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今週のコラム 540回目 腋窩鎖骨下再発 前医で取り切れない? 1h20min.で終了ですが…

手羽先は、いただいた三和手羽 黒胡椒 お勧めだけに最高の土曜日夕方となりました。(感謝)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〇本文

突然の再発告知 『リンパ節が腫れていて、まわりにも何個かしこりあり。』

主治医はそこで細胞診を行った。しかし「陰性」陰性だから「転移ではありません」ではなく、再度告げられたのは…

『細胞診の結果陰性だったが、一度手術で取って調べたい』

主治医の話では複数のリンパ節転移を疑うが、手術では全部とれない。あくまでも「(サブタイプを)調べて全身療法をするためだけに」そのリンパ節を一部取るとのこと。

『転移しているのだったら、全部取ってほしい』と言っても、『それは無理、できない』

 

辿り着いた乳がんプラザ

手術希望メール 『どうにか、してほしい』

私の回答は

中途半端に「リンパ節をとれる分だけ取り」あとはサブタイプに応じた全身療法みたいなものではなく、再再発を避けるために、理想的な手術をしましょう。

 

 一番外側のリンパ節(レベル1)

リンパ節の形態を失って「節外浸潤」している

♯そもそも、この大きさ(1.5cm)の細胞診を外していること自体、手技的に「不合格」ですね。

 

 

レベル2リンパ節 これが一番大きい 2㎝

形はリンパ節の形をしており「節外」では(画像上)なさそう。

 

 

 

大きなレベルⅡは、レベルⅢに近い部位までせり出し、その奥(図中央)にはレベルⅢが

確認できる。

 

←外側 (皮膚側)  内側(奥)→

 

これらエコーをつなぎ合わせたもの

リンパ節は黄色に表現

大胸筋(茶色)の裏に小胸筋(こげ茶色)

大胸筋の外側にリンパ節2つ、大胸筋の裏にリンパ節1個 これら3個がレベルⅠ

小胸筋裏にリンパ節(これが最大で2㎝)これがレベルⅡ

それより内側(奥)に比較的小さいリンパ節2個 これらがレベルⅢ

 

 

色分けすると 赤とオレンジ:レベルⅠ、 黄色:レベルⅡ 、赤(周囲に点線の小さいもの):レベルⅢ

 

手術所見

〇右腋窩郭清及び鎖骨下郭清

1.皮切 腋窩切開にて皮切

大胸筋膜に至るまで、バイクランプにて膜を1枚ずつ丁寧に償却しながら切離し、出血させずに大胸筋膜に到達

2.大胸筋膜及び小胸筋膜切離

 

大胸筋膜外側にエコーで確認できたリンパ節を蝕知、視認した。

 

 

 

 

 

大胸筋膜を、これらリンパ節の癌細胞が残存しないように、一部大胸筋に切り込みながら切離(左図)して大胸筋をフリーにして、この外縁にskin hookをかけ引っ張り上げた

 

 

 

 

 

 

 

大胸筋を引っ張り上げると、小胸筋が現れたが、転移を疑うリンパ節が小胸筋外縁に固着するように存在

 

 

 

 

 

 

 

小胸筋膜を、このリンパ節から浸潤した癌細胞が残存しないようにリンパ節と固着した部分は小胸筋自体も一部切除しながら、全長で切離し腋窩腔へ到達(左図)

3.腋窩郭清(レベルⅠ及びⅡ)

この視野で腋窩静脈を頭側へ乗り越えるように小さいが個体リンパ節を認めこれを含めるように腋窩静脈前面の膜を切離しながら腋窩静脈を外側の広背筋まで達した。

まずは、(大胸筋裏より)外側へ向かい腋窩静脈に沿って広背筋付着部まで郭清。広背筋前面からもこれら郭清リンパ節を外した。

ここでthoracodorsalis veinの枝を処理しながら、thoracodorsalis a. v. nを温存する層まで郭清。この層より深い部分(thoracodorsalis 根部など)にはリンパ節は蝕知せず。

 

 

♯大胸筋外縁の(大胸筋)外側支配血管を処理しながら大胸筋裏の郭清に移った。

大胸筋裏で腋窩静脈に被さるようなリンパ節を郭清、小胸筋外縁で腋窩静脈から小胸筋への細い枝を処理し、小胸筋を均衡でめくり上げた(左図)

小胸筋裏のリンパ節(レベルⅡ)を腋窩静脈から外して郭清

大きなリンパ節(左図 黄色)をこの視野で腋窩静脈から外していったが一部は(小胸筋裏を超えて)その奥のリンパ節に連続しており、この視野から(この大きなリンパ節を)外すことは断念して(レベルⅢ郭清の際に)外す方針とした。

4.鎖骨下郭清(レベルⅢ)

大胸筋をskin hookで引っ張り上げ大小胸筋間を剥離した。この際中間胸筋神経及び上胸筋神経も結紮処理した。

 

ここで(引っ張り上げていた)小胸筋を元に戻し大胸筋のみ筋鈎で思いっきり内側へ引き小胸筋全面(奥まで)直視下とした。

 

 

 

 

 

 

この部分の拡大図

小胸筋内側(奥)は膜で連続しておりその奥は見えない。

 

 

 

鎖骨下静脈はこの膜で視認できないため、これの損傷を防ぐために、小胸筋裏に指を入れこの静脈の走行を確認しつつ、それより尾側で小胸筋膜を小胸筋に沿って切離し貫通した。

 

 

 

 

この膜が切離された部分にテープを入れて、小胸筋を手前(外側)に思いっきりけん引した。

 

 

 

 

 

 

これにより先に途中まで外していた大きなレベルⅡリンパ節(図の黄色)とそれに連続していたレベルⅢ(図の赤色)が鎖骨下静脈とともに直視下となり、慎重に小血管を処理しながら鎖骨下静脈から外して郭清。

このまま鎖骨下静脈及び胸壁からバイクランプでレベルⅢ群を全て郭清した。

出血が全く無いことを確認

 

小胸筋と広背筋、大胸筋と側胸壁を縫合し閉創。

出血なしドレーンは(いつも通り)挿入せず終了した。

手術時間 1h20min. 出血なし(乾いたガーゼ1枚に薄く色がつく程度)