[管理番号:932]
性別:女性
年齢:38歳
質問者様の別の質問質問が新たな内容のため、別の管理番号としました。 |
乳がんについて検索したところ、こちらのページにたどり着き、親身の話を聞いてお答えを下さっている姿に安堵感を覚えました。
私は38才、子供が三人います。
少し前から胸の痛みが気になり、胸に触れてみると左胸にかなり大きなしこりがふれ、びっくりしました。今まで体を洗う際にも気にならなかったのですが、左右比べると明らかに大きくしこりがふれます。
普段かかっている定期受診の内科医(出産後高血圧で内服中です)に見てもらったところ、ただ事ではないとすぐに乳腺外科のクリニックを紹介されました。
今日、昨日と受診しマンモグラフィ、エコーと検査して頂いた結果、やはりよくないとのことでした。
知識がないので見た限り、聞いた限りですが、
左胸に5センチ近くの腫瘤がある。それは周りがもやもやしていたり、とげとげしたりした形で、よくない。
エコーでは腋窩のリンパにひとつリンパ節の黒い円がうつっていてこれも怪しい。
細胞をとったわけでもなく、これ以上の検査をしたわけではないので「がん」とは言えないが、悪性の可能性はかなり高く、早期ではないとクリニックの医者に言われました。
目の前が真っ暗になり、冷静にもなれず、早期ではない・・・イコール末期に近く死?と考えてしまいます。
早急にと金曜日に総合病院に紹介、予約を取っていただきました。
まだこの先検査を重ねてみないと何とも言えないこともわかりますが、これでも治療可能でしょうか?闘病生活は厳しいものになるのでしょうか?
子どもがいるのでめそめそもしていられませんし、前を見ないといけないこともわかりますが、最悪の状況しか想像できない自分がいます。
すみません。少しの情報で、なにもわかりませんよね。
私も今は身の置き所もない不安でどうしよもありません。
あと、先生、クリニックで聞くのを忘れてしまったのですが、今私は、生理前症候群のコントロールの為ピルの内服しています。直ちにやめた方がいいですか?
まだ、今回のクールは飲みきってもいいのか?どうでしょうか?
お忙しいところすみませんが、お返事いただけたら嬉しいです。
田澤先生からの回答
こんにちは。田澤です。
「癌が疑われる」との診断、お気持ちお察しします。
回答
「悪性の可能性はかなり高く、早期ではない」
⇒「癌の可能性が高い」ことは間違いないようです。
「腫瘍径が大きい 5センチ近く」「リンパ節転移が(ひとつ)疑われる」
このことからはcT2, cN1, cStageⅡBと推定されます。
「早期ではない・・・イコール末期に近く死?と考えてしまいます」
⇒これは大きな誤りです。
通常乳癌は0~Ⅰ期を「早期乳癌」と表現します。
その意味では2期は「早期乳癌には該当しません」
しかし乳癌のステージ2は「進行乳癌」ではありません。
末期だなんて、とんでもない「勘違い」です。
十分な根治性があります。
「これでも治療可能でしょうか?闘病生活は厳しいものになるのでしょうか?」
⇒勿論治療可能です。
ご本人のイメージとは随分異なり、「治療はそれ程大変ではありません」
まずは「手術」⇒術後は腫瘍の性質(サブタイプ♯)を参考に「術後療法」を行います。
術後療法は「永遠に続く」わけではないのです。
(参考に)
◎サブタイプとは?
組織検査(針生検や手術標本)などで以下の3点を調べます。
・エストロゲンレセプターの発現(ER)
・プロゲステロンレセプターの発現(PgR)
・HER2蛋白の過剰発現の有無(HER2)
⇒これらの組み合わせで
●luminal type:(ER陽性、PgR陽性、HER2陰性) ホルモン療法が有効(更に増殖指数Ki67の値が低いAと高いBに分けます)
♯luminalA(Ki67低値)ではホルモン療法単独を、luminalB(Ki67高値)には(ホルモン療法に加え)化学療法も行う事が多い
● HER2 type:(HER2陽性のもの) ハーセプチンという分子標的薬と通常の抗癌剤の組み合わせを行う
●トリプルネガティブ:(ER陰性、PgR陰性、HER2陰性)通常の抗癌剤を行う
●トリプルポジティブ:(ER陽性、PgR陽性、HER2陽性)ホルモン療法と分子標的薬と抗癌剤の全てを行う
※正式名称はluminal B(HER2タイプ)と言います。
○乳癌は基本的に予後の良い癌です。
きちんとした「初期治療」(手術+術後補助療法)を行えば、十分根治が狙えます。
末期だなんて、とんでもない。
是非治療を頑張ってください。
質問者様から 【質問2 やはり悪性のようです。】
田澤先生、前回は暖かくお答えいただきありがとうございました。
昨日、総合病院を受診し、またはじめからマンモグラフィー、エコー、それに加え細胞診(針生検)をしてきました。
結果は一週間後になります。
ただ、マンモ、エコーの結果を聞いてきましたが、マンモではケバケバした腫瘤が3㎝くらいのものが見えること、エコーでは最大経4.4㎝の腫瘤があるとのことでした。やはりリンパにもあり、前回は1つしか見えなかったですが、今回は2つの黒い丸が見えました。
生検は、リンパの方もとってきました。
病院の先生曰く、今の状態でⅡb期でないかとのお話でした。
田澤先生の見解どおりでした。
来週、CTの予定と、まだ少し先ですがMRIの予約をしています。
今のこの状態でも全身転移している可能性はあるのでしょうか?
