合は乳頭造影をするべきだ、とこちらで読みましたが、どの穴から分泌液が出ているかはっきりしない場合は、乳頭造影は不可能なのでしょうか?
検査結果待ちの間に色々と考えてしまい、はっきりわからない内に癌が悪化してしまうのでないかと心配しています。
わかる範囲で結構ですので、ご回答頂ければ幸いです。
 

田澤先生からの回答

 こんにちは。田澤です。
 「単孔性分泌」には注意が必要です。
 何故なら「乳管内病変の可能性が高い」からです。
 「乳管内病変」は「乳管内に存在」し、頻度的に多いのは「乳管内乳頭腫」そして頻度は低いですが「乳癌(乳管内に留まっている状態は非浸潤癌)」となります。
それでは、「単孔性乳頭分泌」以外に「診断の手掛かり」が無いのかというと、
①超音波で「しこり」が描出できる(この場合は最低でも3mm以上の大きさが無ければ不可能です)
②「乳管造影」で乳管内に「陰影欠損」があることを証明する
 仮に①であれば、「細胞診や針生検」で診断できるし、②が証明されれば、(次のステップとして)「乳管(腺葉)区域切除」を行い「(その)乳管全体を組織診断」」することとなります。

回答

「分泌液自体の検査が出来ていません」
⇒分泌液のスメア細胞診や分泌液CEAなどは「参考程度」にすぎません。
 不必要な検査です。
 
「この状態で癌かそうでないかの診断は確実に出来るのでしょうか? もし出来ない場合は、分泌液がまた出るまで待たなければいけないのでしょうか?」
⇒冒頭でコメントしたように、
 ①超音波で見える(3mm以上の大きさがある場合)もしくは、②乳管造影で「腫瘍の確認」(この場合は1mm位でも陰性欠損として描出できます) でないと「診断の糸口」がありません。
 
「どの穴から分泌液が出ているかはっきりしない場合は、乳頭造影は不可能なのでしょうか?」
⇒その通りです。
 「別の乳管を調べても全くナンセンス」なのです。
 
「はっきりわからない内に癌が悪化してしまうのでないかと心配」
⇒心配な気持ちは解ります。
 ただ、診断の糸口は①か②なのです。
○この場合は経過を見るしかないでしょう。
 もしも「本当に乳管内病変であれば」必ず『分泌液が増えてくる』もしくは『超音波で見えてくる(3mm以上に増大すれば)』筈です。
 「分泌液が増えてこない」限りは「6ヵ月に1回、超音波で3mm以上の腫瘤が無いかチェックしましょう」
 「3mm程度の腫瘍として発見されても、間違い無く早期」なのです。
 そのレベルで見つかる様な配慮が重要なのです。