以前に顔のマッサージをしてもらったとき、左側(がんの乳房も左です)のリンパの流れが悪いね・・・と言われたことがあり、もしかしたら鎖骨下のリンパにも?と思ってしまいます。
昨日の検査でさらっとですが、エコーで鎖骨のところも見ていましたが何も言われませんでした。
これで鎖骨下のリンパに転移があれば、ステージは上がり進行乳がんになるのでしょうか?治療は可能ですか?
不安で仕方なく、メールした次第です。
あと、お聞きしたいのですが、針生検はとても耐えがたい痛みで、5回ほど刺しました。今日、傷を見てみたらシコリのところが以前よりぼこぼこして皮膚が赤くなっています。大丈夫でしょうか?
針生検をすることにより、がん細胞が広がることはないのでしょうか?
素人なので、このような質問で申し訳ありません。
お忙しいとは思いますが、ご回答いただけると嬉しいです。
田澤先生から 【回答2】
こんにちは。田澤です。
やはり乳癌は確定のようですね。
お気持ちお察しします。
ただ、乳癌の初期治療の段階で「遠隔転移」している可能性は考える必要はありません。
それは私の経験からの意見です。
回答
「今のこの状態でも全身転移している可能性はあるのでしょうか?」
⇒冒頭で記載した通り、「遠隔転移の可能性は極めて小さい(ほぼ皆無)」です。
「これで鎖骨下のリンパに転移があれば、ステージは上がり進行乳がんになるのでしょうか?」
⇒臨床ステージ(病理結果が出る前のステージ)ではⅢ期になります。
ただ、「今の状態でⅡb期でないかとのお話」なのだから、「腋窩だけ」だと思います。
「治療は可能ですか?」
⇒鎖骨下リンパ節は「手術で普通に郭清できる」範囲なので、全く問題ありません。
「針生検をすることにより、がん細胞が広がることはないのでしょうか?」
⇒その心配は無用です。
おそらく「内出血」でしょう。
針生検では「化膿する」ことはほぼありません。
質問者様から 【質問3】
田澤先生、度々失礼します。
本日、細胞診の結果を聞くのと、造影CTに行ってきました
前回の感じではⅡb期かと言われていましたが、今回CTで胸骨の骨転移、肺は小さい結節が見えるがそれは微妙な感じだ(転移)肝転移はナシとのことでした。
細胞診はホルモンは95%?で受容があるとのこと、HER2は陰性でした。
ガン細胞自体は大人しいタイプとのことでした。
ただ予想してなかった骨転移、肺転移?でとにかく動揺してしまい受け止められずにいます。
医師はホルモンが効くタイプだから、とにかく全身治療をするしかないとのことでした。
らい来週骨シンチの予定です。
5年生存率は3割くらいですか?
まだまだ治療の見込みはありますか?
転移しながらもガンと共に生きて行くことは可能ですか?
なんでもいいです。お言葉頂ければ嬉しいです。
田澤先生から 【回答3】
こんにちは。田澤です。
「CTで胸骨の骨転移」の所見ですか?
俄かには信じられない話です。
cT2, cN1の状況では「読み過ぎ」なのではないでしょうか?
「来週、骨シンチ」とありますが、それよりも「CTでの所見が本物かどうか、MRIを撮影するべき」です。
回答
「医師はホルモンが効くタイプだから、とにかく全身治療をするしかないとのことでした。」
⇒これは「手術は適応外」と言う意味ですか?
私は反対です。
例え骨転移があったとしても(CT所見だけでは、かなり眉唾ものですが…)「局所療法として」手術はすべきです。